日本に帰ってから、しばらくが経過した。世間は春日たちのことなどすっかり忘れ、芸能人や著名人のゴシップなどで盛り上がっている。異人町でたまに思い出す者もいるが、詳細をあまり聞かれない。もはやどうでもいいのだろうか。
そんな春日は、ある日足立の家に泊まっていた。帰る家があるのだが、足立ととある約束をしていたからだ。二人はベッドの上で向かい合って座っている。足立は全裸で胡座をかいている一方で、春日は正座していた。
「よし。シャワーを浴びて、穿いているな」
足立は女性用の下着のみの姿の春日を指差してそう言う。今では再びストレートヘアーに戻った春日は、やはり恥ずかしいと少し俯く。
二人はハワイに居る時に約束したのだ。春日をそのような姿をさせてから、セックスすると。
「うぅ……足立さん、やっぱり……」
「ん? 俺は好きだぜ? お前のその格好」
勿論、足立は興奮していた。同じく下着のみの姿ではあるが、普段のものである。
「でもよぉ……!」
「その格好でヤると言ったのはお前じゃねぇか。全く……」
足立は頭を軽く掻いてそう言いながら、春日を押し倒した。視線が顔に向かうが、反射的に膝を閉じてしまう。まるで初々しい女のようだ。
その反応もまた可愛らしいので、足立は口角を吊り上げる。
「俺は興奮してるんだがな」
顔を近付けてから軽いキスをした。唇同士を一瞬だけ合わせるものである。そこで春日の顔全体がほんのり赤く染まると、足立はもう一度キスをしていく。
「……これを脱いだら、いつも通りの姿の俺だぞ?」
「はぁ? 何言ってるんだ? 誰がそれ脱がせると言ったんだ。ずらしてヤるぞ」
春日は首を傾げた。言っている意味がよく分からないらしい。すると足立は言うよりも実際にする方が早いと思った。なので春日が穿いている下着へと手を伸ばす。
まずは膨らんでいる股間を指でなぞった。
「っう……!」
春日の体がびくりと跳ねた。足立はそれを見て小さく笑いながら、下着の中に手を入れる。まだ勃起していない下半身をやわやわと揉むと、むくむくと膨らんできた。
すぐに勃起した春日の下半身は、とても狭そうである。下着を横に少しずらしてから、勃起している下半身だけを取り出した。
「あ、足立さん……」
普段とは違う格好なので、春日は我慢汁を垂らしていた。
「いい格好だな」
そう褒めると、春日の下半身をしこしこと扱いた。瞬く間に射精をすると、春日の腹周辺が汚れていく。凛々しい眉を大きく下げた春日は「恥ずかしい……」と口にしていた。
しかし未だに勃起しているので、下着を邪魔だと言わんばかりにはみ出ていた。言葉と生理現象が正反対である。
「あっ、は、はぁ……足立さん……」
「どうした? このまま続けるぞ」
春日の返事を待つことなく、足立は下半身を握り続けた。熱や血が集まっていく感覚が、手の平に伝わってくる。
やはり感じていてくれることに喜びながら、裏筋を指先で軽く撫でた。春日は小さく背中を反らせる。
「っうぁ!」
「しかし、本当に今のお前はエロいなぁ。女物のパンツ穿いて、こんなに勃起してるんだぜ?」
言葉でそう責めてみると、春日は反論のしようがないらしい。だが今更で意味のない否定だけはしたいらしく、首をふるふると横に振っていた。足立はわざと鼻で笑ってみせる。
「おいおい、そんな訳がないってか?」
「ゃ……ちが、っあ!? ぁ、はぁ、ん……ア!」
春日が何か言い訳を述べている途中で、手をするすると移動しした。辿り着いた先は排泄器官である場所だ。しかし硬いと思って指先で触れてみると、驚くことに柔らかくなっていた。さすがにこれには驚いた足立は、春日の方を見る。
「春日、もしかして……」
「ぁ、は……我慢が、できなかったんだよ……」
ごくり、と喉が大きく鳴った。目の前には恥ずかしそうにしながらも、受け入れ体勢が万全の春日が居る。この据え膳は、絶対に食わなければならないと思った。
下半身から手を離してからすぐ、春日の片方の膝裏を持ち上げた。そして下着の尻の部分をぐいとずらすと、ぱくぱくと収縮を繰り返している排泄器官、ではなく性器が見える。
指でそっと縁を触れた後に、ずぶずぶと指を挿入した。簡単に入っていくので、まるで濡れた女の膣のようだった。足立は「これは堪らねぇぞ」と呟く。
「はぁ、ぁ、足立さん、俺のここ、どう?」
春日はできるだけ笑みを浮かべているようだが、誘っている顔にしか見えなかった。勿論と頷く前に、足立は場所を既に知っている前立腺を指で押す。春日の体がびくりと跳ねた。
勃起している下半身はぶるぶると動き、精液の飛沫をまき散らす。足立にまで飛んできていた。
「ぃや、ぁ! ぁ、ッ、らめ、足立さん、は、はぁ、んぁ……あ」
「そこまで嬉しいのか」
指をぐりぐりと更に入れていくと、春日は犬のように舌を出して垂らした。完全に堕ちた証拠である。
「ん、んぅ! うれしい!」
するともっと欲しいとねだっているのか、腰をいやらしく振っていた。
「そうかそうか、それはよかった」
目を細めた足立は、最後に前立腺をぐいと潰すように押した。春日の喉から悲鳴が聞こえると同時に、射精してしまう。太腿の皮膚が張り、つま先がピンと伸びた。それだけで、春日がいかに快感を覚えていたのか分かる。
それから浅い場所をじゅぼじゅぼと指で抜き挿しした後に、わざとゆっくり抜いていった。関節が粘膜に引っ掛かり、その度に春日はか弱い嬌声を漏らす。足立はそれを愛しげに聞いていた。
「んんっ! んぁ、あ……はぁっ、はっ……」
触れる前よりも、随分と柔らかくなってきた気がする。証拠にはならないうえに気のせいだが、入口が指に吸い付いてきたように思えたからだ。止めて欲しくないと、しがみついているようだった。
「指よりも、ちんこの方が好きだろ?」
直球でそう聞くと、春日はこくこくと頷いた。否定の欠片もない。
「俺のここ、足立さん専用のまんこだから……」
「あぁ、そうだったな」
興奮に限界が見えてきた。足立は勃起している雄を入口にあてがうが、その際に「好きだ春日」と告白をすると、春日が「おれも……」と返してくれる。すると足立の心が満たされたので、次は体を満たすべく腰を小さく揺らした。
春日の下着が邪魔になったが、やはりこの格好も良いと思えた。この不釣り合い加減が、絶妙に官能的なのだ。筋肉があり精悍な顔立ちをしており、その上に髭が生えている。そのような男が清楚な女物の下着を身に着けている姿を。
雄の先端が入口の中に潜り込んでいく。幸いにも、かなりよく解れているのでかなりスムーズに入っていた。春日がそこまで丁寧によく解していたのだろう。そう考えた足立だが、春日が自身の入口を解す様も見てみたいと思った。なので、次回の楽しみに取っておくことにする。
「や、ゃあ、はいってくる……は、ん……まんこに、足立さんのちんこが、はいってくる……おっきい……」
「あぁ、そうだな……ふっ、ん……熱くて気持ちいいな……」
先端のくびれが引っ掛かると、粘膜の心地よい熱さがあった。思わず目を閉じてしまうが、春日のこの痴態をしっかりと脳に刻まなければならない。後でスマートフォンでしっかりと、この姿を写すのだが。
「ッは、俺のなか、きもちいい? ぁ、あっ……おれも、足立さんのちんこ、きもちいい」
雄が入っていく毎に、春日の呂律が回らなくなっていく。聴覚でも春日が溺れていく様子を感じ取ると、いつの間にか先端が全て入っていた。足立は一気に雄を押し込む。
春日の瞳孔がみるみるうちに開いていった。
「……ひっ!? ぁ、ア! やら、ぁ! きもちいい!」
「はぁ、はっ、ぅあ……! お前の中は、やっぱ気持ちいいなぁ!」
更に奥に進む為に、足立は春日の膝裏を肩に掛けた。そして体をしっかりと掴むと、腰をゆさゆさと振る。ぱんぱんと、乾いた音が鳴り始めた。
しかし音の間隔が長いので、まだ足立の責める姿勢は緩いと言える。それでも、春日の喉から出る嬌声は絶えなかった。
「ぁ、っや! ぁあ、あっ、ッひぁ、あ! きもちいい、あだちさん、イく、あっ、ぁ、イく! イく!」
春日は涙を流し、そして唾液を垂らし始めていく。あまりの気持ち良さにそうなったとしか思えない。
すると足立は汚れた手をシーツで丹念に拭うと、近くからスマートフォンを取り出した。数回の操作を行った後に、カメラを起動する。レンズを春日に向けると、ムービーの録画画面へと切り替えた。
「ほら、春日、笑え」
そう言ってからムービーの録画を開始した。乱れている春日が、スマートフォンの画面一杯に写し出されている。頭から足の付け根の辺りまでである。結合部までもしっかりと捉えている。それに、女性用の下着までも。
足立はRECの文字を見る度にニヤニヤと笑ってしまった。
今のこの姿を、録画されているのを理解しているのだろうか。春日はスマートフォンの背面に向けて、口角を上げた。そして両腕も震わせながら上げると、ピースサインを作る。
下半身から精液がぴゅっぴゅっと飛び散ると、萎えてしまった。だらりと情けなく垂れてしまう。それでも、春日はまだ満足していないようだ。
「あだちさん、っあ、ん、やっ、すき、すき! ぁ、あ! おれのこれで、オカズになる?」
「あぁ、なるなる」
腰を振りながら返事をした後に、ゆるゆると雄を引かせていく。春日の眉が下がり「まって……」と言うが、その直後に思いっ切り腰を打ち付けた。途端に春日から高い悲鳴が出てくる。
「ひゃぁあッ! ぁ……あ……!」
春日は全身を痙攣させ、大きな喉を見せている。あまりの快感や悦びを、それで表現しているように見えた。足立は録画を続けながら、腰を激しく振っていく。
「あっ、っひゃ、ぁ……おっ! ぉ! っや、もうはいらないからぁ! あっ、ア! そこはらめぇ!」
腰が更に進んだ。遂には春日のへその辺りにまで雄が入っていく。そこは春日にとっても足立にとっても、最も快楽がある場所である。春日は子宮を突かれている女のように、足立は女の子宮を突くように。
「……ぅあ! 春日、お前のまんこにザーメンしっかりと注いでやるからな!」
律動を繰り返していくうちに、足立の中に射精感がこみ上げた。だがこれが本日最後のものになるだろう。春日の萎えた下半身がぺちぺちと動く様を見ながら察する。
「ぅ、うぅん……! あだちさんのザーメンほしい! は、はぁっ、あだちさんのガキを、はらみたい……!」
春日の目からは涙が流れており、唾液は今でもずっと零している。もはや、体液で顔がぐちゃぐちゃになっていた。
「よし、しっかりとまんこで受けとめろよ! 春日! ぐっ、はぁ、ぁ……!」
雄が大きく膨らんでいくのが自身でも分かると、足立は腰の動きを止める。スマートフォンは相変わらず、春日の顔から結合部までを写していた。録画はまだ止めない。
足立の雄から精液が放たれると、春日はか細い悲鳴を出した。喘いでいるうちに、喉が枯れてしまったらしい。
「ぁ、あ……!」
精液を出し切るまで春日との結合部を作っていたが、未だにそれを壊すことはできなかった。春日が離れて欲しくないと、肩に掛かっている足を首に絡めてくるからだ。
「んぅ……あだちさん、すき……」
薄い笑顔で春日がそう言うと、足立はスマートフォンの録画を終えた。そしてしっかりとバックアタックを取ると、スマートフォンをベッドの上に放り投げる。
「俺も好きだぜ。春日」
雄は萎えてしまったが、足立は春日と繋がったままで小さなキスをした。その時に春日が舌を出してくるが、力が入らないのだろう。口腔内に落ちてしまっていた。
「無理をするな……」
肩をすくめると、次は春日の舌を拾うようにキスをした。しかしそれでも春日の舌が落ちてしまうので、足立は諦めるようにキスを止める。
「だってぇ……!」
春日の涙は、快楽のものから悲しみへと変わっていた。なので足立は「甘えん坊だな」と暖かい溜め息をつくと、春日をそっと抱き締める。汗をかいているのか、少し冷たい。
「また、ヤろうな。お前ももう、限界だろ」
背中に手を加える回してぽんぽんと軽く叩きながら、ようやく結合部を壊していく。春日の尻からは、精液がびしゃびしゃと流れた。
すると同時に春日の瞼が降りると、すぅすぅと規則的な寝息が聞こえてきた。眠ったことを確認した足立は抱擁を止めると、まずは静かに処理を始めていったのであった。その前に、スマートフォンを再び手に取り、春日が眠っているところを写真に写しながら。