溶ける体温
寝台へと誘うと、すぐに夏侯惇は于禁を組み敷いた。二人の表情は既に発情していて、いち早く粘膜同士を合わせたくてたまらないらしい。
夏侯惇は貪るように于禁と唇を合わせる。それと同時に夏侯惇は于禁の服を脱がせ、于禁も夏侯惇の服を脱がせていく。窓から差し込む日光により、次第に晒されていく互いの体は、窓から差し込む太陽光と、それに反射する雪で普段よりも白く見えた。
互いに全ての衣服を脱がせ終えると舌先を出して絡ませた。火鉢でも間に合わず、寒さによって冷えた唇は、口腔内の熱さですぐに溶かされる。
「これほど明るい時間からするのは、余計に厭らしく思えるな」
唇を離した夏侯惇は于禁の頭部に手を伸ばした。次に冠を取り、簪を抜いて纏めていた長い髪を寝台の上に散らばせる。対して于禁も夏侯惇の眼帯を取り外し、失明している左を晒させた。互いに、普段は誰も見ることのない姿を見て興奮しながら。
「ですが、誘ったのはあなたでしょう?」
すると于禁は形勢を逆転させ、次は夏侯惇を組み敷く。解かれた長い髪は、夏侯惇の顔にかかったのでそれを退ける。だがそのときには二人の雄は既に芯を持っていたため、それを于禁は右手で二本をぎこちなく刺激した。腰を微かに振って自らのものと擦りながらも。手は火鉢で暖まっていたので、心地よい快感があった。
残った左手は自分の体を支えつつ、夏侯惇の頬に添える。その頬は熱くなく、雪のように冷たい。
「……っ! だが、その誘いに乗ったのは、お前だろう?」
夏侯惇は目を細めながらも口角を上げる。そして于禁の左手を払い、首の後ろに両腕を回して密着すると、熱い吐息を于禁の唇に当てた。なので于禁は舌を出すと、夏侯惇はそれを唇で挟んだ。
「ん、んっ……」
舌先を吸うと、于禁は切なげに声を漏らす。夏侯惇は舌先をぐいぐいと伸ばすように唇を動かすと、舌を出して再び舌を絡ませた。夏侯惇も声を漏らしながら、互いの舌の感触や熱さを共有し合う。
すると刺激されていた互いの雄が果てたのか、二人の腹にそれぞれの精液がかかる。
「んぅ、んそ……く……」
夏侯惇は口を開け、酸素を求めながら于禁の名らしきものを呼ぶ。それを聞き于禁はようやく唇を離すと、自分から垂れた唾液の糸が夏侯惇の顎に垂れたので、それを左手の親指の腹で拭う。
「ぶんそく……」
夏侯惇は長い口付けで力が抜けたのか、于禁の首の後ろに回していた両腕を寝台の上へ、パタリと落とした。
「元譲……」
すると于禁は自分の唇を、夏侯惇の唇へと軽く触れ合わせた後に、顎へと向かってそこも軽く触れる。その後は喉仏へと向かって軽く噛んだ。夏侯惇は「あっ……」と声を漏らす。
だが噛み跡はついていないものの、歯型の跡はついたようだ。夏侯惇の喉仏のあたりは、そこを食うように残っている。それを見た于禁は歯型の跡を舌で舐めた。
「あ! んんっ……」
夏侯惇はびくりと体を震わせる。
「愛しています、元譲……」
そう言うと于禁は夏侯惇の気持ち右側へとずるずると移動し横になり、両脚を右手でかぱりと開く。夏侯惇は脚さえも力が入らないのかすんなりと開いたうえ、自力で閉じられずそのままの体勢になった。
夏侯惇の腹の上にかかっていた精液を右手の人差し指で掬うと、そのまま下へと行き、尻穴へぴたりとつける。すると夏侯惇の腰は揺れた。
「ぶんそく、早く……」
「少しお待ちを」
閉ざされている尻穴を指で突っついた。それと同時に、右の胸へと舌を這わせる。
「ひぁ……あっ、あ……」
胸の部分の皮膚は冷たかった。それに胸の両粒も立っているので、舌を這わせている右胸の粒を潰すように舌で押すと、夏侯惇の体が跳ねる。
その瞬間に、于禁は尻穴に指をぐいぐいと押し込んだ。精液が潤滑油になっているのか、みるみるうちに人差し指の根元まで入っていく。
「あ、ん! あぁ、ぁ……もっと、太いのを……」
尻穴は于禁の指をぎゅうぎゅうと、離さないように締め付けていた。
「暫く我慢をして頂かないと」
困った表情に変えた于禁は、胸の粒を潰すように押していた舌を離す。その後にそう言うと、尻穴に入れている指をぬるぬると抜き差しし始めた。
「や、ぁあ、ん、ぁ、あ、あっ、あ、ア」
「我慢、できますか?」
于禁は指を増やしてそう聞くと、夏侯惇は首をフルフルと横に振った。
「できない、ひあっ、あ、あ、ん、ぁ、ぶんそく、ぁ、アっ! あ、ほしい、あ、ぁ、あぁ、あ!」
「……なりませぬ」
于禁は息切れをしながらそう答えた。夏侯惇と同じ気持ちだが、それに耐えて。
二本の指で尻穴を搔き混ぜるように抜き差しすると、于禁は再び右胸に舌を這わせる。そして乳を吸う赤子のように、粒をちゅうちゅうと吸い上げた。
すると夏侯惇は背中を反らせ、嬌声を出す。
「ぁアッ! あ、ァ、あ、ぁん! ッあぁ!」
夏侯惇は射精した。再び自分の腹にかけると、それを横目で見た于禁は尻穴に入れる指を三本へと増やす。
「ゃ、はやく! ぁ、あ、ぶんそく、はやく、ァ、あ、あ、ん、あっ」
尻穴からはぐぽぐぽと音が鳴り始め、夏侯惇を一層奮い立たせたようだ。そう強請るが、于禁はまだだと指を抜いてくれない。
「あ、ぁ! ぶんそくの、ちんこ、ん、ぁ、あっ、ほしい、アっ、ちんこ、あ、あ! そこ、らめ! そこ、まだおしたららめ、あぁ、や、ぁ、あっ、あ、ァ、あ!」
夏侯惇は前立腺を指で一度、思いっ切りグッと押されたようだ。三度目の射精をするとようやく于禁は指を引き抜き、吸い上げていた胸の粒から唇を離す。
「動けますか?」
「ん、ん……」
肯定か否定か、どちらの返事なのか分からない于禁は、まともな返事を期待しないことにした。夏侯惇の体を持ち、四つん這いにさせるとそのまま背後から覆い被さった。だが力が入らないのか、夏侯惇は前のめりに崩れてしまったが。
于禁は夏侯惇の左耳に舌を突っ込むと、じゅるじゅると音を立てると離す。
「ずっと離れませぬ」
「んぁ、おれも……」
息の上がっている夏侯惇は于禁の方には振り向けなかったが、寝台の敷布をぎゅっと握り締めた。それを見た于禁は左肩に唇を触れると、自身の限界が来ている雄を夏侯惇の尻穴に宛てがう。
雄が尻穴に来たのが分かったのか、夏侯惇は急かすように尻を揺らす。于禁は雄をずぶずぶと尻穴にゆっくりと埋め始めた。
「ア、あぁっ! ちんこきた、ぁ、あ……!」
再び尻を揺らすと、于禁はそれを止めるかのように埋める速度を早めた。だが尻穴は狭いのか、于禁は苦しげな声を漏らす。
「は、はっ、ぐっ……!」
「ひゃ、あぁ、ぁ、あっ、ア、あっ!」
根元まで入ったところで、夏侯惇はガクガクと体を震わせながら射精した。しかし色は薄まっているようで、それを夏侯惇は見ながら更に息を上がらせる。
「動いても?」
于禁はうなじに唇をつけると、夏侯惇が「んっ……」と声を漏らした後、コクコクと首を縦に振る。なので于禁は再びうなじな唇をつけた後に腰をゆっくりと揺らした。
「あっ! あ、ぁ、ん、あ、あっ、ぁ、あ」
寝台が揺れてギシギシと鳴った。
それと同時に、寝台の敷布を握り締める夏侯惇の指先が白くなってきている。なので于禁はその上から自分の手を乗せると、夏侯惇の指先の白さが少し引いてくる。
「元譲、あなたは可愛らしい……」
それを見た于禁はフッと笑うと、先程よりも腰を振る速度を早める。次は右耳へと唇を近付けてそう囁くと、腹の中はきつく締まった。
「んぁ、あっ、あ、あっ! ぁ、んっ、あ、ア、あっ」
腰を振っていた于禁は呻き声を出すと、そのまま腹の中に射精した。夏侯惇も射精したが、かなり薄まっていた。
「ぐぁ、あ、う……!」
「っあ、あ……」
二人は激しく息切れをすると、于禁は振っていた腰を止める。寝台の軋む音と嬌声が聞こえなくなると、はぁはぁという荒い息遣いのみが、聴覚を擽った。
「まだ、続けますゆえ……」
息遣いの荒いまま于禁はそう言うと、腹の中から雄を引き抜いた。尻穴からは粘性があって、なおかつ濃い色の精液がごぽごぽと流れ出た。すると夏侯惇の手の上に乗せていた手を離し、背中に覆い被さっていた体も離す。
「あぁ、あ……」
腹の中から引き抜かれた反動により、夏侯惇は再び寝台の敷布を強く握り締めたので、于禁はそれを取った。
「掴むのならば、私の背中を」
そう言った于禁は、夏侯惇を仰向けにすると、脚を開かせて腰を少し浮かせる。そして腕を自分の背中に回した後に、再び腹の中に雄を収めた。
「ひぁ! あ……! ァ……」
夏侯惇は于禁の背中に爪を立てると、そのまま食い込ませた。于禁は痛みに顔を歪めたが、雄で腹の中を突いた気持ち良さですぐにどうでもよくなったようだ。
于禁は腰を上下に振り、夏侯惇の腹のより奥を突く。再び寝台が軋む音が聞こえると、夏侯惇は両脚を于禁の腰へと巻き付かせる。次第に于禁は余裕の無さそうな表情に変えていった。
「ぁ、あ、きもいいい、あっ、ぶんそく! すき、ぁ、あっ、あ、ァ、あぁっ!」
「私も、う、うぐっ!」
夏侯惇は雄から透明に近い液体を垂れるように流し、于禁は腹の中に再び精液を流し込んだ。
腹の中に流し込んだ于禁は雄を引き抜かず、獣のような息遣いに変えながら、夏侯惇と一瞬だけ唇を合わせた。
「まだ、日は暮れていませんが……」
室内はまだ明るかった。だがそれでも、と夏侯惇は口付けを返す。
その頃には既に二人の体は熱くなっており、赤く火照っていた。
「もっと、ぶんそく……」
夏侯惇がそう言うと、興奮した于禁は再び腹の中を突き始めたのであった。