作戦が終わった日の夜。トレーズに自室に呼び出されていた。当然だろうと思った自身は、疼く体を少し抱いてから向かう。場所はOZの本基地の最上階だ。広く長い廊下を歩く度に、すれ違う兵に敬礼される。
しかし体の疼きは先程よりも強くなっていた。内心で悶えながら、一歩一歩を踏みしめる。トレーズの部屋まではあと少しで、まだ耐えなければならない。だが自室に到着したとて「飼い主の許し」が無ければ、自身の疼きは治まらない。自身は、トレーズに飼われている犬なのだから。
ようやく豪華な作りの扉の前に立つと、震える手でノックをした。すぐに「入れ」という声が聞こえる。肩で息をしながら、扉を開いてすぐに自室に入った。扉を閉めると、絵画を眺めていたらしいトレーズがこちらを見る。
早くして欲しい。こちらは、もう我慢ならないのだ。だがトレーズを前にしたら、まずは表面上の態度を維持しなければならない。そうしなければ、飼い主の許しは得られない。
「……閣下、只今参上しました」
「楽にしてくれていい。それで……」
絵画から視線を逸らしたトレーズは、こちらに向けた後に歩み寄って来る。心臓がどくどくと鳴り始めた。
「シャワーを浴びたらベッドに来たまえ。だが……今の君はあまりにも抑えの利かない獣と化している。だから、ここで今から君の体を開いてもいいが?」
「ッ……!」
トレーズには、今の自身の状態を見透かされていた。あまりにも恥ずかしいと思いながらも、欲を抑えることができなくなっている。故に、半開きになった唇から熱い息を漏らしながら頷いた。するとトレーズが笑いながら顎を捕まえてくる。
「情熱的な夜にしよう」
その一言で、トレーズとの性行為が始まった。まずは半開きのままの唇にキスをされながら、近くのソファに座らされる。そしてすぐに舌が侵入してきた。この感覚を待っていたのだ。
「ッう、う……ん……!」
厚い舌が自身の口腔内や歯列を這う。脳に甘い痺れが走ると、そこで自身の理性は崩壊した。
ねだるように軍服を脱いでいくが、頑なにマスクは外さない。これは今までと同じであった。トレーズと体を繋げても、マスクは外さなかった。トレーズはそれを許してくれている。なので今回も、外さないつもりであった。
トレーズの舌がやがては舌の根にまで到達すると、唾液を吸い上げてくる。じゅるじゅると、卑猥な音が聞こえた。軍服をまだ脱ぎ終えていないところで手が止まる。スラックスが、まだ脱げていないのだ。
「ん、んんっ!」
すると自身の下半身がむくむくと膨らみ始める。それをいち早く察知したトレーズが、ベルトを外してからすぐにスラックスを落とす。自身の下半身はよく濡れており、天井を向いていた。
「ッは、はぁ……まだ二日も経っていないだろう? いけない子だ」
「貴方の、せいです……! 閣下が、私の体をこんなことにしたから……!」
「罪をなすりつけるのはよくない」
手袋を外したトレーズが、素手で自身の下半身を握る。一つ声を上げると、そのまま扱かれていった。手慣れた様子で扱き、そして裏筋を親指でぐりぐりと擦られていく。それが気持ち良くて、思わず射精をしてしまった。しかしそこでトレーズの軍服を汚したことに気付くと、顔が青ざめた。理性が、戻ってしまったのだ。
「閣下……! 申し訳ありません!」
「ゼクス……君には仕置きが必要だね」
そう言ったトレーズが下半身から手を離し、手に付着した精液を舐める。その姿は見慣れているのだが、申し訳なさはなかなか薄まらない。
「君には、今から私の前でマスターベーションをしてもらおうか。できるかな?」
「でき……ます……」
「じゃあ、出なくなるまでしてくれ」
これは相当な仕置きであった。精が枯れるまで自慰をするとは、できるだろうか。今やトレーズのペニスが無ければ、満足に達することができないというのに。だがこれは命令だ。従わなければならない。
おずおずと自身の下半身に手を伸ばしたが、そこでトレーズに注意される。
「あぁ、ゼクス。足は開いて」
「はい……」
言う通りに足を開き、恥部をよく見せる。恥が込み上げ、顔が熱くなった。そのような中で下半身を握り、しこしこと扱いていく。ちらりとトレーズの方を見ると、絵画を見るかのような目でこちらを見てきていた。やはり恥ずかしい。そう思いながら、裏筋を手のひらで擦り、亀頭を指で押す。気持ち良いのだが、トレーズに抱かれている時に比べると、快感は少ない。
「っ、くう、う……! はぁ、は……!」
思えば、トレーズと初めて夜を過ごしてから自慰をしなくなった。若くして早くも、抱かれることの悦びをこの体は知ってしまったのだ。もしかしたら、自慰のやり方を忘れてしまったのかもそれない。一方のトレーズはどうなのかは分からない。腰巾着のように着いてきているレディ・アンとも関係を持っているのかもしれない。過去に何度かそう思ったことはあるのだが、真偽は不明だ。こちらから、聞くことなどできないのだから。
扱き続けてしばらく経過した。室内にはぬちゅぬちゅという水音と、自身の吐息しか聞こえない。それが快感を増幅してくれたのか、鈴口から精液が飛び出したところで裏筋を指でなぞった。するとようやく射精し、床に精液を撒き散らす。
しかし精が枯れるまで何度これを繰り返したらいいのか分からない。そのような中で、何度も何度も扱き続けた。
ようやく精が尽きたところで、トレーズがこちらに歩み寄る。床には精液の池ができていた。かなり出した方であるし、もう疲れていた。このまま眠りたいのだが、未だに燻っている性欲がそれを許してくれない。
「よくやったね、ゼクス。褒美を与えよう」
そう言ったトレーズが、笑みを浮かべながら素手で秘部を触れてくる。そこはトレーズのものが通ってから何日も経っていないので、腸液で濡れているところだろう。実際に、トレーズの指が当たるとぬかるんだ音が聞こえた。
「さて、始めようか」
トレーズが軍服を脱ぎ始める。最後にスラックスを脱いだところで、そそり勃つ大きなペニスが現れた。思わず、ごくりと喉を鳴らしてしまう。これが、自身を満足させる存在なのだ。トレーズの体も含めて。
「閣下……」
誘おうにも、何を言えばいいのか分からなくなる。その中で、トレーズが体の上に覆い被さり、軽いキスをしてくる。柔らかい唇がぶつかると、そこで膝裏を持ち上げられて秘部にペニスが充てがわれた。
「君は知っていると思うが、私は手加減をしない」
「……分かっております、閣下」
トレーズのその言葉には、期待しかなかった。散々に抱いてくれるという合図なのだろう。それを皮切りに、ペニスが押し込まれていく。
「っ……あ、あ……! くる……!」
「は、はぁ、はぁ……君の中は、やはり素晴らしい」
苦しげな声をトレーズが漏らす。それが頬に掛かると、全身がぞくぞくと震え上がった。いつもは余裕の姿を見せている男を、ここまで余裕の無さげな様子へと変えているのだから。それが、どうにも優越感を覚える。このまま、自身の体で精を搾りたく思える。なので手加減をしないのはこちらもだと思った。
亀頭で中を擦られる。熱い部分が入っていき、顎を仰け反らせた。マスクの下から相変わらず赤い皮膚を見せていると、トレーズが「可愛いじゃないか」と言ってくれる。それが嬉しくて、腰を揺らしてしまった。
「あ、っあ、ァ……! ッふ、ふぅ……!」
「君の中に、どんどん入っていくが、今日も君の子宮まで届かせるよ」
「ぁ、っん、ん……! 喜んで……!」
トレーズの言う子宮とは、いわば結腸のことであった。そこを責めることが大層気に入っているらしいが、自身もまた責められることが好きであった。そこをペニスで突かれると、自らの性別を雌だと勘違いするくらいに、思考が真っ白になりながら快感に及ぶ。その感覚が堪らなかった。
秘部はそのままペニスの亀頭を食い、竿までも食っていく。秘部はもはや、とても柔らかくなっていたのだ。女の膣のように、ペニスなど容易く受け入れてしまう。欠点は、ここに来る前から体を疼かせる材料になることなのだが。
「ん、んんっ、あ、ん、ん……! っはぁ、はぁ、閣下、もっと……」
そこで直ってしまっていた理性が再び壊れていく。甘えるようにトレーズにキスを促すと、望み通りにしてくれた。唇が重なる間にも、ペニスは進んでいく。そしてようやく根元まで辿り着くと、トレーズの腰がゆるゆると揺れ始める。中の粘膜とペニスが、どんどんぶつかっていった。
「ん、んん、ん! ふ、ふぅ! んっ……!」
「っはぁ、はぁ……ゼクス、君の中は素晴らしい締め付けだよ。このまま、離したくない」
「あ、ぁ、嬉しき、お言葉……!」
すると喘ぎながら、体を持ち上げられた。律動はどんどん大きくなり、ぱんぱんと乾いた音が聞こえ始める。ペニスをどんどん奥へと貫かれているのだ。
「っひ、ぁ、あ!? ぁ……あァ、あ! ッや、ぁ!」
「いいかい、ゼクス。今私たちがしているのはセックスではない。交尾だ。分かるかい?」
「んぁ、あ、わかり、ます、ッあ、あ!」
交尾とは嬉しい言葉だ。このまま孕ませて欲しい。そう思っていれば、律動がゆっくりになっていく。これは子宮に向かう前触れなのだ。
そして一度ペニスを引き抜かれてから、全体重をかけて伸しかかってきた。勢いよくペニスが打ち込まれ、悲鳴を上げる。
「ぁあッ!」
次にぐぽと、異音が聞こえると子宮に到達したことが分かる。また、ここを突いてくれるのか。嬉しくなり腰を捩らせるのだが、それがトレーズにとっては逃げていると思われたらしい。強い力で腰を掴まれると、体が動かなくなる。
「ゼクス、君の体は最高だ。素晴らしい」
恍惚の声で褒めながら、トレーズがペニスで子宮を突いていく。その力もあまりに強く、体を痙攣させながら啼いた。
「ぁ、あ、ッやぁ、あ! ゆるして、ください……! こわれる! かっか! ……ぁ、あ! だめ、ッひぁ、あ! ぁあっ!」
「ッぐ、ぅ……! もう、出そうだ……! 出すぞ……!」
トレーズの顔が険しくなると、そこで子宮に熱い感覚が走った。中に、精を注がれたのだ。しかしトレーズのペニスは未だに硬度を保っているので、力強いピストンは続いていった。
もはや皮膚同士がぶつかり痛かったのだが、それらはすべて快感によってかき消されていく。その中で喘ぎながら、トレーズに何度も何度も子宮に精を注がれた。気付いた時には腹が不自然に膨れており、トレーズのペニスは萎えていた。
「はぁ、は……ゼクス、楽しかったよ」
頬や額にキスをして、腹を撫でられた。それだけでも気持ちが良く、悲鳴を上げながら潮を噴いてしまう。トレーズの体を濡らすのだが、今の自身には謝る思考が無い。悦びながら、トレーズを見上げる。笑みを浮かべていた。
「ぁ、あ……かっか、わたしは、しあわせです……」
「ありがとう。私もだよ」
礼を述べたトレーズが、萎えたペニスを引き抜く。既にある精液の池が更に大きくなっていった。ここで、互いの精が混じったのだ。
「かっか、きす……きすを……」
「分かった」
またしてもキスの望みを受け入れてくれた。互いの唇が合わさると同時に、舌を突き出していた。
「ん、ふ、ふぅ……ッふ……」
口腔内がすぐに唾液で溢れると、唇の隙間から唾液が垂れてくる。だが口腔内にある唾液はトレーズが吸い上げて飲み込んでいった。自身も同じようなことをしたかったのだが、舌さえ動かす気力が無い。なのでされるがままに、トレーズに深いキスをされていく。
ちゅくちゅくと何度か音が鳴ったところで、トレーズが唇を離す。だがまだ離れて欲しくないので、舌でトレーズの唇を追った。するとまたトレーズがキスをしてくれる。嬉しかった。
「ん、んん……ん……ッはぁ、はぁ……かっか……」
「マスクは、外してくれないのかい?」
「ん……それは……」
今夜もマスクだけは頑なに外さなかった。やはりトレーズは許してくれると、抱き着いた。逞しい体に、互いの肌が重なっていく。すると薔薇の香りがした。いい匂いだ。
「君が外したい時でいい。その時が来てからでいいから、いつか、マスクを外してくれ」
「かっか……かっか……」
トレーズが抱き返すと、肌の温もりで安堵を覚える。抱かれるのは夜だけだ。ならば夜が明けなければいい。そうしたら、永遠に幸せな時間が続くというのに。何度も何度もキスを重ねながら、そう思った。