大吾さんとローター

 翌朝、目を覚ませば隣にはすやすやと眠っている大吾が居た。時刻は朝の六時を回ったところである。
 まだ起きる時間ではないので大吾をぎゅうぎゅうと抱きしめ、そして頭をさらりと撫でていく。今は落ちている髪をしているので、かなり幼く見えた。髭は勿論あるのだが、何だか背伸びしている者のようにも見える。それが可愛らしくて仕方なく、額に軽くキスを落とす。愛しさまでも湧いてきたが、手放すつもりなど毛頭ない。
「ん、んん……? なんだ……?」
 目を覚ましてしまったようだ。閉じている瞳を徐々に開いていけば、綺麗な黒色がこちらを見る。目が合うと、峯は「おはようございます」と挨拶をした。大吾がすぐに返してくれる。
「おはよう……うっ……なんだか、体が怠い……」
 げんなりとしていたので、峯は申し訳なさそうに返した。昨夜のことを思い出したのだが、やはり無理をさせ過ぎたようだ。なので今日は目一杯優しくしようと思った。
「大吾さん、昨夜は無理をさせてしまいましたね……」
 背中を優しく擦れば、それに応じて動いてくれる。どうやら擦ったことで少しは怠さが緩和されたらしい。大吾が体をもぞもぞと動かしていくが、起き上がる気配はない。
「昨夜……あぁ、そういえば、昨日のディルド、良かったぞ……」
「ほ、本当ですか!?」
 ディルドについては意見を聞こうにも、窺うことしかできないと思っていた。そこで突然に答えが来たので峯は驚く。
「あぁ、長いから、いつもは当たらない場所に当たって、気持ちよかった……だが、お前のが一番だけどな」
「大吾さん……」
 ぎゅうと抱きしめようとしたところで、大吾がそれを躱してからベッドから這い出る。なので峯もベッドから出たが、二人共全裸だ。少し肌寒いと思いながらシャワールームに向かう。
「俺、今日は少し遅くなってもいいんだが……最悪でも午後くらいだな。お前は?」
「私は、もう二時間したら出なければなりませんね」
「あぁ、じゃあ俺は着替えるよ」
 大吾は少ししょんぼりとしながらシャワールームに入った。峯もそれに続くと、すぐにシャワーコックを捻る。温い水が出る直後に、温かい湯へと変わっていった。全身でそれを浴びていく。それが気持ちよく、浴びていれば大吾が抱きついてくる。まだ、自身にこうして甘えていたいらしい。
「峯、もう少し、お前と居たい……」
「私もです。しかし、私は東城会の金庫番なもので、稼がなくてはなりません。申し訳ないですが……」
 大吾の気持ちはよく分かる。自身だって、ずっとでも大吾の甘えに応えていたい。しかし現実というものもあり、それに向き合わなければならない。大吾の体をそっと離すが、やはり表情は沈んでいくばかりだ。見かねた峯は、髪を濡らしながらも大吾と口付けをしていく。口腔内は熱く、まるで大吾の自身への想いを表現しているかのようだった。
「大吾さん、今夜まで、我慢できますか?」
「っ……は、はぁ……できる、から、今夜も俺を抱いてくれ……」
 額を着けてくれば、すりすりと擦ってくる。本当に、大吾は自身のことを好きでいてくれて嬉しい。笑みを浮かべた峯は「勿論」と返事をしながら、今日の予定を思い出していく。今日も夜まで仕事だが大吾に会えないことはない。日中は身を削ればいい話なのだ。なので頷くと、大吾の顔が離れていく。もう少し考える振りをすればよかったと思う。
「では大吾さん、私はもう……」
「峯……」
 踵を返すと、大吾が背中にしがみつく。この甘々とした時間が永遠に続いて欲しい、そう思いながら大吾の手を握った。そして離していけば「また今夜」と言ってシャワールームから出る。
 体を拭いてから下着を身に着け、髪を乾かすと支度を始めた。朝食は軽いものでも済ませた方がいいと思った。特に今は大吾が居るため、余計にだ。
 適当なワイシャツとスラックスを着てからジャケットを羽織ると、キッチンに立って冷蔵庫などを開けた。野菜とハム、それに冷凍してあるパンがあるのでそれらを確認すると朝食を作っていく。ますはパンのみを取り出してからオーブンで軽く温める。元から焼いてあるものを瞬間冷凍してあるので、人間の食事の難易度が下がっていくことを実感した。温めれば、すぐにできたてが食べられることなのだろう。
 その間にシャワールームを見に行けば、大吾がようやく出たところである。少し機嫌が悪そうだが、これを解くにはキスをしたらいいのだろうか。そう思ってキスをした。大吾の口角の下がりが、少しは緩和される。
「峯」
「はい」
 大吾は未だ全裸で居ると、バスタオルを差し出した。言いたいことを察した峯だが、大吾の方を見る。
「拭いてくれ」
「はい」
 まだ甘えていたい大吾が、次第に子どものように見えてきた。予想通りなのだな峯はクスクスと笑いながら、バスタオルを取り大吾の体を丁寧に拭いていく。皮膚に弾く水滴が、バスタオルに吸収されていく。
「……他に何かあるのか? ディルド以外に」
 すると大吾が何かを思い出したように質問してきた。
「あります」
 答えれば、大吾が「分かった」と言う。他の玩具も受け入れるつもりなのだろうか。だが嬉しい峯は「楽しみにしていて下さい」と言えば、大吾がしっかりと頷く。
 するとパンを温め終えた電子音が鳴ったと同時にいい匂いがする。大吾の腹から音が鳴れば、少し顔を赤らめた。しかしこれは致し方ない生理現象だと、峯は水を吸収したバスタオルを取って洗濯機に入れてから着替えを用意する。
 実は小さなクローゼットに大吾の着替えがあるので、それを取り出す。前から峯の家に泊まっており、ちょっとした同棲のような状態になっていた。
 まずは下着を渡せば、大吾はすぐに履いていく。そして次々と服を身に付けていけば、髪型以外はいつもの姿だ。ドライヤーを取り出してから乾かし、いつも使っている整髪料を持って来る。
「髪、私がやりましょうか」
「あぁ、頼む」
 そういえば大吾の髪を整えたことなどないが、自身のやり方でいいのだろうか。そう思いながら整髪料を手のひらに馴染ませようとしたが、これが行為の前のように見えてしまう。息を飲んだ。そうだ、これはローションを馴染ませる手の動きだ。
「どうした……? ふふっ、お前何で勃ってるんだ」
 指摘の通りに、峯は勃起をしてしまっていた。履いたばかりのスラックスの股間部分は膨らんでおり、そして血がよく集まっているのが分かる。
 どうして勃起したのか考えてみたが、やはり先程の行為の前のように見えてしまったことからなのだろうか。
 峯だって普通の人間であり、性欲に敵う訳がない。困った顔をしながら携帯電話を取り出せば、秘書に遅れる連絡を事前にメールでしておく。理由を伝えていないが、あの秘書ならば上手くやってくれるだろう。そう思いながらメールを送った後に携帯電話をポケットにしまう。だがそこでこのスラックスはすぐに脱ぐことになるだろうと、無駄に思えた。
「大吾さん……ローター使う気は、ないですか? 大丈夫です、少し遅れると連絡したので」
 キッチンの流しでだが手をすぐに洗った。ついでにローターのパッケージを取り出し、片手に持った。そして空いた手で大吾の顎を掬おうとしたが、向こうの腹から音が鳴る。空腹を知らせるものだ。
「……朝食にしましょう。私は、手洗いで抜いて来ま」
「その前に、俺が抜いてやる」
「えっ」
 大吾がそう言えば、自身のスラックスの股間部分をやんわりと握った。既に大吾にはスイッチが入っているらしく、目はギラついている。このままでは峯は止められないと思い、諦めた。されるがままになる。
 股間の部分に大吾の顔が近付くと、舌でスラックスのチャックを立たせた。そして歯でそれを噛みながら器用に下ろしていけば、チャックが開いた。下着が見えると、そこもまた器用に下着に元から開いている穴を舌で弄り自身の性器をぼろりと出す。手を使わずそこまでできるとは思わず、つい大吾の頭を撫でてしまった。
「峯、やっぱりローターでヤろうぜ……」
「全く貴方は……」
 溜め息をつくと、そのまま後頭部をこちらに引き寄せた。性器を押し付ければ、自然と大吾が咥えてからフェラチオを始めていく。朝でも勃起することはしばしばあったが、ここまで性欲がみなぎったことなどない。なのでこの時間に致すなど、と思ってしまったが性欲には折れてしまう。そう思っている間にも、大吾に性器を舐められていった。
「ッ……はあ、は! 大吾さん、上手いですよ……俺の、いいところばかり……は、はっ……ぐぅ……! 大吾さん、俺、もうすぐ出る……!」
 心臓が高鳴り、みるみるうちに血が流れる音がすれば射精するところであった。そこで大吾の顔が離れ、ニヤリと笑っているのが分かる。まさか直前でわざと止めたと言うのか。峯は性欲に押しつぶされそうになった理性を握り、大吾に話しかける。
「ど、うして、です……?」
「俺にローター使うんだろ? ほら、ヤろうぜ」
 大吾が挑発するように誘えば、着たばかりのスーツを次々と脱ぎだす。皺さえ無かったワイシャツには小さな皺ができていき、それが床に投げ捨てられる。肌が見えた頃には、峯は大吾の裸体を凝視していた。
 昨夜可愛がったばかりの体からは、フェロモンのようなものが出ている気がする。それにまんまと誘惑されていった峯が頷くと、ローターのパッケージをすぐさま開ける。そのときの鼻息は荒く、よく興奮しているのが自覚できた。
 中にはあらかじめ電池が入っているらしい、ピンク色の指先くらいの大きさのローターが二つとスイッチのような手のひらサイズのリモコンがある。ローターはそのうちの一つを取った。
「どこが、いいですか?」
「ん……おっぱい……」
 大吾がそう返事をしながら胸を突き出す。そこは大きく腫れてもおらず、通常の成人男性のそれとは大きさも色も差異はない。ここを今から腫らして、色を変えていくのだ。
 まずはこちらから見て右の胸の乳頭にローターを当てた後に、スイッチを適当に押す。するとちょうど持っている方を操作したらしく、ローターが小さく振動していった。ブルブルと震え、大吾の胸を微かに揺らしていく。
「ぁ、あ! おっぱい、きもちい! そこ、すき!」
 大吾が嬉しそうに喘ぎながら、更に胸を揺らしていく。
 途中でずれそうになったのだが、パッケージにあったテープで乳頭に固定した。大吾の喘ぎ声が、さらに細かくなっていく。
「ほう……では、早速に、両方つけましょうか」
 自身の勃起さえ忘れるくらいに、大吾のこの姿は卑猥である。これを見ながら自慰をするなど容易いことだろう。そう思いながら、もう一つのローターを取り出す。こちらから見て、左胸の乳頭にローターテープで固定した。大吾の両方の胸に、ローターがある。
「スイッチ、入れますよ」
 そう言いながらスイッチオンすれば、先程固定したローターも振動した。大吾の両胸を責めていけば、腰を振りながら嬌声を吐いていく。
「っひゃ、ぁ、ア! おっぱい、きもちいい! ぁ、あ、おれ、もうここだけでイきそう!」
 とても気持ちよさそうにしており、髪は寝起きのように乱れきっている。そのような中で、大吾の胸にある振動しているローターを押してみた。すると更に快感を拾ってしまうらしく、舌を半分出しながらこちらを見る。どうやら、乱れている姿をもっと見て欲しいらしい。
 遂には大吾の膝がかくんと曲がれば、そのまま床に倒れた。峯はその上に馬乗りになると、急いで着たばかりのスーツを抜いでいく。早く、抱かなければと。
「大吾さん、そのままにしておいてください。いますぐ、俺のをいれるので……!」
 ネクタイを解き取り払い、ジャケットやワイシャツを脱ぐ。そして膝立ちになってスラックスや下着をずらせば、先程覗かせている性器が飛び出した。昨夜あれだけ射精したというのに、もう元気になっている。若さ故にか。
「あ、あ……はぁ、ん……んんっ、みねの、ちんぽ……」
 性器を見た大吾が嬉しげに自身に手を伸ばしていく。しかしローターの振動の強さはまだ強くできる。なので片手で握っているリモコンで更に振動を強くしていけば、まるで張り付けられたかのように大吾の体が床にくっつく。そして腰をよじらせ、爪先をぐいと伸ばしていた。
「大吾さん、欲しいものがあるときは、何と言うんでしたっけ?」
 峯は大吾の卑猥な言葉を求めれば、すぐに応じてくれる。たっぷりの卑猥の言葉たちを用いて、自身を誘っていく。
「っは、はぁ……みねの、ちんぽを、おれのまんこに、ずこずこしてほしい……! それで、みねのちんぽでたくさんイきたい……!」
「よくできました大吾さん」
 またしても百点満点以上の言葉を受ければ、峯は大吾の膝裏を持ち上げる。そして尻を見れば、興奮のあまりに腸液を排出しているのが分かった。なのでそれを潤滑油にして、性器を挿入していく。
「いれますよ……っふぅ、ふぅ……あぁ……簡単に、入っていきますね……」
 昨夜に何度か貫いていたので、やはりそこはかなり緩いようだった。亀頭まで容易に入っていくが、やはり中は狭い。すぐに粘膜が筒のように包んでくれると、そのままぎゅうぎゅうと締め付ける。自身の性器を歓迎してくれているようだった。
「あ! ぁ、あ……! みねのちんぽ、あつくて、きもちいい! はぁ、ア……ちんぽ、すきぃ……!」
「大吾さん、ここも忘れてもらっては困りますよ」
 一旦ローターの振動を弱くした後に、また最大まで上げた。大吾の乳頭は擦れに擦れ、ローターを貼られているだけでも腫れ具合が分かる。赤くなっており、ぷっくりと膨れている。それが可愛らしくて仕方がない。ローターを今すぐに外してから口に含み、舌で何度も可愛がりたい。しかしまだ赤く膨れる余地はあると思って我慢する。
 性器はどんどん挿さっていけば、根元まですぐに入る。相変わらず中は狭いが、それでも激しいピストンをするには充分であった。すぐに腰を振り、大吾の体を壊すように揺さぶる。
「あ、ぁ! あっ、ァ、あっ……! あっ、あ! はげしっ、みね、っうあ、あ、ぁん、ん、あ、はぁ、はぁ!」
 大吾が舌を噛んでしまう勢いだが、中は更に締まっていた。腹の奥をここまで突かれて、嬉しいらしい。しかも表情を見れば、笑みを浮かべながら喉から嬌声や空気を吐いている。見ているだけでも色っぽい光景だ。
「ッ、はぁ、はぁ、大吾さんの中、すっげぇ気持ちいいです……はぁ、はぁ……吸い付いてきて、気持ちいい……!」
 そしてゆるゆると引かせた後に、勢いよく性器を腹の奥に叩きつける。結腸にまで至ると、大吾が大きな口を開けながら唾液を垂らす。気持ちが良くて堪らないらしい。
 そして互いに射精をした後に勃起は収まったものの、ローターはまだ外さないでいた。このまま胸を弄り続けていたら、どうなるのだろうかと。
「は、はぁ、や、みね……! もう、はずして……!」
「嫌です。だって大吾さん、気持ちいいでしょう?」
 断った後にそう言えば、大吾は否定ができないらしい。言葉を出そうにも詰まらせた後に、腰をがくがくと震わせる。射精を伴わない絶頂を迎えたらしい。
 そこで萎えた性器を引き抜いた後に、大吾と口付けをしていく。唇は震えていたので、舌を深く口腔内に入れていけば呼吸を詰まらせる音が聞こえた。好いらしい。
「ん、んぅ……! ん、ん……! ぷ、はぁ、はぁ……はぁ……」
 唇を離した、その瞬間にディルドの存在を思い出す。ローターでずっと善がっている大吾を一時放置した後に、ディルドを探した。確か昨夜は浴室でディルドを洗ってそのままにしていたはずだ。なので浴室に戻ればあった。
 手に持ってからシャワーの湯で再度洗うと、拭かずに大吾の元に戻る。ディルドを見たらしき大吾は、顔を一瞬だけ青ざめさせていた。
「おま、それ……」
「ええ、これで大吾さんにもっと気持ちよくなってもらいましょうか」
 どんどん近付いていくが、一方で大吾は胸にローターを付けられているので身動きが取れないようだ。どうやら、快感で力がほとんど入らないらしく。
「ぁ、あ……みね、もうゆるして……あ、やめ、いれない、で……ぁ、ぅあぁ!? ぁ、ア……!」
 ディルドの先端をあてがえば、もう一度大吾の顔が青ざめる。しかしそのような顔色など、すぐに真逆の赤色にすることなど容易いだろう。大吾は、ここにディルドを入れられるのも好きだと分かったからだ。
 ぬぷり、とディルドを入れていけば、大吾からは悲鳴が出る。なのでキスをして塞ぎながら、ディルドを押し進めていった。ずるずると入っていくと、そのまま結腸をすぐに突く。ぐぽ、ともはや聞き慣れた音が聞こえた。唇を離すと、唾液の線を引かれたがすぐに消える。
「ッ……!? ぁ、そこは、みね、そこ、おれ、だめ! もう……ゃ、やら、ぁ、あん……みね、みね!」
 大吾の口からは助けを求められるが、無視をした後に再び唇を塞ぐ。
「ん、んぅ……! ん、ん! んんっ、う、んん!」
 噛み付かれるような気配があった。だが歯で挟まれたとしても、やはりそこも力が入らないらしい。代わりに舌でぬろりと舐めれば、喉から細い空気が吐き出される音が聞こえた。動揺もあるのだろうか。
 そしてディルドを小刻みに動かしていけば、大吾はすぐに堕ちた。唾液をだらだらと流しながら、背中を擦ってきたからだ。なので峯が唇を離せば、大吾の口からは喘ぎ声と唾液しか出ない。その中で唾液を舌で舐め取りながら、頬に何度も軽い口付けをした。その度に大吾は喘ぐ。
「あ、っ……ぁ、みね、きもちいい! みね、あ、おっぱいも、まんこも、きもちいい! っは、ぁ、ん……ん、もう、イく、イく!」
「もうイきますか? ですが、射精しないでイけるでしょう? 空イキできるでしょう? もう、萎えちまってますし」
「そんなわけ、おれは……」
 まだ動揺できる理性があったのか。峯はもう少し深くディルドを挿し込めば、大吾の腰がよじれる。結腸を、人間の性器では届かないところを抉られて気持ちがいいらしい。大吾としては未知の感覚なのだろう。
「さっきそうして、イきましたよね? それなら、もう一度できますよね?」
 大吾の目を見ながら言えば、できると思えてきたらしい。かくかくと頷きながら、胸についているローターを自ら押さえた。背中が大きくしなれば、そのまま腰が小刻みに震える。
「ほら、大吾さんイけましたね。おめでとうございます」
「あ! ア……おれ……」
 何か言うような様子があったのだが、ディルドをずるずると引かせていく。そしてそこからすぶりと貫いた。それを何度も繰り返すと、大吾の腰が何度も何度も痙攣するかのように震えた。体が面白いように震えた。何度も達しているおかげなのか。
 大吾の顔を見れば遂には涙を流しており、綺麗な顔がぐちゃぐちゃになっていた。しかしそれも唆られる。綺麗なものほど、崩れる様も綺麗なのだ。
「っや、ぁ、あ! やらぁ! もう、まんこ、こわれる! みね! おれの、まんこがこわれるからぁ! もう、らめ! まんこずこずこしないでぇ! っ……! ぅ、あ、ァ! でる! なんかでる! ゃ、やぁあ!」
 すると大吾の萎えて使い物にならないものから、透明の液体が噴き出た。大吾は潮噴きをしたのだ。峯はまさか男でも潮噴きできるとは思わず、小さく感動してしまう。
 胸を濡らした大吾を見て、峯は舌舐めずりをする。もっと、虐めたくなったのだ。するとローターの振動をストップさせてから、無理矢理にローターを外す。テープにはそれなりの粘着力があるので、力が必要であった。剥がす際に力を入れると皮膚や乳頭が伸び、それでも大吾は感じていく。遂にはそれだけでも小さく達してしまっていた。腰をがくがくと動かす。
「あぁ、大吾さん……可愛らしい……」
 うっとりとしながら胸を見れば、そこは男のものとは思えないくらいに赤く腫れていた。まずは指で突いてみるが、それだけでも気持ちがいいらしい。大吾が喘ぐ。
「っや、ぁ、おっぱい、さわっちゃらめぇ! そこ、やら、ぁ!」
「大吾さん、もう人前で半裸になれませんね。こんな乳首をしちまって……」
 くすりと笑いながらもう一度大吾の胸の乳頭に触れる。よく膨らんでおり、まるで興奮した女の胸のようだった。指で挟めばコリコリとしており、しゃぶり甲斐がありそうだ。
「ん、ん……おっぱいは、みねのものだから……」
 下品な笑みを浮かべた大吾は、自ら未だに貫かれているディルドを片手で持つ。そして自慰のように上下に動かしていけば、それは卑猥な光景であった。思わず凝視してしまう。
「ぁ、あ……みて、みね……おれの、えっちなところもっと、みて……!」
 空いている片手で胸の乳頭をつねっていた。全身が快感で震えていくのを見た後に、またしても潮を噴く。大吾は自慰によって潮を噴いたのだ。
「えぇ、見てますよ。大吾さんの、淫らなところを……」
 まだ性器に元気があったならば、是非とも弄りたいところであった。しかし既に萎えており、今日はもう復活する兆しなどない。なので、息を荒くしながらでも大吾の痴態を観察していく。この姿は、本当に同じ男としての姿なのか分からなくなっていった。
「ア、あん、ん! おれ、ここも、すき……」
 乳頭をコリコリと指で潰していけば、大吾の瞳からは涙が大量に出ていた。床は涙と唾液でびしょ濡れになっていたが、今はそのようなことなど気にならない。
 それよりも、大吾の姿をもっと見たいと思った。ディルドを動かす手助けだけでとしようと、ディルドを持つ。すると大吾の手が離れていき、両手でそれぞれの乳頭を摘んだ。引っ張れば伸び、潰せばよく凹んだ。それくらいに、大吾の乳頭は変幻自在になっている。
「ぁ、あ、おれ、おっぱいだけでも……ひゃあ!? やら、まんこずこずこもう……ぁ、あ! まんこもおっぱいも、きもちいい! ぁ、あ! おれ、もう、こわれちゃう!」
 ディルドを浅いところで容赦なく動かしていけば、腸液がだらだらと流れる。穴の縁までも挿入のし過ぎで腫れていることだろう。ディルドを引く際に縁を見れば、桃色に変色している。淫猥だ。
「大吾さん、まんこがどんどんエロい色になってますよ。ピンク色になってますよ」
「ぁ、あ、おれのまんこ……!」
 そして時折に顎を仰け反らせていけば、大吾が何度か達する。どこもかしこも、気持ち良くなっているせいなのか。
 しかしディルドを浅いところでしか動かしていない。深いところで突けば、大吾はどうなってしまうのだろうか。自ら胸を弄っている中で結腸を突けば、大吾はどのような反応を示すのだろうか。
 好奇心しか湧かない峯は、勢いよくディルドを押し込んだ。気のせいかは分からなかったのだが、大吾の腹の下が一瞬だけ膨らんだ気がする。
「ひゃぁあ!?」
 短い悲鳴を上げた大吾は、勢いよく潮を噴いた。それはこれまでより勢いがよく、量も多い。床がびしょ濡れになったが、やはりそれでも全身を痙攣させている大吾を見るとどうでもよくなる。この光景を、瞼の裏にしっかりと焼き付けていった。
 大吾は浅い息を繰り返しており、胸から手を放していた。目は虚ろになっており、体は体液に塗れている。そのような大吾が愛しいと思い、峯は覆い被さってから何度もキスをしていった。まるで粘膜の味をしっかりと覚えるように。
 そうしていれば大吾が意識を喪ったので体を起こしてから抱え、シャワールームに連れて行った。ぬるま湯で軽く体液を流してから、自身も体を綺麗にする。そしてベッドルームに運んで寝かせたところで、峯は正気を取り戻してしまった。大吾の予定、自身の予定、体液で汚れた部屋。
 時計を見れば朝の八時を過ぎていたが、秘書には遅れると伝えてある。今見れば了承の返事と共に、出勤はいつ頃になるのかという質問が来ていた。峯は少し考えてから午後と答えてから、大吾の発言を思い出す。たしか午後と言っていたような氣がする。なので安堵をしてから、下着を身に付けてから部屋の掃除をしていった。午前を費やした。
 もうじき昼になる頃に掃除が終わったのだが、そういえば朝食の準備をしていたことを忘れていた。パンは温めてから冷めており、野菜は幸いにも冷蔵庫に入れたままだ。溜め息つくと、大吾の様子を見にベッドルームに入った。
「おい、峯……」
 入るや否や、大吾の低い声が聞こえた。どうやら怒っているらしい。下着のみしか身に付けていないが、ベッドの前に急いで立つと素早く土下座をした。額を、床にぐりぐりと痛いくらいに押し付ける。
「申し訳、ありませんでしたァ!」
 凄まじく大きな声で謝罪をすると、峯はいつまでも額を床に押し付けていたのであった。頭上から、大吾の呆れた声が聞こえてもなお。