大吾さんとディルド

 ある夜に峯は家のノートパソコンでとあるサイトを見ていた。それはアダルトグッズの通販サイトで、画面には様々なアダルトグッズが載せられている。まずはとあるコンドームをクリックしてみれば、それはコンドームの外側に小さなイボがついているものだった。色は濃い紫と派手だが、これを着けて大吾に挿入すれば気持ち良くなってくれるのだろうか。
 そういえば先日はエネマグラを使用したセックスをしたが、大吾は大変満足してくれた。特に前立腺への刺激が強く、相当に気持ちが良かったらしい。だが最後は、峯は顔面に射精をしてしまって酷く後悔したのだが。
「いや、これじゃ俺のに満足してくれなくなる……!」
 少し考えてみれば、そのような結論に至った。なのでコンドームのページから戻り、他の商品も見る。ピンク色のローションや、大吾が昨日持っていたようなエネマグラがあった。しかしどれも悩ましく思いながら見た後に、人気商品のランキングのページを見つけた。ピンクの枠に黄色の文字のバナーがあり、それをクリックする。一気にランキングが表示されたが、一位はかなり大きく見えるように思える男性器を模したディルド、二位がローター、三位が電動マッサージ器であった。
 それに加えてトップ3のアダルトグッズを購入すれば、抽選で三名様におすすめグッズをプレゼントと書いてある。峯は金には困っていないのだが、おすすめグッズというものが気になる。それにこのトップ3のアダルトグッズで、大吾は楽しんでくれるだろうか。
 しかし大吾も自身も、青二才の人間ではない。もう三十であるし、様々な性経験があった。勿論、峯も様々な性経験をしている。アダルトグッズを使ったことなど何度もあるし、それはただの性欲発散の為であった。目当ての女や意中の女など過去も現在も居ない。本当に、ただの遊びであったのだ。
 それなのに大吾と結ばれてからは、このようなことばかり考えていた。今だって、これで満足してくれるか考えてしまう。恋は病とは言うのは、このことなのだろうか。
「……買っておくか」
 満足してくれないことも考えられるが、無いよりかはマシだと思う。なのでトップ3のアダルトグッズをカートに纏めて入れてから、購入手続きをした。都内にも店を構えるアダルトグッズの通販サイトらしく、明日発送された場合は早くとも夕方、遅くとも明後日の午前中にも届くだろう。早くて良かったと思ってしまいながら、先程の購入履歴を見てからノートパソコンの電源を切って閉じた。そういえば、明日は大吾との予定は無いと思いながら。

 次の日の夕方に、例の荷物が届いたらしい。発送から到着まで早かった。早速に帰宅してから開封をしてみれば、緩衝材に包まれたパッケージが見える。まずは電動マッサージ器のパッケージだ。本来ならばこれはマッサージという名目で使用されるものだが、メーカーの意図とは違って快楽を得るためにも使用されている。見れば峯でも知っている家電メーカーのものだった。
 次に見えたのがランキング一位のディルドであるが、これはそういえばサイズを見ていなかった。しかし見たところ電動マッサージ器のパッケージよりも大きく、そして長い。もしかしてこれは、サイズだけは人間のサイズではない男性器を模したのだろうか。思わず気になって開封してみれば、峯は目を疑う。それは、自身の性器よりも格段に長く太いものであった。もしかしてこれは、女性或いは男性が自慰の目的で購入されていたものなのだろうか。そのような予測をしてしまったが、思い込むのは良くないと考えるのを止めた。パッケージに綺麗にしまう。
 最後に見えたのは、ローターであった。値段など見ていなかったのだが、一個だけかと思いきや二個セットになっているらしい。防水タイプだ。洗って再利用できるテープがあり、それで皮膚などにつけるらしい。そこで峯は、大吾の胸につけてやりたいと思った。よく感じてくれるだろうと思った後に、今日は大吾には会わないのだと気が付いた。しまってから一息つく。
 するとやはりディルドが気になってしまう。これを大吾の尻に挿入したら、どのようになってしまうのだろうか。容易く結腸を突き、散々喘がせることができるのだろうか。そのようなことを考えていると、自然と携帯電話を手に取った。そして電話帳を開けば、いつの間にか大吾に電話を掛けている。
 そうだ、このディルドを大吾に試して貰おう。峯は普段ではあり得ないようなことを思いつきながらコール音を聞く。すると、数コールの後に大吾が電話に出てくれた。峯は目を見開いてから、空いている手でディルドのパッケージを掴んだ。
「もしもし、大吾さん。こんばんは」
『ん? もしもし、峯か? どうした?』
「今夜は、お暇でしょうか。どうしても……貴方に会いたい」
 甘えてみれば、大吾がくすくすと笑う声が聞こえた。これはイエスかノーのどちらなのだろうか。そう思っていれば、すぐに答えが出る。答えはイエスだ。
『あぁ、いいぞ。今は……お前の家の近くに居るから来る』
「いえ、私が迎えに……」
『気にするな。じゃあな』
 大吾から通話を切られると、峯は携帯電話のスピーカーを耳から離した。そしてディルドのパッケージを凝視すれば、大吾の到着をまずは待つ。
「……まだかな」
 期待を膨らませていれば、すぐにインターフォンが鳴る。大吾なのだろうと思い、壁にはめ込んである液晶画面を見た。やはり大吾の姿があり、すぐにロックを解除する。五分以内には、峯の居る部屋にたどり着いているのだろう。
 そう思うとそわそわし始め、遂にはディルドのパッケージを凝視した。そこには「最高の快楽!」と書いてあり、大吾をその通りに導けるのだろうと期待する。再びインターフォンが鳴った。峯は急いで玄関に向かうと、鍵を開けてから扉を開けた。目の前には、少しよれたスーツ姿の大吾が居る。
「峯!」
 目が合った瞬間に大吾に抱きつかれる。香水や煙草の混じった匂いがよくするのだが、それが今の大吾の匂いだ。しかしそれをすぐに消したいと思いながら扉を閉じた後に、大吾と唇を合わせる。
「ッふ……ふぅ……」
 大吾の漏れた吐息が聞こえれば、下半身は一気に盛り上がってしまう。このまま抱いてしまいたかったのだが、まずはシャワーを浴びなければならない。大吾の香水や煙草の匂いを消したいのもある。なので唇を離せば、大吾が名残惜しげに自身の唇を追う。
「大吾さん……俺は逃げませんよ。それより、シャワーを浴びましょう」
「あぁ……」
 眉を下げた大吾がそう返事してくれれば、二人でまずは脱衣所に向かう。洗面室も兼ねているので、入ればすぐに大きな鏡が見えた。大吾の背後に回った後に、背後から唇を奪う。そして二人は唇を合わせるのだが、その姿が鏡によく映った。唇を奪われて嬉しげにしている大吾の顔は美しい。
 鏡越しに大吾の顔を眺めていれば、視線に気付いたらしい。ギロリと睨まれた後に、無理矢理に口付けを中断させられてしまう。
「そ、そんなに見るなよ……!」
「どうしてです? 私は、貴方の顔が好きなのですが」
「顔だけか?」
 返事に怒りが含まれていた。なので唇を首に落とし、首筋に舌を這わせていけば大吾の怒りが消えていく。怒りの感情よりも、自身にこうされる方に感情が向いたらしい。
「っ……! 俺のことが、好きなのは分かるがな……!」
「えぇ、貴方の顔も体も、全てが好きですよ」
 そう告白しながら唇を離すと、大吾のネクタイを解いていった。しゅるりと緩まり、床に落ちていく。すると手が止まらなくなっていく。衣服の一枚一枚を剥がし、そして裸にさせたいのだ。そして大吾の白い肌を愛でたい。そう思いながらジャケットを脱がせていき、ネクタイ同様に床に落としていく。高価なものなど関係ないのだ。とにかく大吾の肌が見たいと、ワイシャツのボタンも外していく。
 一つ一つ外していくと、時折に大吾の喉から固唾を飲む音が聞こえた。大いに期待してくれているのだろう。鏡で大吾の顔を見れば、口角が上がっていることが分かる。なのですぐに剥き出しになった肩に唇を落とした後に、ようやくワイシャツも床に落とした。背中には、大きな不動明王が鎮座している。
「……お前も、脱げよ」
「ええ、勿論です」
 気付けばスラックス越しに勃起しているものを、ぐいと押し付けているだけだった。なので半裸の大吾から手を離すと、自身も服を脱いでいく。まずはネクタイを解き、既に落ちている大吾のネクタイに被さるようにわざと落としていく。そしてジャケットやワイシャツも同じように落としていけば、そこで自身も半裸になる。左胸はどくどくと鳴っているので、それを大吾の背中に密着させれば心臓の音がよく伝わった。
 そこで二人の唇が近付くと、大吾が体の向きを変える。向かい合わせになると、抱き合いながらキスをしていった。
「俺も……お前の顔と体が、全部が好きだ」
 大吾にそう告白をされると、一気に心が燃えた気がした。スラックスの膨らみに染みを作ってしまうと、つい溜め息を漏らしてしまう。
「大吾さんのせいで、我慢汁垂れちまったじゃないですか」
「俺のせいか」
 体が揺れるくらいに笑った大吾が、自らベルトを外していく。そしてすぐに床に落とせば、染みのついた下着を履いていた。大吾も先走りを漏らしていたらしい。
「貴方もですか」
 峯がすぐさま指摘をするが、大吾は我慢ができなくなっていたらしい。態度が急変した。すると小さく「早く……」と言うので、下着をすぐにずらす。勃起している性器が飛び出てきた。
「峯、俺もう限界だから……」
「分かりました」
 返事をすれば自身も下着を取り払い、大吾の手を引いて浴室に入る。足の裏にタイルの冷えた感覚が伝わってきて、少し鳥肌が立った。
 大吾と目が合う。少しだけ口付けをすれば、息がすぐに荒くなっていった。なのでシャワーコックを捻って湯を出すと、頭から爪先まで濡れる。無で上げている大吾の髪が落ちていけば、幼く見えて可愛らしい。皮膚に水滴が弾いていけば、それが床に落ちる様を見たあとに大吾と口付けをする。
「ッは……なぁ、峯、今日は珍しくお前から誘ってくれたが、何かいいことでもあったか?」
 珍しく誘ってくれた、もしや自身があまり積極的ではなかったのか。大吾からはそう見えていたのか。峯は少し悩んだ後に、大吾がそう言うならばそうなのかもしれない。なので頷いた後に、大吾に正直に伝えようとした。今自宅にあるアダルトグッズについてだ。
「……大吾さん、この前はエネマグラを試しましたよね? 次は、他のものを試してみませんか?」
「他のもの……?」
 首を傾げた大吾は、まずはエネマグラについての感想を述べていく。そういえばはっきりとした感想を聞いていなかったので、峯はきちんと耳を傾ける。
「こないだのエネマグラは……気持ちよかった。だがその後のお前のちんこは、もっと気持ちよかった。他のものは……どうだろうな……」
 なんと、予想は外れて大吾は乗り気ではないようだった。なのでこれは実物を見せるしかないと、大吾に早くシャワーを終わらせて欲しいと促した。
 非常に厚かましいお願いをしたのだが、大吾は快く聞いてくれる。軽めに体を洗うと、浴室を出てから体を拭きベッドルームに全裸で向かう。その途中で峯がリビングに寄ると、今日届いた大きなデイルドのパッケージを持った。大吾も着いてきてくれていたので、それを見せる。
「大吾さん、これなんですが……」
「な、なんだそれ……でけぇ箱だな……」
「これはディルドです。実際のものは……これです」
 箱から男性器を模したディルドを取り出せば、やはり大吾からしても大きかったらしい。それは肘から手首までの長さがあり、動物のペニスのような大きさをしている。大吾は一瞬だけおののくものの、まじまじと凝視した後に頷いてくれた。
「あぁ、分かった……それを使おう」
 大吾は仁王立ちになりながらそう言った。とても頼もしく見え、峯は目を輝かせてしまう。
「よろしいのですか?」
「折角のお前からの願いだ。聞いてやろう」
「ありがとうございます」
 頭を下げた後に、ディルドを浴室に持っていってから軽く洗う。そしてタオルで拭いた後に、ベッドルームに改めて向かった。二人でベッドに乗り上げれば、まずは向かい合って正座をして座る。毎回こうしているのだが、何かの儀式のように思えてしまっていた。
「……実は、他にもありまして」
「他にも? ……まぁ、それは今度でいい。それよりこれを早く使おうぜ」
 嬉々として大吾がディルドを持てば、それを渡してくれる。そして大吾が足を開けば、恥部をすぐに見せびらかす。そこは抱いて日があまり経っていない為に、ぽっかりと寂しげに空いていた。指を突っ込んでしまえば、すぐに入りそうだ。
 だがまずはローションで慣らした方がいい。そこは粘膜に通じる部位であって、慎重にいかなければならない。大吾の体だって大事だ。
 ローションボトルを取り出せば、手のひらに垂らす。そして両手で何度か馴染ませた後に、指に纏わせてから大吾の尻にあてがう。まずは慣らすところからだ。
「入れますよ、大吾さん」
「あぁ……」
 大吾が更に足を広げれば、勃起したものがぶるりと揺れる。それを見た峯は片手もローションに塗れているので握った。大吾からは短い悲鳴が漏れるが、困っている様子など微塵もない。ただの生理的な反応である。
「はッ……峯……もっと、触って?」
 寧ろ握られて嬉しいらしく、峯はすぐに頷いた。やわやわと股間のものを扱いていけば、大吾は気持ち良さそうに喘ぐ。その声は聞き慣れてはいるのだが、やはりいつ聞いても良い気分になる。興奮するのだ。
「ええ、勿論」
 ぬちゃぬちゃと鳴らしながら更に扱いていけば、大吾の勃起したものが膨れ上がる。その瞬間にわざと手を離せば、大吾は射精する寸前であったのだが自然と止まる。大吾がこちらを恨めしそうに見るが、そのような様子もまた乙だ。にっこりと笑った後に指を挿し込んでいく。中に、容易く指が一本入った。
「っん……はぁ、は……峯、指も、気持ちいい……」
「本当ですか? ですが大吾さん、この後は、ディルドもありますので」
「ん、んぅ……」
 ディルドという言葉を聞いた瞬間に中をよく締め付ければ、期待してくれていることがよく分かる。その動物のような大きさのものを、余程早く腹の中に収めたいのだろう。
 そこで入れる指の本数を増やしていけば、大吾の体が若干仰け反った。粘膜は次第に熱を帯び、それを峯にも分けてくれるように思える。なので指でかき混ぜてやれば、大吾はそこですぐに達してしまった。大吾の胸や腹に向けて精液を噴出させる。
「あ、ァ! はぁ……ん、んっ、はぁ、はぁ、ぁ……峯……出ちゃった……」
「えぇ、出ましたね」
 そう返した峯は大吾の体を押し倒すと、胸や腹に掛かった精液を少しずつ舌で舐め取っていく。味はやはり美味いが、どこか薄い気がした。まだ、溜まっているとは言えないのだろうか。しかし大吾も自身も三十になったばかりで、まだまだ盛んな時期だ。
 胸を特に重点的に舐めていけば、大吾が甘い吐息を漏らしていた。
「大吾さん、薄いですね」
「っ……はぁ、ア……俺、一人で抜いてたから……」
 あっさりと自白されたが、大吾は峯と会えない間は自慰にふけっていたらしい。何と可愛らしいことか。そして、だからこれほど入り口が緩いのか。
「なるほど、俺を差し置いて……」
 呟きながら大吾の精液を丁寧に舐めていき、遂には胸や腹が唾液に塗れた。なのでそこから喉を軽く噛む。大吾が小さな声を出すが、峯は様子を伺うこともなく喉をぺろぺろと舐めていく。
 遂には喉も唾液でてらてらと濡れていけば、そこでようやく峯が口を開いた。
「では、大吾さんにお仕置きしなければ、なりませんね。ほら……これ、これを貴方自身で入れて下さいよ」
 指を引き抜けば、大吾が微かに沈ませた声を上げる。しかしそれさえも無視していけば、通販で買ったディルドを見せつけた。
「大吾さん」
 ローションを潤滑油にさせようと思ったのだが、それだけでは面白くないと思った。そこで大吾の体を見れば、自身の唾液でべたべたになっている。そこで気付いたのだが大吾自身の唾液を潤滑油にさせれば良いのではないか。
 なので峯はディルドを大吾の唇に近付けてから提案する。
「その前に……これを咥えて貰いましょうか」
「え、咥えるって……」
 大吾の質問が来る前に、ディルドの先端を唇に押し付けた。プラスチック独特の匂いがするのかは分からないのだが、不快そうな顔をしている。しかしこの顔もまた唆られると思い、更にディルドの先端を押し付けた。
「ほら」
「……くそ!」
 悪態をつきながらも、大吾が仕方なく咥えてくれる。やはり太いのか、口を大きく開けてから咥えていた。
 こうして見れば、大吾がディルドを咥えている様子は新鮮である。そして次第に必死にディルドを咥えているのを見ていれば、卑猥にも見えてくる。自身のものを口に入れている訳でもないのに、どうしてなのか気持ちが良いのだ。分からない。どうしてこうなっているのかは分からない。
 そのような気持ちを抱えたまま、大吾がすんなりと喉のあたりまで咥えた。すると嗚咽が聞こえたが、どうにかディルドを咥え続けていた。これでもディルドの半分には至らず、相当に長いことが分かる。大吾の腹の中に収めたらどうなるのか、楽しみだ。
 唇からは唾液がだらだらと垂れ、そして大吾は更に更にと咥え続けていく。
「大吾さん、美味いですか?」
「ん、んんぅ! ぅ、う!」
 大吾の言葉は聞き取れないのだが、目を見れば目尻を下げていることが分かる。相当に、これが気に入っているのか。
 見ていればディルドの先端にでも唾液が行き渡ったと見える。いや、今の大吾を見ていれば我慢ができなくなっているのだ。早く、大吾の腹にこれを挿入したいのだと。
「大吾さん、抜きますよ……?」
「ん、ん!」
 頭を上下に振っている。これは肯定の意味だとすぐに捉えれば、ディルドを素早く引き抜く。途中で上顎や舌に強く当たったようで、大吾の口からはちょっとした呻き声が聞こえた。
「っはぁ、は……峯、はやくそれ、いれてくれ……」
 ディルドを脱いた直後の第一声がそれである。大吾がディルドを求めてくれているのだろうと思えば、喜んでディルドを持ち尻にあてがう。後は先端を穴に入れるだけである。しかしそこで、大吾に問うた。
「これがいいとか、言わないで下さいよ。これを勧めた俺が言うのは何ですが」
「言わないから、早くッ……!」
 大吾が舌を出してそう懇願してくる。何と淫らな光景だろうと思いながら、ディルドを少しずつ押し込んでいった。自慰をどこまでしていたのかは分からないのだが、ディルドですらすんなりと入っていく。
 男性器を模しているので、勿論のように亀頭の部分はある。まずはそこで引っ掛かったのだが、大吾は先端だけでも気持ち良さそうだ。前立腺など当てなくとも、粘膜だけで快楽を生み出しているのか。
「ぅ……! あ、あ……! でっかい、ちんぽが入ってくる……!」
 そこで大吾が何もかも手放したような、恍惚の笑みでそう言う。峯の中で嫉妬心が生まれたのだが、やはりディルドを提案したのは自身だ。どんどん湧いてくる嫉妬心をどうにか押し込みながら、ディルドも同時に押し込んでいく。
「ァ! あ……んん、ん! みね、どんどんいれて……っは……はぁ」
「分かりました、から……!」
 なかなか入ってくれない亀頭に、わずかな怒りを向ける。力を込めていれば、ようやく亀頭が埋まっていった。後は竿を残すのみとなると、大吾の状態が急変する。どうやら先端が前立腺を突いたらしく、喜びながら喘ぎそして涙を流した。
 涙を流すことは予想外だった為に、峯は慌ててディルドから手を離して大吾を抱き締める。辛いのだろうか。
「大吾さん……?」
「は、はぁ……みね、きもちいい……!」
 どうやらあまりの気持ち良さに、涙を流しただけであった。それならば、と峯はディルドを再び手に持つ。
「……そうですか」
 やはりディルドへの嫉妬心は漏らすばかりだ。それを睨んでしまう。
「ッあ、ぁ……みね、もっと、ちょうだい!」
「えぇ」
 軽く返事をした峯は、そのままディルドをぐいと押し込んだ。竿がどんどん埋まっていくが、自身のものと比べればやはり大きく長い。なので自身のものと同じくらいの長さまで挿し込めて止める。
「大吾さん、まずは俺の長さまで入れましたよ」
「ァ、はぁ、は、ここまでが、峯の、ちんぽの長さ……」
 うっとりとしながら大吾が腹を擦った。だがへその下までしか無く、そこまでしか長さがない自身が何だか憎いように思える。しかし所詮は普通の人間故に仕方ない。我慢をしながら大吾に向けて頷いた。
「はい、そうですよ。ですが、少し奥にまでいきますが」
 奥、つまりは峯が言いたいのは結腸である。そこまで届かせたことは何度かあるが、届かせることができると本当に気持ちがいい。本当に人間の体、器官の一部なのか疑問に思える程に気持ちがいい。もう、それ以外には戻れないくらいにだ。しかし大吾の体への負担は大きいことは分かる。
 自身のものでもう一度届かせるか否か、悩ましい。
「ん……もっと、奥まで、ちょうだい……」
 大吾がそう言うのであれば、と峯は少しずつディルドを押し進めていく。ここからは大吾としても未知の場所へと辿り着くことになるのだが、腹が破れてしまわないのだろうか。そのような心配もしながら、峯は慎重に進めていく。
 数ミリ進めていけば、結腸の入り口に到着したようだ。大吾の表情がすぐに溶けてしまえば、甘い声や息を吐く。
「はぁ、あ、ぁん、ん……! みね、そこ、すき……! はぁ、ァ、ん……んんっ……!」
「では、もう少し……」
 次第に脂汗が浮かんで来ながらも、やはり目測で数ミリずつ動かしていく。その度に大吾が背中をしならせ、そして腰をうねらせる。まるで蠢く魚の様だった。綺麗である。
「ぉ!? ぁ、はぁ、あ……! みね、そこ、きもちいい、ァ……んんっ……イく、もう、イくから!」
「イきますか、では、俺とキスしながら……」
 そう言いながら唇を合わせる。すると大吾が目を大きく見開いた直後に、大きく果てた。こちらの体にも精液が掛かれば、大吾の瞳が薄くなっていくのが分かる。もう、限界が来てしまったのかと。
 このままでは大吾の体を壊しかねないと、ディルドを引き抜く。亀頭の部分が粘膜をよく刺激していたようで、その途中でも大吾は小さな絶頂を何度も迎えた。
 涙は更にぼろぼろと溢していくので、それを舌で掬い取る。
「みね、つぎは、みねの、ほしい……!」
「えぇ、分かりました。では……」
 大吾の腰を強く掴むと、次にばきばきと勃起している性器をあてがう。対して大吾の穴は収縮を繰り返しており、見ているだけで吸われそうであった。その中で、峯はグリグリと性器の亀頭を押し付ける。大吾が笑みを浮かべた。
「はぁ、はぁ、みねのちんぽ、はいる……ぁ、くる……くる……!」
 大吾と再びキスをしていけば、中がよく締まってくれるのが分かった。結局は長いものよりも、大きなものよりも自身の性器とキスが好きらしい。なので安堵をしながら性器を打ち付けた。
 じゅぽ、と音が鳴りながら全て入る。腹の奥はディルドをフェラチオしていた大吾のように、必死に締め付けてきた。なので応じるように激しいピストンをしていくと、大吾が悲鳴のような喘ぎ声を出す。
「ぁ、あ! ぁあ! みね、はげし! ぁ、はぁ、ひゃ、ァ! イく! つぎは、みねのちんぽでイく!」
「イってください! ほら、俺のちんこで……っぐ! 狭い……! 出る……!」
 気付けばコンドームなど纏わせていないが、今更だろう。なのでその考えを振り切ってから、何度も何度も腰を打ち付けた。その度に卑猥な水音が鳴り、そして大吾の喉からは悲鳴とそれに呼吸音のみが聞こえてくる。
 またしても限界が見えると、そこで気を緩めた。射精をしてしまうと、大吾の腹の奥に目一杯注ぎ込む。大吾もまた達していたが、かなり薄い液体が吐き出されるのみである。
 互いのものが萎えていく中で、峯は大吾と口付けをした。ほんの、軽いものである。大吾は幸せそうな顔をしていた。先程までは、ぼろぼろ涙を流して泣いていたというのに。
「ん、んぅ……みねぇ、すき……また、えっちしたい……」
「俺もです……好きです、大吾さん……」
 告白をしたところで、他の玩具の存在を思い出してしまう。今回のディルドは良かったのだろうか。それを聞こうと思ったのだが、今は聞くべきではないのは分かる。なので翌朝にでも、落ち着いた頃にでも大吾に質問しようと思った。だが今は大吾とひたすらに軽い口付けを続けていて。