蜜の月 - 1/3

一生の徴と

「あの、夏侯惇殿、少し相談が……いえ、提案でしょうか?」
雨がよく降る季節が来る前の、ある日の夜だった。明日も出社日であるからか、寝間着姿の二人は就寝するためにダブルベッドに乗り上げる。部屋の照明は消えているが、サイドチェストのテーブルランプの弱い光が微かに部屋を灯っていた。
于禁はベッドの上に正座をして夏侯惇にそう話しかけた。それもかなり改まった様子で。しかし夏侯惇は横になる前に、スマートフォンに充電ケーブルを挿そうとしていたので、手を止めて返事をしていた。
「ん? どうした? ……あぁ、お前のもケーブル挿しておくぞ」
夏侯惇はそう言って自分のスマートフォンに充電ケーブルを挿した後、夏侯惇が寝る側にあるベッド近くのサイドチェストに伏せて置く。次に于禁のスマートフォンを持って充電ケーブルを挿そうとした。そこで未だに改まっている様子の于禁は意を決して相談なのか提案なのか、本人でもどちらと言っていいのか分からない状態で再び口を開く。
「その……お揃いの……ではなく……こ、婚約指輪を、買いませんか!」
于禁がそう言ったその瞬間に夏侯惇は、数秒硬直して沈黙した後に手に持っていた于禁のスマートフォンをゴトリと床に落とした。そして驚きのあまりに口をポカーンと開く。
「……嫌でしたら、言って下されば」
だが于禁はその様子の夏侯惇を見て、今にも消え入りそうな声でそう言う。悪い返事が来ると思ったのか、今にも泣きそうである。
するとそこでようやく、夏侯惇は口を閉じて首をぶんぶんと横に振った。それもかなり焦っている様子だ。
「なっ!? 違う! 早まるな! 突然のことで驚いただけだ! ……この状況でそう言ってくるとは思わなくてな」
夏侯惇は言葉が後半に差し掛かっていくにつれ、顔を赤く染め始めた。チラリと視線を逸らしたが、于禁の方へと視線をすぐに戻すと于禁も顔を赤く染め始めていた。それに、流れる寸前にまで来ている涙を堪えている。
だがそこから二人は次の言葉が見つからず、互いに赤い顔を見つめるのみ。そこで次第に気まずくなってきた夏侯惇は、先程落としてしまった于禁のスマートフォンの存在を思い出したらしい。
「す、すまん、お前のを落としてしまったから、今拾う」
ぎこちなくそう言った夏侯惇は、床に落としてしまった于禁のスマートフォンを拾う。本体が壊れる程の衝撃も、画面が割れる程の衝撃も無かったので小さく安心しながら。そして充電ケーブルを挿してサイドチェストに伏せて置いてある夏侯惇のスマートフォンの隣に、同じく伏せて置いた。するとその直後、于禁は夏侯惇の片腕をぐいと掴んだ。
「無理にとは言わないので、せめて返事だけでも聞かせては頂けないでしょうか?」
于禁は夏侯惇に真剣に、だが顔を未だに赤く染めながらそう返事を要求する。それに対して夏侯惇も未だに顔を赤く染めながら頷くと、于禁へと抱き着いた。だが突然のことに于禁はバランスを崩すと、そのまま夏侯惇の下敷きになって倒れてしまう。柔らかいベッドの上へと倒れたので、特に問題は無かったが。
「お前との婚約指輪など、嬉しいに決まっているではないか。断る理由もない」
夏侯惇は于禁に覆い被さる形になると、顔を近付けてそう言った。穏やかな表情になり、片腕は自由になっていないため、もう片方の手を于禁の片側の頬の輪郭に添えながら。すると掴んでいた夏侯惇の片腕を離した于禁は、その片手を自分のもう片側の頬の輪郭に添える。
「ありがとうございます……」
両頬の輪郭が夏侯惇の手に包まれた于禁の瞳は、次第に潤んでくると少しだけ涙の粒が流れてきた。だがまだ瞳に涙が湖のように留まっているので、今にも溢れてくるかのようだった。
だが于禁本人でもここまで涙が流れていることに、大層驚いている様子だった。今や前の、様々な喜怒哀楽の記憶の断片が一瞬で脳内に映し出されたからなのか。
それを見た夏侯惇は、頬の輪郭を添えている片手を離す。そして自身の親指の腹で、涙の粒を優しく拭った。
「しかし、お前が先に言ってくるとは思いもしなかった。俺もそれを考えていたが、情けないことにタイミングが分からなくてな……」
拭った于禁の涙が、すぐにシーツの上へと垂れた。それを少し名残惜しそうに見た夏侯惇は、頬の輪郭に添えていた手を離す。それと同時に覆い被さっていた体も離して起き上がらせると、于禁の手を引いて同じく起き上がらせた。
二人は向き合いながら座ると、于禁の瞳から重力に従った涙がボロボロと溢れ始める。なので夏侯惇は于禁の顔を自分の鎖骨や胸に埋めさせるように抱き締め、背中を手の平で優しく擦った。そして幼子をあやすよう、ゆっくりと話し掛ける。
「明日の朝は左手の薬指のサイズを測るぞ。少し早めに起きてな。だからもう、このまま寝るぞ」
寝間着の胸元が涙で塗れる感覚がありながらも、夏侯惇は于禁と共に横になるとテーブルランプの灯りを消す。そして新しい涙を流し続けている于禁を何かに襲われる訳でもないのに、何かから守るように体全体で包んだ。そこでようやく新しい涙が流れなくなったと思うと、小さな寝息が聞こえてくる。夏侯惇は小さく笑うと、瞼を降ろして眠りについたのであった。

朝を迎えると二人はいつもより少し早めに起床をした。だが于禁は昨夜涙を流したことが原因で目を赤く腫らしている。鏡でそれを見たせいでもあるが、更に昨夜は夏侯惇に盛大に甘えていたのを思い出したらしい。朝食が終わり、ウォークインクローゼットで身支度を二人で始めている最中には于禁恥ずかしさで顔も赤くしていた。終わる頃には、耳まで赤くしているが。
「昨夜は……」
「昨夜は、泣きたかったのだろう? 俺はただ、胸を貸しただけだ。気にするな」
夏侯惇はそれと、と言いながら「早く指輪のサイズを測るぞ」と付け加えると、ウォークインクローゼットを出てからリビング・ダイニング・キッチンの部屋へと先に入って行く。顔の赤らみを消すように頭を振った于禁は、それに着いて行くように数秒遅れた後、ウォークインクローゼットを出たのであった。
スーツ姿の二人はダイニングテーブルで対面に座ると、ビジネスバッグを足元に置く。細長く切った白い無地の紙と定規とペンをテーブルの上に準備すると、リングサイズを測り始めた。
「俺は大方のサイズは分かるのだが、于禁はどうだ?」
「……全く分かりません」
于禁が控えめに返事をすると、夏侯惇が左手を出して欲しいと言った。なのでテーブルの上で若干浮かせながら、甲を天井に向けて差し出す。すると夏侯惇は早速、于禁の左手の薬指に細長く切った紙を巻いてペンで印をつける。だがその手を触っている最中、夏侯惇は懐かしげに呟く。
「前と変わらず、やはり指も手の平も大きいのだな」
「そうでしょうか? ……あなたは前と変わらないのか、とてもしなやかな手をしていらっしゃいます」
そこから数分ほど、今ではいつでもできる思い出話に浸ったところで、ようやく二人はリングサイズを測り終えた。
二人は、特に于禁は大方のリングサイズを把握すると、夏侯惇はとある疑問を投げ掛ける。かなり今更ではあるが。
「そういえば、指輪をどこで買うかは決まっているのか? それにデザインも」
「はい、どちらも既に決まっています」
于禁はスーツのジャケットのポケットからスマートフォンを取り出す。素早くロックを解除をしてから数秒くらい操作すると、目的の画面に辿り着いたらしい。画面の輝度を上げてから夏侯惇にスマートフォンごと渡した。
「……これを」
画面には予め決めてあるらしい指輪と、婚約指輪やペアリングも扱っているアクセサリーを販売しているブランドの通販サイトであった。そして于禁が候補に挙げている指輪とは、プラチナ製の何もデザインが施されていない、とてもシンプルなものである。夏侯惇はそれを見て于禁らしいと納得したような様子で微笑むと、スマートフォンを返した。手元に返ってきた于禁は、どうなのか不安なのか窺っている様子だが。
「俺もそのデザインで良い。だが、裏には何の文字を刻印して貰うか決めているのか?」
夏侯惇の言葉に于禁は、かなり安堵したと同時に、裏に刻印して貰うというものを完全に忘れていたようだ。少しだけ考えるが思い付かなかったらしく、首を横に振ると顔をがっくりと伏せた。
「申し訳ありません、刻印のことは忘れていました……」
「大丈夫だ。それなら、それは俺が決めてもいいか? お前にもきちんと確認をするが」
すると于禁は伏せていた顔を上げて賛成の返事をする。そこから少しだけ会話をした後に、そろそろ家を出て出社しなければならない時間が迫っていたらしい。二人は足元に置いていたビジネスバッグを持ち、玄関ドアの前まで歩いて行くと、靴を履いて夏侯惇がドアノブに手をかける直前であった。そこで于禁は夏侯惇の手を止めて、体を向き合わせると一瞬だけ口付けをする。夏侯惇の唇の柔らかさを、少しだけ感じながら。
「珍しいな、お前からそうしてくれるとは」
夏侯惇は優しく笑うと、于禁にそれを返すように同じく一瞬だけ口付けをして唇が離れた。すると于禁は、夏侯惇を互いの顔が見えないくらいに強く抱き止めるが、自分が手に持っていたビジネスバッグが落ちる。しかし于禁はそれを気にしていないようだ。一方の夏侯惇は自分が手に持っているビジネスバッグを落とさないように、于禁の体を腕で包んでいた。
ものの一分だろうか。そこから静寂ができてそれくらい短い時間が経過したところで、于禁はそれを壊すように声を出した。
「そろそろ出ましょう。遅刻してしまいますので」
于禁は時間が迫っていても離れたくない様子ではあるが、渋々といった様子で夏侯惇への睦まじい拘束を解こうとした。しかし夏侯惇はそれを拒否しているようで、体を包む腕を離そうとはしない。寧ろ、その力が強くなっている。
「あと少しだけ、こうしていてもいいだろう?」
腕に包み込まれる力の強さに、于禁は驚くがすぐに口角を上げた。そして于禁は言葉で今の意思を伝えようとしたところで、夏侯惇にそれを妨害されるように唇を貪るように奪われたのであった。

それから数週間後のある休日の昼間、この日は雨が降っていた。二人の元に婚約指輪が届く。なので二人は早速、ダイニングテーブルに梱包用の段ボールを開けて置く。婚約指輪の入っている、リングケースを取り出すと二人掛けのソファーに並んで座った。そしてそれを夏侯惇が開くと、綺麗に銀色に輝く指輪が二つ、並んで収まっていた。
「本当に、俺たちのものだな……」
指輪をまじまじと見た後、指輪の裏側も見る。そこには前の時代に二人が付き合い始めたであろう日付と、それに今の時代に付き合い始めた日付の数字のみが刻印されていた。
今の時代であっても、指輪に縁が無かった于禁は言葉が出ないようだ。特に夏侯惇と婚約指輪を持つことができて、あまりにも嬉しいのか。
「夏侯惇殿……指輪を、嵌めても?」
ようやく言葉が出ると、于禁は手を差し伸べながらそう言う。なので夏侯惇は何も言わずに左手を差し出すと、于禁は静かに指輪を婚約薬指に嵌めた。やはりサイズが丁度よいのか、夏侯惇は満足気な顔をする。
「ほら、お前も」
「はい」
于禁も左手を差し出すと、夏侯惇は薬指に婚約指輪を嵌める。于禁もサイズが丁度良いらしいが、初めての薬指の存在に照れ笑いをした。
「可愛らしい顔をするな……」
それを見た夏侯惇は于禁に更に体を密着させる。于禁の体温がより伝わり、そして夏侯惇も体温をより伝えた。
「あの、夏侯惇殿……指輪を着けたままで……今から、あなたを抱いても宜しいですか?」
于禁は夏侯惇の腰に手を回し、とても真っ直ぐな目で見つめる。対して、夏侯惇も真っ直ぐな目で見つめ返した。すると二人の目は、すぐに熱を帯び始めたようだ。
「それなら、俺をベッドまで運んでくれ」
「喜んで」
すぐに于禁は腰に回していた手を引かせると、夏侯惇を横抱きして軽々と持ち上げた。そしてカーテンの閉まっている、薄暗い寝室へと夏侯惇を慎重に運んでベッドの上にゆっくりと降ろす。次に于禁もベッドの上にゆっくりと乗り上げると、夏侯惇を組み敷いた。二人は互いに着ていた衣服を全て取り払う。
二人は今まで精神的にも身体的にも、散々と言って良い程に契りを交わしてきた。それなのに、于禁は初めて契りを交わすかのように緊張し始めた。互いに婚約指輪という名の新しい『繋がり』ができたからか。
「文則……」
それを察した夏侯惇は、于禁の首の後ろに腕を回して体全体を密着させる。すると于禁の目立つ怒張が、夏侯惇の太腿に主張するように当たっているのが分かった。既に興奮していてくれているのが嬉しくなった夏侯惇は、脚を于禁の腰に巻き付かせていく。
夏侯惇は于禁と唇を合わせる。すると于禁は舌を出して唇を割ってきたので、夏侯惇はそれを受け入れるように舌の侵入を許した。なので夏侯惇の口腔内に于禁の舌がぬるりと入っていき、そのまま互いに舌を絡み始める。どちらかが、一方的に舌で蹂躪することもなく。
「ん、ふぅ……んっ……」
いつもの男らしい声ではなく甘い声を夏侯惇が漏らすと、于禁の目立つ怒張が限界が来ているようだ。怒張の全体にある血管がバキバキと浮き上がり、先端から先走りをダラダラと垂らす。早く夏侯惇の熱い肉に包まれ、そしてそこを本能のままに突きたいのか。
だが于禁はそれに耐え、舌を引かずに絡め続ける。
「ふ、っぅ……!」
そうしていくうちに夏侯惇の体がビクビクと跳ねたと思うと、すぐに達してしまったようだ。夏侯惇の濃い精液が于禁の腹に飛び散るようにかかり、雄の匂いを放つ。そこで于禁は唇を離すと、粘ついた唾液が二人の唇を繋ぐように細く引いていた。
そこで夏侯惇は完全に発情したのかせがむように腰を揺らすと、太腿に于禁の怒張が擦れる。夏侯惇の太腿に先走りが付着した。それでも構わず夏侯惇は腰を揺らし続けると、于禁は雌を見るような目を夏侯惇に向ける。
「早く出したいか?」
相変わらず発情しながらも、夏侯惇は挑発の言葉を出して于禁の怒張に手を伸ばす。少し触れるだけでも分かるその硬さと大きさに、淫婦のように笑みをにこぼした。
対して于禁は雌に種付けをしようとする雄の顔に変えて頷くと、夏侯惇は首の後ろに回していた腕を解いた。そして逆に于禁を組み敷いたと思うと、怒張へとすぐに視線を移して顔を近付けた。夏侯惇はふっと軽く息を吹き掛ける。すると于禁の怒張から更に先走りが垂れ、ビクビクと揺れた。それを見た夏侯惇は舌を出して可愛がってやろうと思っていたが、それを止めた。
その代わりに、と言いたいのだろうか。夏侯惇は顔ではなく、成人男性にしては豊満な傾向にある胸を近づける。だが女のように谷間は作れないし、女のように柔らかい胸はない。
それでもできるだけ手で寄せて少しの谷間を作ると、そこで于禁の怒張をぬるぬるとぬめらせ始めた。ずっと垂らしている先走りを潤滑油にして。
それはとても卑猥な光景であった。于禁はそれを見てというのもあるが、夏侯惇の胸で怒張を刺激されたのですぐに精液を撒き散らした。夏侯惇の胸は勿論だが、顎のあたりにも少し。
だがまだ理性を保っている于禁であれば、かかってしまった顔の少しの面積であっても綺麗に拭いて謝罪をしていたかもしれない。しかし今はそのような言動をする気は無いようだ。
そして射精をした直後ではあるが、于禁の怒張はまだまだ足りないらしい。
「俺に、顔射したいか?」
夏侯惇は于禁の顔ではなく、怒張を見ながらそう聞く。やはり淫婦のように、誘うような表情で。
すると頭上から「はい」と短い肯定の返事が降ってきたので、夏侯惇は于禁の怒張を手で扱き始めた。左手の平に先走りを馴染ませると、ぬちゅぬちゅと音を出しながら滑らせる。時折、婚約指輪を鈍く光らせながらも。
すると両手を使ってようやく収まるそれを次に口に含んで口淫をすると、于禁は射精したくなったらしい。なので夏侯惇の頭を引き剥がし、先端を向けるとすぐに射精をした。夏侯惇の顔全体だけではなく、髪にも雄臭く濃い精液がどろりとかかる。
「ん、っは、あぁ……ぁ……」
色欲の混じった吐息を吐きながら、夏侯惇はそれを受け止めた。そして口に入りそうな精液を舌で舐め取る。
「次は、ここですか?」
于禁は夏侯惇を再び押し倒すと両膝の裏を胸のあたりまで持ち上げ、女のように受け入れる媚肉を晒し上げて聞く。だが夏侯惇は、興奮のあまりに舌を仕舞いきれないらしい。その状態で頷くと、于禁は詳細を更に聞いた。
「ならばそして、どうして欲しいですか?」
すると夏侯惇はその媚肉を自ら更に曝け出すように、くぱりと両手で開く。今は狭いものになっているが、それでも中のピンク色の粘膜がチラリと見えていた。
「ここに、たくさん出してくれ。お前との子を……孕みたい……」
子など成せるはずがないし、夏侯惇にはそのような器官などない。それを分かっていながらもそう言う。
于禁はそれに返事もせず夏侯惇の顔にかけた精液を指で掬うと、それを媚肉へと持っていって挿入した。
「ぅ、ぁ、んんっ!」
媚肉の中は熱を帯びていて、そして狭かった。指先が入っただけで夏侯惇は女のように悩ましげな表情に変え、艷やかな嬌声を上げると、媚肉を拡げていた手を離す。指を挿入されただけで既に己が善がってしまう性感帯になってしまっているのか。
「何人、欲しいですか?」
于禁は挿入した指を抜き挿ししながら尋ねると、夏侯惇は嬌声を混じえながら答えた。
「ぁ、ぅあッ……ん、たくさん……」
「分かりました」
挿入する指を増やすと、媚肉からくちゅくちゅと水音が鳴る。その度に夏侯惇の嬌声はより大きく、そして媚肉が受け入れる為に拡がっていく。
指を更に増やして更に指をぐいと広げた。次にわざと前立腺を触れると、夏侯惇は体を大きく跳ねさせて手を離してしまった。
「っや! ぁ、あぁ!」
「まだ、子作りは始まっていませんが」
于禁は前立腺を苛めるように指でぐいぐいと押し、指先でくりくりと擦ると夏侯惇は射精をする。自らの精液も胸にかかり、むせ返るような雄の匂いが漂う。それに興奮した夏侯惇の肢体はより淫らなものへと変えていた。
「そこ、いじめないで……」
大きく息を切らせながら夏侯惇はそう懇願する。しかし于禁は煽っているようにしか聞こえないらしい。更にそこを指先で連続で突く。
「ひぁ! ぁ、あっ! きもちいい、ッや、ん、あぁ!」
于禁はもはや女の股を指で突いているようにしか思えなくなっていた。夏侯惇の媚肉は次第に柔らかくなり締め付けもある。それでもやはり指で突く度に、嬌声や潤滑油によりじゅぶじゅぶと鳴る音が聞こえるからか。
だが前立腺を指で更に突き、夏侯惇がまた射精しようとしたところで于禁は指を引き抜いた。それに困惑した夏侯惇はぽっかりと空いた媚肉を曝け出され、そこは大きな伸縮を繰り返していた。
「っあぁ! ん、ぅ……文則の大きなまらがほしい……」
夏侯惇は于禁の背中に手を回してそう強請った。于禁はシーツで夏侯惇の顔をようやく拭くと、怒張を媚肉にあてがう。
「元譲……」
于禁は熱い息を吐くように夏侯惇の字を呼ぶと、上へとのしかかって両膝を更に開く。媚肉の縁を怒張の先端で、くるくるとなぞり始めた。于禁の眼は腹を空かせた獣の前に餌を置かれたように、血走っている。夏侯惇はそれに見つめられると、新しい精液を僅かに垂らした。于禁の興奮状態が最高潮になっているのが窺えたのと、そのような眼で見られて興奮したからか。
「ぁ! あん、ん……」
媚肉の縁を刺激するだけで夏侯惇は、悩ましげな表情で喘いで腰を振る。早く、媚肉の縁ではなく中を貫いて欲しいらしく。
「はやくきて、ずこずこして……着床させて……」
「分かっています、ん、ふっ……」
怒張の先端を媚肉に埋め始めたが、そこは指で挿れたときよりも熱くなっていた。その熱さに包まれながら、于禁の怒張は少しずつ奥へと進んでいく。
その間に于禁は背中に回されていた手を振り払うと、夏侯惇の顔の横に手を置いて、指を絡めさせて指輪の感触を確かめる。そして叩き付けるように一気に奥へと押し込み、怒張が根元まで埋まった。唐突にきた強い快楽に、夏侯惇の頭は一瞬だけ真っ白になる。
「……あ! っや、ん、ァあ!」
夏侯惇は指に力が入らなくなったらしく、指が自然と開いた。絡め合っていた指が解けたが、于禁は一方的に指を絡め直す。堅い指輪の感触を強く感じながら。
怒張全体が媚肉に包まれた于禁は、そこで射精した。媚肉に精液を送ると、夏侯惇もその刺激で射精をした。それに構わずにすぐ、于禁は中の肉を擦るように激しいピストンを開始する。
「ッあ、あっ! ひ、あ、ぁあっ、ア! やめ、さっき、イったばっかだからぁ!」
夏侯惇の嬌声と、皮膚同士がぶつかり合う音と、媚肉に注がれた精液を怒張でかき混ぜる音が鳴り響く。だが媚肉に注いだ精液を一滴も零さないようにと、于禁は間断なく怒張を抜き挿しした。
「はっ、はぁ、はっ……」
腰を振る度に于禁は、相変わらず眼を血走らせながら声を漏らした。
だが夏侯惇と些細な睦言を交わす余裕など、もう無いらしい。今の于禁には夏侯惇をいかに雌のように啼かせるかと、種付けをすることしか頭になかった。なので一心不乱に腰を振り、夏侯惇の媚肉に怒張を打ち付ける。それに対して夏侯惇は蕩けた目で喘ぎながら射精したが、射出する精液の勢いや量は弱くなってきていた。
「あ、ぁあっ、ん、ひぁ! すき、ぶんそくすき、アあっ!」
そうしていると、于禁は二回目の射精をした。ピストンを一旦止め、じっとした状態で媚肉の奥へと熱い精液を流し込む。
「ん、あぁ、あ、あつい……」
射精が終わったところで于禁は夏侯惇と一瞬だけ口付けをすると、ピストンを再開した。先程よりも夏侯惇の胎内に注がれた精液が多くなったのか、ごぽごぽと音が鳴り始める。
「あ、や、イく、もう、ちゃくしょうしたからぁ! あかちゃんできるからぁ! あっ、ん、お、ぶんそく、ぁ、イく、っひ! ぁ!」
夏侯惇は眉を下げて涙目になり喘ぎながら、拙くなった口調でそう訴えるが于禁はそれを無視した。于禁からしたら、より煽る言葉にしか聞こえないのか。すると胎内を何度も激しく突かれ、夏侯惇は弱く射精をした。
そこで于禁は夏侯惇の胸の硬い粒に顔を近付けるが、まだ乾いていない自分の精液がまだ付着している。それをシーツで軽く拭いてから、粒を舌で舐めた。
「ひゃあ! あ、ぁ! っあ、あ、ァ!」
夏侯惇の体が大きく跳ねる。体が勝手に于禁から逃れようとするが、体全体の力が入らないらしい。ただ腰を卑猥にぐねらせ、余計に于禁を煽る形になった。
ピストンはまだ続けながら、夏侯惇の左の胸の硬い粒を舌先で強く押した。すると媚肉が更にきつく締まり、于禁の息は更に荒くなる。熱い息と舌により、夏侯惇の左の胸の粒だけが膨らんできた。
「ん、ぁ、あっ、ん、あっ! すわないで、ちちでないから、やめ、あ、あん、ぁ!」
于禁はわざと音を出しながら粒を強く吸うと、夏侯惇の背中が反り、弱々しく射精した。それと同時に于禁も射精をし、夏侯惇の腹が少し膨らんだ。そこで于禁はピストンを止めたが怒張は相変わらず、媚肉に栓をするようにみっちりと埋まっている。
于禁が硬い粒から唇を離すと真っ赤に腫れていた。しかし右の硬い粒はまだ小さい。なので于禁は次にまだ赤く腫れていない、胸の右の粒を口に含んだ。
「んゃ、あ、ぁ!」
右の硬い粒に歯を立て甘噛をすると、左の硬い粒がビクビクと震えた。それを視界の隅で捉えた于禁は、指で摘むと強く抓る。
「ぁあ! んァ!」
「ここも、大きくしておかなければなりませんが」
右の粒に息を軽く吹き掛けると、舌先でぐりぐりと押す。そして形や大きさを確認するように舌を這わせると、左の粒と同様に強く吸った。
再び夏侯惇が射精をしたが、更に弱々しくなっていた。先走りのようにダラダラと流れるのみ。
「もう、せいえきでない……」
何回もの射精や与えられる快楽により、夏侯惇の瞳の焦点が定まらなくなりながら、于禁にそう訴えかけた。だがとても悦に浸っているようだ。口角がかなり上がっている。
それを見た于禁は、右の粒から唇を離してからすぐに首を横に振る。
「出なくとも、ここで終わる気は無いので」
于禁の返事とともに夏侯惇は短い悲鳴を上げる。体はまだ于禁からの快楽を欲しているが、脳はもう受け付けていないのか。夏侯惇は反射的に身をよじって離れようとしたが、それは遅かったようだ。于禁に腰を掴まれてそして、芯の抜ける気配のない怒張が埋まったままの状態で、四つん這いの体勢へと変えられた。
「ッやぁ、ん……」
夏侯惇はその衝撃により喘いだ。胎内で、于禁の怒張が大きく動いたからか。
しかし夏侯惇は力が入らないようで、すぐにその体勢は崩れる。手の平は辛うじてシーツの上にあるが、膝はどうにも立たないらしい。そこだけ正座をするように膝を畳み、腰を落とした。
「……ここがこんなに大きくなったというのに」
だが于禁はそのような状態の夏侯惇の背中へと覆い被さった。そして胎内に溜まった精液によって僅かに膨らんだ夏侯惇の腹を確かめるように両手で擦る。それと同時に右の耳に顔を近付け、耳たぶを舌でぬろりと這わせた。
「ッう、あぁ!」
夏侯惇は口から少量の唾液が垂れ、シーツの上に落ちた。唇が閉じられなくなってきたらしい。
「可愛らしい私の元譲……」
于禁はとても愛しげに夏侯惇の字を口にすると腹から手を離し、于禁は夏侯惇の手の甲の上に自らの手を重ねた。特に左手は、上から重ねて指を絡める。
そこでようやく、夏侯惇の脳と体の感情が一致できた。
「ん、ぁ……まて、ぶんそく……」
そこで夏侯惇は言葉で制止をするが、その声は散々に于禁に啼かされたせいなのか、発する言葉がかなり拙い上に掠れていた。それに息が整う気配もない。だがそれでも、夏侯惇は言葉を続ける。
「……おまえの、お前の、顔を見ながら、お前に見られながら、イきたい……。だからこの体勢は、やめてくれ……」
振り向ける程の体力はもう無いのか、ひたすら肩で息をしながら夏侯惇がそう言うと、于禁は何も言わずに静かに頷いた。夏侯惇からはその様子が見えないが、于禁の反応が何となく分かったらしい。そこで夏侯惇は于禁の字を愛しげに口にする。
于禁は再び怒張が埋まったまま、夏侯惇の向きを変えて覆い被さる体勢になった。その際、夏侯惇は先程のように再び小さく喘いでいたが。
「元譲……」
于禁は夏侯惇の顔を見る。夏侯惇の瞳はやはり焦点が定まっていないうえに、唇の端から再び唾液が垂れてどろどろとした顔になっていた。
しかしその様が、于禁にとっては綺麗に思えた。愛しいパートナーがここまで乱れた姿を見るのは、初めてだからか。そしてそれが今までで最も情欲を掻き立てられるくらい、官能的な姿をしているからか。
「はやく、ぶんそく……」
夏侯惇は于禁の顔の方へとゆっくりと左手を伸ばすが、それは目的の場所に着かなかった。夏侯惇の手は于禁の顔より少し離れた場所で、ただ空を掴むように空振る。なので于禁は、夏侯惇の左手の指を絡め取った。余裕の無い表情をしながら。
「私は、ここです」
「ぶんそく……」
指を絡め合ってから弱く握り合ったところで、于禁はゆっくりとピストンを再開させた。夏侯惇の胎内に出した精液を、再び怒張で掻き混ぜるように。
「ん、あ!あっ、ァ、もっと、激しく、しろ、あぁ、ん、あっ!」
そう言われた于禁は体勢を変える前と同様の、激しいピストンへと変えた。すると夏侯惇の胎内から大きな水音が聞こえてくる。
「あ! ぁ、あ! あっ! ひぁ、もっと、奥にきて、ぶんそく! ぁ、ア! ん、あぁッ!」
「ん、はっ、はっ、は……奥、ですか……!」
于禁は怒張を締め付ける胎内の気持ち良さに浸っていると、夏侯惇からそう望まれる。なので夏侯惇の手を優しくシーツの上に置くと、腰を掴んで怒張をゆるゆると引かせた。何度も出した大量の精液が、ダムのように流れ出たがそれを再び蓋をするよう、怒張を押し込んだ。すると夏侯惇の腹からぐぽっと音が鳴り、体全体が震えた。
于禁の怒張が、夏侯惇の胎内にある結腸へと辿り着いたのか。
「かはッ! 〜ッあぁ、ア! そこ、ゃ、あっ! ぁあ! もっと! ぁ! あっ、ア!」
夏侯惇の口から歓喜の言葉と共に唾液がダラダラと出て、于禁はその調子でピストンをした。夏侯惇の胎内からは精液を掻き混ぜる音ではなく、ぐぽぐぽと内臓を可愛がる音が聞こえてくる。
「あっ、ぁ、ん、あ! らめ、イぐ、ぁ、あっ、ア、お! ァ、イぐ、ほんとうに、こどもが、できちゃう! あぁ、ひゃ、できちゃう! あ! ぁっ! ひあぁっ!」
半分悲鳴のような嬌声を上げた夏侯惇が潮を吹くと、于禁は胎内の結腸へと薄い精液を注ぎ込んだ。その後に于禁は、今にも気を失いそうな様子の夏侯惇と唇を微かに合わせる。すると、于禁の瞳からは涙が流れた。本人でも思いもしないことが起き、驚いているらしく目を見開く。それも先日の婚約指輪を買おうと言ったよりも大量に。
だがその涙は夏侯惇の頬へとぱたぱたと落ち、すぐにシーツへと流れて垂れていった。
「ぶんそく、おいで……」
それを見た夏侯惇は意識を振り絞り、于禁を弱々しく胸元に引き寄せる。そして于禁の頭を左手で撫でると、夏侯惇も涙が流し始めた。引き寄せられている于禁は、夏侯惇を抱き返す。すると夏侯惇の胸元がふやけるのではないかと思える程に涙に濡塗れたが、于禁を幼子をあやすように頭を撫で続けた。
そこから二人は、枯れるまで静かに涙を延々と流し続けたのであった。ここまで何もかも深く、二人で繋がれたことの嬉しさのあまりに。