「ちょっと待て。どういうことだ?」
ハワイでのある夜に、春日がバーでとある相談を持ちかけて来た。春日曰く、道端で出会った奇妙な者から奇妙な薬を渡されて飲んだと言う。事の始まりから、もう訳が分からない。
「いや、だからよぉ……」
小洒落た音楽が流れ、人々の穏やかな話し声が聞こえる。普通の声量でも周囲に聞こえないが、春日は自然と小声になっていた。自分の分のグラスを避け、足立に近付いてまで来ている。
「だから、なんか股間がおかしいんだって」
「何を言ってるんだ」
足立は溜め息をついた。事の結末を聞いて、余計に訳が分からなくなったからだ。注文していた酒を少し口に含む。グラスはまだ氷でキンキンに冷たい。
「だから……その……」
「ん?」
すると春日が何か頼み事をしたいように見えた。もしかしたら薬を渡した者を、一緒に探して欲しいとでも言うのだろうか。そう思った足立だが、予想が見事に外れる。
「ちょっと、確かめてはくれねぇか?」
「……は?」
再びグラスを手に取ろうとしたが、距離感が唐突に掴めなくなっていた。手でグラスに触れてしまうと、冷たいと感じる。
「だから……俺の股間、ちょっと確認してくれ」
「別にいいが……自分で確認できないのか?」
「……足立さん冷静だな。いつもなら、こういうことなら喜んで頼みを聞いてくれるだろ」
確かにそうだ。春日の言う通りである。普段の足立であれば、話を聞いた直後に即答していた。しかし今の足立には、そのような頭が無い。やはり、春日の言葉の意味が分からないからだ。
だが春日が嘘を言っていないことは確かである。このようなつまらない嘘をつくような男ではない。確信はある。
「分かった。まだ一杯目だが、すぐに飲んでしまってからホテル行くぞ」
「あぁ、すまねぇな足立さん」
そうして二人はそれぞれのグラスを空にしてからバーを出た。足立がスマートフォンで近くの手頃なホテルを調べると、二人はそこにチェックインする。部屋に入るなり、足立は春日と共に脱衣所へと入った。
「……で、股間のどこがおかしいんだ?」
足立がそう質問すると、春日がまずはアロハシャツと白いシャツを脱ぎ始める。次に肝心の下を脱ごうとしたが、春日の手が止まった。
「どうした?」
「いや……その……」
春日の瞳が揺れていた。動揺しているのが分かる。なのでどうしたのか聞くが、春日は首を横に振るばかり。
痺れを切らした足立は、春日の七分丈のジーンズを無理矢理に脱がせていく。春日はできる限りの抵抗したものの、足立の方が力が強いので意味が無かった。半ば強姦のような形になってしまい、足立は申し訳ないと思いながらトランクスも脱がせる。
そして目に入ったのが、春日の下半身だ。既に勃起しており、いつもと変わらない。何が「股間がおかしい」なのか、と足立は溜め息をついて謝ろうとした。すると春日が、おずおずと膝を開く。
「違うんだよ、足立さん……」
口までもおずおずと開いた春日は、自身の勃起している下半身を持ち上げた。何だと思いながら見た足立だが、春日の言う「おかしい部分」にようやく気付く。あまりの驚きに、二度見をしてしまった。
「ど、どうしてだ……?」
「だから、分からねぇんだよ……」
春日は恥じる様子もなく、困っている様子だった。足立は春日の下半身の付け根にある、本来はない部位を改めて着目する。そこには、女の膣のような穴ができているのだ。しかしこちらから見れば、ただの穴である。
「変な奴に貰った変な薬で、それか?」
「あぁ」
これをどうしたらいいのか、分からないらしい。そう言われても、と困った足立は軽く頭を掻く。
「だって、俺……足立さんと二人きりになっただけで、ここが……なんかすげぇ疼くんだよ」
春日からのその言葉を聞いた瞬間に、足立は反応した。つまりは、見た目通りの機能があるということになる。
「それは、本当か……?」
確認の為にずいと春日に近付くと、息が熱くなっていることに気付いた。足立は、興奮してしまっているのだ。
「本当だって、だから……うぁ!?」
春日が何か言い終える前に、足立が手を伸ばしていた。春日の下半身ではなく、膣へと。そこは既にぬるついているが、勃起した時点で愛液が溢れていたのだろう。ぬちゅぬちゅと音が鳴った。
「っあ、足立さん、まっ……う、ぁ、あ……!」
「気持ちいいか?」
春日の反応を楽しみながら、そう尋ねた。すると勿論と言わんばかりに、春日が喘ぎながら首を縦に振る。
決まりだ。足立はそう確信しながら、膣に入れる指の本数を増やしていった。面白いように柔らかくなっていき、足立は感嘆の息を漏らす。
春日を壁に追いやると、膝裏を持ち上げる。体を支えている片方の足の太腿には、愛液がだらりと垂れてきていた。とても、いやらしい光景である。
「もっと気持ちよくさせてやるよ」
にやつきが止まらなかった。足立は入れている指を、それぞれ違う角度に曲げる。指で触った限りでは、ここは熱く柔らかい。
「んっ、ぁ、あ……足立さん……もっとぉ……」
春日の理性はふやけてきたのか、そして膝を持ち上げられたのか、足立にしがみついてきていた。だが体が密着すると足立は春日の膣を指で可愛がりながら、持ち上げている膝を下ろしていく。
もう片手が空くと、足立は春日の下半身を握った。膣を触れられて限界が近いのか、血管がどくどくと浮いている。その手触りを確かめるように指先を這わすと、春日の体がびくびくと跳ねる。
「ぁっ、あ! 足立さん、俺、イく!」
「なんだ、もうイくのか?」
そう言って、足立は下半身を握っていた手を離した。すると春日の射精感が引いてきたらしく、不満気な顔をする。
「あ、足立さん……!」
「今日はこっちでイってくれよ」
膣に挿し込んだ指をぐにぐにと動かした。まだ春日は微かに感じている程度なのだろうか。次は春日が焦れてきていた。
「いや、俺、そこは……あっ、ぁ、んッ」
「何だよ。こっちも気持ちいいって言ってたじゃねぇか」
「でも、俺は、ちんこの方が、っや、ぁ……あ、ッひゃ!?」
すると春日の反応が途端に変わった。膣を弄られていくうちに、快楽の沼にはまってしまったのだろう。膣をほじられながら、下半身から精液をぴゅるぴゅると放出していた。
「あ、あっ、あだちさん、俺、なんか、おかしい……! ちんこじゃなくて、そこが、なんかおかしい! っあ、ぁ」
「あぁ、そうだな」
ここに自身の雄を挿れてしまったら、春日はどうなるのだろうか。足立はそれを楽しみにしながらも、指の動きを止めなかった。
遂には指が四本も入ってしまうと、春日は自力で立つことができなくなっていた。床に座り込んでから倒れてしまったので、足立はその上にお構いなく覆い被さる。
「……ゴムはいるか?」
「んぅ……いらない……」
「そうか。分かった」
春日と唇を合わせると、舌を突き出した。唇に触れると春日が唇を開いてくれたので、遠慮なく侵入していく。口腔内に入ると歯列をなぞり、上顎を撫でていった。春日からは、くぐもった声が漏れる。
「んっ、んんっ、ん!」
その間に膣に入れていた指を引き抜くと、春日の両脚を掴んで広げた。そしていつの間にか勃起している雄を取り出す為に、ベルトを外していく。スムーズな動作でスラックスや下着を下ろすと、雄を取り出してから膣にあてがった。
膣はひくひくと震えている。足立はその動きが愛らしいと思いながらも、雄の先端を押し付けた。その際に舌を引かせていき、キスを止める。膣を可愛がると、春日がどのような顔をするか見たいからだ。
「やぁ、なんでぇ! っは、はいってくる……あだちさんの、おっきいちんこが……」
「春日、今日はこっちのまんこで感じてくれ」
濡れている膣に、足立はずぶりと挿入していった。
「ひゃ、はいる、ぁ、あ! あぁっ!」
春日の顔は、尻穴を犯されている時と少し違っていた。こころなしか、今か今かと種付けを待っている雌のように見えるからだ。足立は舌なめずりをしながら、先端をまずは通していく。
中はやはり狭い。足立はその狭ささえ愛しく思いながらも進めていった。先端は入ったのだが、何かの壁のようなものにぶつかった気がする。足立は首を傾げたが、その直後に腑に落ちた。春日の体に、膣と同時に処女膜ができているのだ。
思わずほくそ笑んだ足立は、腰をぐいぐいと押していく。一方で春日は少し痛そうにしているが、我慢してもらうしかない。
「や、いたい、あだちさん、っはぁ、はッ……」
「少し我慢してくれ。これに耐えたら、後は気持ちいいだけだからな」
言葉で労った足立は、腰の動きを止めなかった。何度もぐいぐいと押し、そして力を込めた。その瞬間に、何かが破れた感覚がある。春日の小さな悲鳴が聞こえる中で、雄を引き抜いてみる。雄には、血が付着していた。
「おめでとう春日。これで本当の処女を卒業したぞ」
「っあ、ぅ……」
「どう返せばいいのか分からないのは仕方ない。一旦シャワーを浴びてから、続きやるぞ。さすがに血がついたままヤるのはお前にとってもよくない」
春日の体をゆっくり起こしてやると、まずは座らせた。股から血が流れているが、少量だ。足立は安堵しながら、まだ着ていたティーシャツを脱いでいった。
互いに全裸になると、二人でシャワールームへと入る。最初に春日の体を湯で流すが、自力で立つことができないらしい。なのでしがみついてもらいながら、シャワーを浴びせていく。排水溝に、赤色が集まっていくのを見ながら。
「んっ、ん……あだちさん……」
「待ってろ。すぐに続きをしてやるからな」
そう言って、春日の股に弱い水圧を当てた。出血がようやく止まると、次は足立自身の体に湯を浴びせる。ハワイの夜は冷えるので、湯がとても気持ちよかった。
全身が濡れてからある程度清潔にしたところで、足立はシャワーコックを閉じた。
「ベッドに行くぞ」
春日の体を支えながらシャワールームを出ると、ようやくベッドルームに入った。綺麗にベッドメイキングされているベッドの上に二人で同時に倒れると、すぐに春日の体を触る。湯を浴びた直後なので、とても暖かい。
「はっ、ぁ……あだちさん……すき……」
「俺も好きだぜ。春日」
見つめ合ってから、足立は春日を押し倒す体勢になった。そしてぱんぱんに張り詰めている雄を春日にみせつけた後に、膣に再びあてがった。春日は「おっきい……」と悦に浸っている。
目で合図しながら、雄を挿入していった。膣は柔らかく、そして包み込むようだった。まるで、足立の雄を歓迎しているようである。
「ッ! ぁ、あ! あだちさん! はぁ、はっ、ぁ……ア、あっ」
愛液が潤滑油になってくれるので、すぐに雄が根元にまで入った。すると春日は腹の奥を突かれたように乱れていく。
「ひゃあ!? ぁ、あっ、あつい、あだちさん、ん! ッ、そこ、きもちいい、もっと、ちょうだい! ぁ、あっ、あぁ!」
春日は腰をびくびくと揺らしながら、絶頂を迎えたようだ。下半身から精液を垂らすだけではなく、膣が更に愛液で溺れていく。
同時に足立も射精をするが、膣のできてしまった隙間から精液が漏れ出ていた。舌打ちをすると、穴を塞ぐように更に押し込んでいった。
「ん、んゃ! らめ、ぁ! あ、ッい、ぁ」
「はぁ、はぁ、お前の中、やっぱ気持ちいいぜ」
そう褒めると、春日の膣が締まった。とても嬉しそうにしていることが分かる。なので律動を始めてみると、春日は女のように啼いていった。
「ぁ、あっ! そこついたら、もうらめ、あっ、イく、イく! あだちさんのちんこが、きもちよすぎて、イく! イく! ッあ、ぁ、あぁッ!」
背中を反らせ、春日は二度目の絶頂を迎えた。そして足立は春日の体の中に恐らくは存在する子宮に、精液をしっかりと注ぎ込んだ。
しかし今日は珍しく足立の雄が元気なので、律動を続けていった。皮膚同士がぶつかる、乾いた音が規則的に室内に響く。すると春日があまりの快楽に、自然と逃げようとしていた。その体を捕まえると、逃さんと言わんばかりに固定する。
顔を近付けてキスをするが、春日の口が閉じられないらしい。なので容易く舌を入れられると、上顎を何度も撫でて完全に無力化させていく。
「ん、んんっ! ん、ぅん、んんっ!」
そこで春日の顔がふやけていく。キスをされていることもあるが、膣に精液を注がれている。もはや、男としての自覚が無くなっていったのだろう。
舌を捕まえてからねっとりと絡めていった。分厚い舌同士が絡んでいるので、二人は大きく口を開けていた。そのおかげで唾液がダラダラと垂れるが、そのようなことはどうでもいい。
足立までもがくぐもった息を漏らしていくと、またしても射精をした。しかしまだ雄が元気であるので、加減が分からなくなったまま、腰を振り続ける。そして春日を何度も絶頂の底に沈めていった。春日の腹が、精液により膨らむまでに。
ようやくキスを止めるが、それでも勃起は治まらない。だが次が最後に違いないと、足立は雄をゆるゆると引かせていった。春日の膣からは大量の精液が溢れていき、腹が元の様子に戻る。
そして勢いよく雄を打ち付けると、春日が悲鳴を上げて体を痙攣させた。
「っひぁあ! ぁ、あ、あだちさん……!」
「ぐっ……! 春日! あ、はぁ、あッ!」
一瞬だけ、春日は白目になりかけていた。足立はそこまで良かったのかと思いながら射精をすると、ようやく萎える。
すると久しぶりにここまで体力を消耗したのか、目の前が眩んでくる。周囲の音、感覚、それに春日の「あだちさん?」という声まで遠くなっていった。どうしてなのかと、春日に手を伸ばす。その瞬間に、足立の視界が真っ暗になる。
※
「夢だったのか……」
そして目を開けてみれば、いつも見る自室の天井である。ベッドの上で寝ていたのだ。時刻は朝になる直前なのか、室内は薄暗い。
足立はぼんやりとしてから、横を見る。服を着ていない春日がすやすやと眠っていた。足立は頭を柔らかく撫でながら、先程見た夢の内容を思い出そうとする。しかし夢であるので、次第に忘れていく。溜め息をつくと、再び春日の方を見る。
「やっぱり、お前はお前のままが好きだ」
そう呟くと、足立は再び眠っていった。