香を纏う儀式

香を纏う儀式

輝く夕陽が、もうじき沈んでいく時間のことである。
朝から始めていた鍛錬を終えた于禁は身を清めてから、すぐに休もうと思っていた。だが最近の于禁は執務や鍛錬などの多忙の為、夏侯惇としばらく会えておらず精神的に不安定であった。
なのでか、他人から見たらいつもよりも更に機嫌が悪そうに、より恐ろしく見えたことだろう。本来ならば于禁はそのような個人的な問題を持ち、表に出すことはしたくはなかったようだ。しかし于禁は我慢がならなかった。
しばらくと言っても夏侯惇と最後に会ったのは、一週間前なのではないか。そう考えてながら于禁は身を清めると、とある物が視界に入った。それを凝視すると、様々な思いを于禁の頭で駆け巡らせる。無論、夏侯惇のことを数分間に渡って。
身を清め終えた頃には、陽はすっかりと沈んでいた。于禁は急いで平服に着替えて身支度を整えると、行き慣れたとある場所へと足早に向かう。

「……連絡も無しに、申し訳ありませぬ」
于禁は、表情を変えないままで夏侯惇の寝室へと入っていた。
だが夏侯惇は夜着姿になり、寝台の上で座って呆けていたところである。そこで于禁が入室を許可して良いかの確認が扉越しに聞こえたので、慌てて立ち上がってそれに対応していた次第であった。
「いきなりどうした? ……その匂い、俺が贈った香油か?」
夏侯惇は嬉しげな表情を浮かべながらそう聞くと、于禁は静かに頷く。以前に夏侯惇から贈られた香油をである。
それを于禁は、身を清めた後に髪や首につけていた。ちなみについ先程初めて使った物であるので、どのような香りのものかは分からない。なので開封して初めて感じる香りに驚いていた。
夏侯惇がそれを贈った理由は商人から薦められたからであるが、贈った本人である夏侯惇は同じものを持っていない。その時は香油は一つしか仕入れていなかったし、希少な物だったからか。
その香りは商人曰く甘いものと聞いていたが、よく近付かないと香りを認識できないものである。なので夏侯惇は無意識に于禁の首元へとぐっと近付き、どのようなものか確認していた。
「……なるほどな。あのときの同じ商人がまたここに来たら、俺もそれを貰おう」
香りもだが、于禁がそれを使ってくれたのに対して満足げな顔をして夏侯惇はそう言うと、顔を離してから用件を聞こうとしていた。そこで于禁は夏侯惇の腰を両手で掴む。
「……なりませぬ。この香油を纏いたいのであれば、今から私が」
「今から? お前が?」
于禁のいつもより険しい顔を見ても特に何も思っていない夏侯惇は、そのような疑問を口にした。于禁はそれを無視すると、珍しいその様子を見て更に夏侯惇は疑問を口にする。
「どうした? 何かあったのか?」
するとその瞬間、于禁は夏侯惇を強引に寝台へと素早く連れてから、押し倒した。それのあまりの早さに、夏侯惇は視界が于禁の顔と天井に埋められてから今の状態に気付く。
微かに于禁に食われてしまいそう、とでも思っていたが、その予感は見事に的中した。
「どうし……于禁!?」
于禁は夏侯惇の夜着を慣れた手つきで全てを剥く。
両手首は寝台の上に縫い止めるように自身のそれぞれの手で固定し、両脚は腰の部分へと乗ってがっちりと固定した。加えて于禁が密着するように覆い被さってくる。それにより夏侯惇は、身動きがほとんどできない状態に陥っていた。
「おい、もしや……!」
そこで夏侯惇は自身の腰へと布越しにでも分かる程、既に肥大化させている于禁の肉棒を擦り付けたり、押し付けられているのに気付いた。しかし于禁はそれをわざとしていたようで、口角を僅かに上げる。
「夏侯惇殿……いえ、元譲。同じ香油をわざわざ持たれなくとも、私が香りを分けますので」
少しずつ息を荒くしながら于禁が口を開くと、夏侯惇と少しだけ唇を合わせる。その際に香油とそれに于禁の匂いが夏侯惇の鼻腔を擽った。
唇を離すと、夏侯惇の意識が香りの方へと向く。それらが心地が良いのか、片側しかない瞳をふやけさせた。
「お前、とつぜ……あッ!?」
唐突に押し倒され、更に口付けをされてからそれが終わると、夏侯惇は何か言おうとしていた。だが于禁はそれを封じるように、夏侯惇の唇から首へと舌を移動させてから弱い力でそこを噛む。
夏侯惇は腰から上を大きくびくりと跳ねさせ、固定されている腰から下、主に両膝も同じように跳ねさせた。そこで于禁の背中を自由に動かせる膝で蹴って抵抗しようとしたが、更に噛まれた箇所を首を舐められたのでその力も、その考えも消え去ってしまう。
なのでか、夏侯惇のつやりとしている瞳からは情欲が生まれてきた。それが常人のように瞳が二つではなく一つしか無くとも、于禁に対して充分な効果を発揮していたようだ。
「その気に、なられましたな……!」
于禁は顔を上げてから夏侯惇のその様子を見、豪勢な餌を目の当たりにしている肉食獣のように大きな舌舐めずりの音を立てた。
それとは対照的に、色の良い肉のように、夏侯惇は頭からつま先までの至る部位を餌として相応しい程に朱くする。そして夏侯惇の髪が大きく乱れ、つけていた眼帯がどんどんずれていったと思うと、そのまま外れてしまっていた。だが二人はそのような、もはや小さなことに気を回している余裕はない。
「ぶんそく……」
そして夏侯惇は字を呼び淫らに背と腰をうねらせる。于禁はその動きを止めてから夏侯惇の上から離れたと思うと、于禁は平服を全て脱ぎ払って床へと投げ捨てた。于禁には似つかわしくない程に、とても乱雑に。
于禁も身を剥き出しにすると、舌は夏侯惇の首から鎖骨へと移動して、次に豊かな胸へと移動していた。夏侯惇の両胸の頂点の小さな膨らみが、于禁に存在を主張するように尖っている。それのうちの片方を、于禁はすぐに口に含むと吸い上げた。大きく強く、自身の唾液をも喉へと通すくらいに。
「ひっ!? あぁっ……ぁ、あッ!」
胸への刺激による快楽など、通常の成人男性ならば拾うはずがない。感じるはずがない。
しかし夏侯惇はそれを細かく、丁寧に拾ってしまっていた。甘い嬌声を自身の手などの妨げがないまま上げる。そこが前から于禁の、何回もの可愛がりによりとても弱くなってしまったからか。
吸い上げた後の胸の尖りは、赤く小さく腫れたものへと変わっていた。于禁はそれを次に優しく、ざらついた舌で撫でる。その度に于禁の熱い吐息もかかった。
「やだ、ぶんそく、そこ、や、ぁ! イく、ん、ぅ……! ア、っ、あ、あ! ぁ、あぁ……!」
すると夏侯惇は敏感なそこへの多様な刺激により、吐精したようだ。于禁の背中や自身の太腿へと濃い精液を飛び散らせた。同時に体の至る場所の自由が効かない代わりなのか、吐精により息を切らせながら顎を上げ背中を反らせて、少しの快感を逃がすという艶めかしい動きを取る。
「……そこまで、ここが好いのですか?」
于禁はそれを見て夏侯惇の胸に顔を埋めると上目遣いになりながら、もう片方の赤く腫れていない胸の尖りを夏侯惇に見せつけるように、舌先で突っついて弄ぶ。それを見てしまった夏侯惇は、赤く腫らしてしまった方の胸を疼かせた。
しかし夏侯惇はそれがなぜだか恥ずかしいのか眉を下げて視線を逸らすと、于禁はそれを戒めるように腫らした胸へと舌を移動して唇で挟んだ。なので嫌でも、夏侯惇の視線が戻ってしまっていた。
「や、ぁ! ひ、あ、きもちいい、ぁあ、ぁ……!」
唇の次に于禁が歯でとても弱く、コリコリと挟む。すると夏侯惇は更に嬌声や、反らす首や背を大きくしていた。先程よりも、少し薄めの吐精をしながら。
「あなたはいやらしい尻ではなく、本当はここを弄られたいのですか?」
于禁は挑発するようにそう問い掛けてから歯で挟む力を強めると、夏侯惇は間隔を開けずにまたもや吐精した。赤く腫らしているそこをそうして苛められたことが、口で強く吸い上げられるよりも遥かに善かったのか。
「ぁ、あ……ん! あ、や、やだ、尻でイきたい……! 腹の奥がきゅんきゅんするから、ぶんそくのちんちんがほしい! ずこずこして!」
それに強く否定するよう、首を横にぶんぶんと大きく振ると夏侯惇は、悩まし気な表情で本能的にそうねだり始める。言葉の通りで夏侯惇の腹の奥は、腫れている胸と同様にとても官能的に疼いていた。だがそれにより、発する言葉に年齢相応の言葉など放てなくなっていて。
「なりませぬ。ここを随分と愉しんでおられることですので、仕置きをせねばなりませぬ……故に……」
于禁はそれを拒否した。自身の張り詰めている凶暴な肉棒の存在を、必死に抑えながらも。
「やだぁ、ぶんそくがほしい! おっきなちんちんほしい!」
先程とは変わらずに、夏侯惇は一向にそう求めるばかりであった。だが于禁はすぐにでも夏侯惇を黙らせるため、ずっと腫らしている胸の尖りを親指の腹で、突き出ているそれを引かせるようにぐいぐいと押す。夏侯惇が抵抗も何もする気配が無いので、寝台へと押さえつけていた両手の拘束を離しながら。
同時にまだ腫らしていない方の胸を口に含み、二つとも平等に苛めようとしていた。片側へと追いつくために、音を立てながら強く強く尖りを吸い上げる。
「ぃ、ひぁあッ!? らめ、とれちゃうからぁ! あっ、イく! んぅ! ぁ、あ、あア、あっん!」
もはや夏侯惇は半分叫ぶように喘ぐと、于禁の口に含まれている胸の尖りをどんどん赤く腫らしていった。そして遂には顔を真っ赤にしながら喘ぎ続けるも、だらしなく唾液を口から流していく。普段于禁に見せている雄々しい表情のやり方など全て、何もかも忘れてしまったように。
しばらく尖りを苛め続けてからようやく于禁は口を離すと、夏侯惇の両胸の尖りがとても赤く腫れていた。その間に何回も吐精させられたのか、夏侯惇の体の中心は萎えている。だが于禁の肉棒はまだ一度も射精をしていないので先走りを垂らしながら、血管を見たこともないくらいにバキバキと全体に大きく浮かび上がらせていた。
「ぶんそく……もうむりぃ……」
夏侯惇のつやりとしていた一つの瞳の焦点は、定まらないものになっていた。それに射抜くような視線も一時的に死んでしまい、ふやけてしまった目がどこかへと向いているのみである。
そのような状態で精を空になるまで出し切っているので、夏侯惇はいち早く降参したがっていた。腹の奥の疼く感覚が、未だに解消されないまま残っていながらも。
だが于禁はそれに鞭打つように、覆いかぶさったまま夏侯惇の両膝をぐいと限界まで開く。于禁を誘ってやまない股が良く見え、そして空気によく触れるように。
そこから数秒遅れてから夏侯惇は、これから于禁が何をしようとしているのか微かに気付いたらしい。押さえつけられていた于禁の手はもう無いので、弱々しい表情をしながら両腕を伸ばして抵抗をしようとした。しかし力は赤子のような弱いものしか出ない。
だからかその伸ばした両腕が表情も相まって、于禁にとっては『必死に求められている愛らしい仕草』としか見えずにいた。それを掴んで下ろした于禁はとても嬉しそうな顔で、自身の肉棒の先端を夏侯惇の股に宛がうと、突然に優しい声で囁く。
「あなたが先程、望んでいたものですよ」
その声とは正反対に凶暴な外見の肉棒の先端から垂らしている先走りを、そこへぬるぬると塗りたくった。その度にぬちゅぬちゅといやらしい水音が鳴り、聴覚まで快楽に堕ちていきそうになっているらしい。夏侯惇の口からは自然と短く荒い息が、断続的に漏れた。夏侯惇の体は限界と判断していようとも、頭は于禁を強く求めているようだ。
だが夏侯惇の股は今、快楽を得るための性器ではなく排泄器官へと何日も前に戻っている。なので于禁は肉棒を離してから夏侯惇の片手を取り、その指一本を張らせると股へと持っていった。自身の肉棒を受け入れさせるためにと。
「ん、ゃ……ぶんそく、ぅあ、は……あ、っあ……」
塗りたくった先走りをその一本に絡めながら、股へと沈めていく。多少強引に沈めていき、一本が入ると、続けて二本目をどんどん沈めていった。夏侯惇はとても小さく控えめに喘ぐ。だが三本目の自身の指が根元まで入ったところで、何かのスイッチが入ったかのように喘ぎ声が大きくなった。
「あァ! あ、ぁ……!」
そこで体の中心が萎えているなかでも、夏侯惇の腰がガクガクと震えた。指が恐らく立腺を掠めたと見た于禁は夏侯惇の指を引き抜かせてから、唇を夏侯惇の腹へと寄せる。夏侯惇の指でしかも、前立腺で果てさせることなど于禁がつまらないと思ったのか。
夏侯惇の縦にも割れている腹部の下のあたりを、于禁は舌を出して触れる。その瞬間に夏侯惇は絶頂と似たような強い感覚が、脳や体に電気が走ったように襲い掛かってきたらしい。体を大きく震わせた。
「っ、やっ、ぁあ!」
腹の奥、于禁がこれから貫くつもりである箇所を更に指で押したり撫でる。それにより夏侯惇は再び煽情的に腰をくねらせると、両脚を震わせながら于禁の肩へと乗せた。夏侯惇はもはや言葉で意思を伝えられる状態ではないので、体で求めていることを表現しようと思ったのか。
だが于禁はそれを故意に分からないふりをした。なので夏侯惇の縦にも割れている腹を軽い力で擦りながら、どうしたのか訊ねる。
「いかがなさいましたか?」
「ひぁ! あぁ、ん……あ、ぁ、ぶんそくに、もっといじめられたい、めちゃくちゃにされたい……!」
夏侯惇は于禁の全てを、欲しながらそうたどたどしく懇願した。
「どこを、どうされたいのですか?」
「ぶんそくの、おっきなちんちんで、やらしい穴をずこずこしてぇ!」
「……まぁ、良いでしょう。一先ずは、言えましたな」
荒い息がどうにも鎮まらなくなった于禁は、ようやく自身の簪を抜き取り冠を乱暴に外して床へと投げた。そして肩に乗せられていた夏侯惇の両脚を下ろすとそのまま、唯一柔らかく滑らかな内股を晒した。
すると夏侯惇の股の縁が、何もしていないのに収縮しているのを于禁は見る。
「仰る通り、いやらしい穴だ……」
夏侯惇の両膝の裏を持ち上げて萎えた中心や股を天井へと向けると、それに伸し掛かる。
「やだ、その格好はずかしい、は、はぁ……」
香油の香りが夏侯惇の嗅覚を再び擽る。その甘い香りや、自身と于禁の雄臭さが混ざった。その匂いにより夏侯惇は発情した動物のように、またしても唾液をだらだらと寝台へ落としていく。
その様子を見下ろしながら、上から股に肉棒を宛がう。先程のように先端に体液を塗るのではなく、股の中の締まっている柔らかい肉に包まれるために。
「元譲……はぁ、は、は……うっ……!」
于禁の肉棒が、夏侯惇の股の中へとどんどん沈んでいく。まだ乾ききっていない先走りとともに吸い込まれながら。
「ぐっ、ぅ……どう……ですか……!」
股に侵入させた瞬間、于禁はあまりの気持ちよさに言葉がスムーズに出てこなかったらしい。荒い息を混じえながら、更に奥へと進める。そこで夏侯惇の股は排泄器官ではなく、快感を得る為の性器へと次第に変わっていた。
于禁の肉棒の凄まじい大きさや熱さに、夏侯惇はそれに柔順になる以外の思考を捨てていく。なのでか抵抗ではなく、更に受け入れる為に肉壁の締め付けを強める。
「あぁっ! あ、ぁん……ちんちんあつい、はぁ、あ!」
まともな返事ができないのか、夏侯惇は淫らな喘ぎ声とともに性欲により溶けきっている瞳を于禁に向けた。
「は、はぁっ、返事を、されないとは、厳罰を与えた方が、良いですな」
ぐりぐりと抉るように肉棒を股の奥まで収めていくが、あまりの気持ちよさにより于禁は射精をしまいと我慢した。全ては夏侯惇の腹の中である最奥に、濃い精を大量に撒き散らす為に。
于禁は眉間に深い皺を作りながら股の最奥を目指すと、肉棒の先端は遂にそこを抉じ開けた。腹の内側からはぐぽん、という肉の音が鳴り、夏侯惇から悲鳴のような声が聞こえてそう確信したのか。
「あっ、あ……あぁっ!? ひぁぁッ! ゃああ!」
その刹那、待ち侘びていた様子の于禁は夏侯惇の最奥に溜めていた精を吐き出した。何秒もの時間をかけて。
多量の精を腹の中に叩き付けると、それの刺激により夏侯惇は吐精を伴わない絶頂を迎える。
「イぐぅ! や、あ、あぁッ! あ、ぁ!」
「ぐぅ……! はぁ……はっ……」
于禁は重い呻き声を上げると、夏侯惇は腰を左右上下に自然と動かす。中からは、大量の精液が粘膜の内側で自在に蠢く音が聞こえた。
その直後に夏侯惇は、体を酷く脱力させていく。恍惚の笑みを浮かべながらも。
「……これでは罰に、なりませぬが」
硬度を保っている肉棒は貫いたままで、于禁は夏侯惇の両膝を離して下ろす。寝室には、二人の獣のような荒い呼吸が聞こえた。
「もっと、ちんちん……」
夏侯惇は更に笑みを深めながらそうねだる。腹の奥に刺さっている肉棒で更に犯されたいらしく。
すると中心の萎えなど全く気にしていないのか、自慰をするように自ら腹部を触った。于禁を誘惑するように卑猥な手つきで、そして控え目に喘ぐ。
于禁はそれを凝視した。
「あっ、んっ……! ぁ……うっ……!」
于禁と視線を合わせる。上から見下されていることにより、夏侯惇の喘ぎ声は少しずつ大きくなっていく。唯一ある片眼を、快感により細めていきながら。
「それで一度、あなたのみで絶頂を迎えられてみては?」
細くなっていった夏侯惇の眼が見開くと、首を横に振って否定した。だが于禁も首を横に振る。
「それで絶頂を迎えられたら、褒美を与えますゆえ」
再び眼を細めた夏侯惇は、少しの間だけ于禁から視線を逸らすと、元に戻した。自身の腹を再び擦る。
腹の中の感覚からして、于禁の硬い肉棒がある場所を手で探ると、そこを押した。凄まじい快楽を得られたと同時に、于禁は表情を歪める。ただでさえ狭い肉の内側であるのに、外から押されて刺激を与えられてしまったからか。
「あ、あぁ……んぁ!」
夏侯惇は弱いところを自分で強く押したからか、雌のように善がる。しかし絶頂を迎えるには刺激が足りないらしく、今にも泣きそうな顔を自然と形成させた。
だが于禁の言うとおりにしなければ、望んだ快楽は得られない。なので夏侯惇は必死に、腹の奥を外から押したり撫でる。
「はやく、ちんちんほしい……ちんちん……はあっ、ぁ、んっ……!」
すると夏侯惇は口をだらしなく開き、腰をガクガクと震わせた。それを見た于禁は、すぐに容赦なく腰を振る。
「……ア! ひゃあぁ! いきなりらめぇ! あっ、ぁ、アぁ!」
互いの皮膚が、強く打ち付けられてそれが響いて音が鳴った。そして腹の中にある精もかき混ぜられ、粘度の高い液体が揺れる音が聞こえる。それほどに于禁は腰を激しく振っていた。
「あっ、あ! おっきなちんちんずこずこされてきもちいい! おっきなちんちんしゅきぃ!」
「……あなたは、大きな魔羅であれば、それで良いのですか? そうであれば、私ではなく他の者に、そのいやらしい体を犯されては、どうですか?」
于禁は夏侯惇の言葉に対してわざとらしくそう言うと、夏侯惇は遂には涙を流しながらそれを拒否した。
「ぶんそくのちんちんじゃなきゃやだぁ! ぶんそくのじゃないとイけないからちんちんもっと……!」
そう懇願した夏侯惇は、無意識に腹の中を強く締め付けていたらしい。于禁はそれに驚く。
「ぐ、ぁ……! 元譲の中が、きつい……!」
そして于禁は苦しげな声を上げると、夏侯惇の腹の中へと二度目の吐精をした。
「はっ、や、あ……あぁっ……!」
熱い精が更に腹の中に入る。それにより夏侯惇はまたしても絶頂を迎えると、そのまま意識を失ったのであった。于禁のつけた香油の香りが、夏侯惇の体へと完全に染み込んでいきながら。

それからというものの、于禁がその香油の香りを纏う度に、夏侯惇は体が疼いて疼いてたまらなくなったという。于禁はそれを『確実な合図』として示すようにしたらしいが。