鏡と
ある夜のことだ。夏侯惇と酒を呑む約束をしていたので、于禁は平服姿で夏侯惇の隠れ処へと来ていた。既に夏侯惇は居るらしく、屋内の明かりが外から微かに漏れていた。それを確認した于禁は出入り口の扉を軽くノックする。
「夏侯惇殿、私です。于禁です」
ノックの後にそう言った数秒後、施錠が外れる音がした。扉が静かに開く。
「失礼致します」
出迎えた夏侯惇も平服姿だが、若干着崩れているのを于禁は見た。どうやら夏侯惇は先に呑んでいるらしい。
「もしや、私は遅刻してしまったのでしょうか? それならば、申し訳ありませぬ」
「いや、お前は遅刻していない。約束通りに来ている……とりあえず入ってくれ」
于禁は軽く安堵すると改めて「失礼致します」と会釈しながら隠れ処へ入った。すると夏侯惇は隠れ処の出入り口を再び施錠するなり、椅子に座らず立ったままで曹操のことを話し始めた。
「于禁、聞いてくれ。最近孟徳がな……」
世話が焼けることや、面倒事に頻繁に付き合わされるなどの愚痴を。
初めは于禁は「それは大変ですな」と言いながら相槌を打っていたが、次第に心がモヤモヤしてきたようだ。微かに拳を強く握り始める。だがそれに気付かない夏侯惇は、曹操の話を続けていった。
そしてある程度話し終えた夏侯惇はとてもスッキリしたらしいが、その頃には于禁は拳を握る力を強め過ぎて血が出かけていた。相変わらず、夏侯惇はそれに気付かないようだが。
「すまんな。お前と呑むというのに先に孟徳の愚痴を零してしまった。ほら、椅子に座りながら呑むぞ」
夏侯惇は窓際にある長椅子にゆっくり向かった後に座ろうとすると、于禁は咄嗟に無防備な夏侯惇を壁に向けて押し付けた。
「おい、何をする……!」
「……私と二人きりであるというのに、例え殿であろうと、どうして他の男の話をされるのでしょうか」
怒気を孕む声で于禁はそう言い、夏侯惇の乱れた平服を腹のあたりから素肌へまさぐって開く。そしてそこから素早く胸へと辿り着くと、胸の左の粒を人差し指と中指の先で強く挟んだ。みるみるうちにそこが赤く腫れていく。
「ぁ、やっ! ぁ、あっ、ん……」
夏侯惇はそれに抵抗しようとしたが、胸への刺激により力が一気に抜ける。于禁にされるがままの状態になってしまい、夏侯惇は顔を赤くしながら小さな喘ぎ声を漏らすしかできないでいた。その様子を見た于禁は鼻息を荒くし始める。
「……あれは、身支度用の鏡か」
于禁は隅に置いてある、夏侯惇と同じ大きさの鏡を見やる。力が入らない様子の夏侯惇の脇腹を抱えながらそこへ向かう。そして鏡には全体を覆い被さるように布がかけてあったので、それを取り払った。床にずるりと落ちていく布など気にせず、于禁は前を見る。
夏侯惇の体を立って支えながら鏡の方に向けると、于禁は胸への刺激を再開させた。夏侯惇の全身が、鏡にはっきりと映っている状態で。
「ぁ、んっ、やめ、恥ずかしい……」
平服をがばりと強引に開くと、于禁は両胸の粒を指先で摘む。だがその前に既に触れていない右側も赤く腫れてきたので、夏侯惇は喘ぎながらそれを見て恥ずかしがる。
「どうしてですか? いつも、あなたにしていることでしょう?」
于禁は挑発するように言うと、右耳を舌でべろりと舐める。
「違う、いつもは……鏡の前で、こんな体勢でしないから……あ、あん、んぅ、ぁあ、ぁ……」
夏侯惇は視線を逸らそうと、左の方へ顔を向けようとする。しかし于禁は右手で顎を掴み、無理矢理に鏡の方へと視線を戻させた。
「こんなに厭らしい体をして……」
粒を摘んでいた左手を離すが、夏侯惇の両胸の粒は赤く腫れたまま。夏侯惇は自分のその姿を見て瞼を閉じる。するとそれを見た于禁は眼帯に軽く唇を付けると、次は両胸の粒を両手の指先で押して潰し始める。
「ぁっ! あ、やだ、んん……ひ、や、ぁ!」
粒は腫れてはいるが、指先で押すと粒は夏侯惇の体の方へと沈んでいく。なので強く引っ張ると、夏侯惇の体が跳ねた後に腰がびくびくと震えた。
「っあ、ぁ、らめ、あ! ぁあ、イく、や、イく、あ、あっ、ぁあ!」
夏侯惇は射精したようだ。于禁は夏侯惇の膨らんでいる股間にあたるところを、平服の上から軽く握るとぐちゅりと音が鳴る。
「まるで、破廉恥な女性のようだ」
「ん、んぅ……」
夏侯惇は相変わらず顎を掴まれたままだったので、唇の端から涎が少し垂れている。于禁はそれを掬うように口付けをすると、掴んでいた手を離して夏侯惇の平服を全て脱がせていった。
「胸を触られただけでこんなに淫らな……」
于禁は右手で夏侯惇の股間に触れると、精液を纏わせる為に指を絡ませる。そこは萎えていないので、しっかりと指を絡ませていった。
「あ、あ……あん、ん、んっ!?」
夏侯惇の尻穴に精液が絡んた指先で触れ、そしてまずは中指を入れようとする。だがいつもはきつく閉ざされているはずなのに、今はかなりゆるくなっていた。于禁の指一本など、余裕で飲み込んでいる。
「夏侯惇殿、これは?」
指を二本に増やして于禁は聞くと、夏侯惇は腰をくねらせながら答えた。
「……ん、ぁ、朝俺が、ここで一人で弄って……」
どうやら夏侯惇はこの隠れ処で自慰をしていたらしい。それを聞いた于禁は指を即座に引き抜き、少しだけ着崩れた自身の平服の裾を開いて反り立った雄のみを取り出す。
「どうして、一人でされていたのですか?」
于禁は夏侯惇の右脚を開くように持ち上げると、雄を宛てがう。夏侯惇の恥部を、全て見せつけるように。
「『お前の』が、恋しくなって……」
夏侯惇はそう言うと、于禁は別の怒りが混ざってきた。するとそれを抑えながら、夏侯惇の眼帯を取り外して床へと乱暴に投げた。
「仕置きが必要のようですな」
「おい、于禁! やめ……ひぁ、あ、あぁ……!」
眼帯を取り外された夏侯惇は、必死に抗議しようとした。だが于禁の雄が尻穴にズブズブと沈んできたことにより、抗議の言葉ではなく喘ぎ声が出ていく。
「ご自身の指でですか? それとも、張形でも持っていらっしゃるのですか?」
半分ほど雄が沈んだところで、于禁はそう聞く。鏡には結合部が見えているが、夏侯惇はそれを直視できないまま答える。
「んぁ、あ……ぁ……!」
だが夏侯惇はまともな回答ができないらしく、ひたすらこくこくと頷いていた。なので于禁はどちらも、と判断すると更に雄を沈める。
「どちらがよかったですか?」
「ん、ぁ、あっ……お前のがでかい……あっ! あ、あ、ん、や……あぁっ!」
于禁は左手のみで夏侯惇の脇腹の辺りを固定させると、雄を一気に根元まで沈めた。夏侯惇は腰を痙攣させながら再び達し、腹には自身の精液がべっとりと付いていた。だがほとんどは床に流れ落ちていく。そこで夏侯惇がぐったりとした体勢になりそうだったので、左手で次は胸を揉みながら上半身を自身の方へと寄せた。
「……っは、あ……! あなたに全部入っているところが、見えますか? あなたの、膣に入っているところが」
息を荒らげる于禁は夏侯惇の右脚を更に開くと、先程よりも結合部がよく見えた。すると夏侯惇の中が強く締まる。
「やっ、ちが、俺に膣はな……んぁ! ゃ、あ、ぁあ、らめ、あ、あっ、あ!」
すかさず于禁はゆさゆさと腰を振るとぱんぱん、と肌がぶつかる音が響き始めた。
「らめ、や、ん、ぁ、あっ! ぁあ、あ、あっ、イく、あ、ぁあっ……!」
「ぐっ……!」
于禁は達して、それと同時に夏侯惇も達したようだ。結合部の隙間からはごぽごぽと精液が流れ出て、夏侯惇の左脚の太ももを伝う。
「溢れてしまったか……次は、溢れないように膣に種付けしなければ……」
于禁は少し雄を引き抜くと、角度を変えて再び根元まで一気に沈める。すると夏侯惇の最奥を突いたのか、夏侯惇の腹からぐぽりと音が鳴り、体全体がガクガクと震えた。再び腰をゆさゆさと振ると、中に出した精液をかき混ぜるような卑猥な音も鳴り響く。
「っあ! あ、あぁ、そこらめ、ひぁ、あっ、そこ、ちんぽによわいから、ぁあ、あ、あっ! やらぁ! イぐ、また種付けでイぐ、イっちゃう! ちんぽで、イく、あ、あっ、ぁ、ぁああっ、ああっ!」
夏侯惇は達した後に、目が虚ろになる。しかし于禁は雄を抜かずに次は激しく腰を振り、夏侯惇の最奥をごりごりと抉るように責めた。
「膣を突かれるのがそこまでお好きですか?」
「あ、やっ、ちんぽ、もうらめ! あたまがおかしくなる、ちんぽ、あっ、あ、らめ、ずこずこするのらめぇ! ぁ、あっ、あ、あ、あっ、イぐ! またイぐ、ぶんそくのちんぽが、すきになっちゃう、ちんぽが、あっ!? ちんぽが、だいすきに、あひっ、あ、あっ、あ、ああっ!」
夏侯惇が達すると、同時に于禁も達したのかようやく雄を引き抜く。くぱくぱと伸縮する結合部からは精液が大量に流れ落ちていった。
「ん……あぁ……」
流れ出た感覚で再び夏侯惇は達した。
「…………………………」
それを見た于禁は夏侯惇の耳元で小さく何か呟き、夏侯惇は意識を半ば失っている状態で小さく頷く。なので于禁は「約束でして下され」と静かに言うと、夏侯惇の唇に触れる程度の口付けをしたのであった。