初水
夏侯惇の薄暗い寝室にて二人きりで、初めて過ごす夜のことであった。互いの格好は、着物一枚のみを身に付けている状態である。二人は寝台の上に乗り、向かい合わせに座った。
まずは于禁の簪や冠を夏侯惇が取り払うと、長く艷やかな黒髪が広がった。夏侯惇はそれにそっと触れると、于禁は嬉しげな表情を見せる。その様子が堪らなく良いと思った夏侯惇は、柔らかな白い寝台の上に于禁を押し倒した。
于禁は自身の上に覆い被さってきた夏侯惇を、照れながら見上げた。それに対して夏侯惇は微笑ましげに見た後に、軽く唇を合わせる。唇が離れると、于禁からもお返しとして唇同士を触れた。
しかしその次は視線を夏侯惇の方に向けることはできず、目を伏せる。なので夏侯惇はこちらを見ろと言いたげに、再び唇を合わせた。
「緊張をしているのか?」
「はい。初めて、ですので……」
于禁の顎までも逸れていくので、夏侯惇はそれをゆっくりと掬う。そして返事を何度か反芻させてから、自身も初めて同性同士での行為に及ぶということを伝える。
「俺も男と、このようなことをするのは初めてでな。だから、お前と同じだ」
優しく片方の頬を撫でてやると、于禁の瞳が軽く閉じる。その際の于禁の眉間の皺は、次第に薄くなっていく。少しは于禁の心が楽になっただろう、と思った夏侯惇は何度も軽い口付けを落としていった。
すると擽ったそうに笑った于禁は、夏侯惇の背中に手を回す。もう大丈夫だ、という合図なのだろう。それを察した夏侯惇は、于禁の着物の帯を外してから襟を広げる。
待ち侘びた于禁の胸の肌に、夏侯惇は思わず唇を寄せそうになった。待てをできない犬のようになりかけた。しかしそれを耐えると于禁の首に唇を寄せてから、舌を出して這わせる。
「ん、は……ぁっ、あ……」
于禁は悩ましげな表情で、手を夏侯惇の背中から後頭部に移動させた。首を可愛がられた瞬間に、何かを思ったのだろう。
なので于禁はかき上げられている髪を乱すように撫で、まだ外していない夏侯惇の眼帯の紐を手探りで探す。それをすぐに見つけられると、それを外していった。
夏侯惇は驚きながら顔を上げると、失明した方の瞼が顕になる。于禁はそれを愛しげに見た後に、触れる程の口付けを何度もしていく。
「私も、全てを見せますので、貴方も……」
外した眼帯を近くに置いてから、于禁は再び夏侯惇の背中に手を回した。髪が乱れてしまった夏侯惇だが軽い返事をした後に、それを気にせず于禁の首を可愛がることを再開させる。
音を立てながら唇で首の至る箇所をぬるりと這わせた後、そのまま鎖骨へと移動してからようやく胸へと移動した。女のようにとても柔らかく、そして膨らんではいない。しかし夏侯惇は于禁のものだと言うことだけで、とても興奮したようだ。無意識に舌舐めずりをする。
戦の為に鍛えられた体にある胸を、舌でそっと撫でてみる。于禁の体がびくりと震えた。だがそれ以上は感じることは無いだろうと思いながらも、ちゅぱちゅぱと胸の肌を吸う。
「ッは、ぁ、あ……んっ」
于禁は首と同様の反応を示した。なので夏侯惇はその調子で、粒にも同じように舌で撫でてから吸う。
「あっ! はぁ、あ……そこは……」
胸の粒を吸われた于禁の反応は、肌よりもとても良かった。まるで初な娘のように、顔を真っ赤に染める。
「ほう、好いのか」
それを見て納得した夏侯惇は続けようとしたが、于禁は嫌嫌と首を振った。
夏侯惇は于禁の赤い顔に近付く。すると于禁の竿がよく上を向いていることを、体を密着させて分かった。男の役目として果たさない硬い物を、夏侯惇は手探りで触れる為に着物を全体的に捲る。
全身が空気に直に曝されたので、于禁はまるで何かを隠すように無意識に脚を閉じようとした。しかし夏侯惇にがしりと力強く太腿を掴まれると、かぱりと開かれる。
「見せてくれると言ったのでないのか?」
恥ずかしがっているのだろう、と夏侯惇は思いながら膝を持ち上げた。そこで于禁の下半身に異様な箇所があることに気付く。なのでそこに近付いて見てみようとした。しかし于禁は夏侯惇の頭に触れてそれを拒否しようとするが、少しの快感を浴びてしまっている。なので普段のような強い力が腕に入らず、抵抗などできずに夏侯惇の視線を受け入れてしまう。
夏侯惇はその異様な箇所を目にすると驚きはしたものの、すぐにニヤリと笑った。
于禁の下半身には竿と尻穴の間に、女の膣がついていたのだ。既にそこからは興奮の証拠である愛液が垂れており、股をぬらぬらと濡らしている。
「そのような者のことは、聞いたことはあったのだが……」
いわゆる男に女の性器が存在する人間のことを、夏侯惇は少しだけ話す。そのような人間の存在はかなり珍しいが、于禁がそれに該当しているとは予想もしていなかったらしい。
「お前のような者が、よく他の者に知られなかったな」
「何とか、誤魔化していたもので……」
股を見られている状態で、于禁はそう答える。だが夏侯惇にずっと見られているのか、膣からは更に愛液が垂れた。それを夏侯惇が指摘すると、于禁は否定の為に首を振る。しかしそうしていると、本人の意思とは反対に先程よりも愛液で膣が充満していく。寝台の白い布団を汚していく。もはや腰を動かしただけで、くちゅりという水音が鳴る程に。
すると夏侯惇がそこに手を伸ばし、指で触れた。于禁の口からは小さな嬌声と、膣からは卑猥な声が上がる。
「な……ここを触れられただけなのに、どうして……」
「弄ったことがないのか?」
「……恥ずかしながら、全く」
つまり、ここだけに関しては完全な初物なのだろう。そう思った夏侯惇は嬉しさと興奮がよく混ざった。
指で撫でるように膣を弄ると、続けて何か言いかけていた于禁は気持ち良さげな声を出す。夏侯惇の指がぬるついた愛液に塗れた。その様がとても官能的だとしか思えない夏侯惇は、肉芽にも触れる。夏侯惇のものよりも大きな竿の根元にあるそれは、かなり不釣り合いだ。しかし指で摘んでやると、于禁は背中を伸ばしながら高くなった声で喘ぐ。
「ァ! あ、やめ、ぁ……!」
すると于禁の竿からは精液がびゅるびゅると出てきた。相当な快楽を得たのだろう。夏侯惇は于禁と唇を寄せると、深く合わせる。同時に中指を膣の浅い中に入れていき、人差し指で肉芽を撫でた。
目を見開いた于禁はくぐもった声を、夏侯惇の口腔内に流す。体を揺らし、夏侯惇から離れようと手で押した。しかしやはり腕に力が入らないのか、ただ夏侯惇の体に手を触れただけである。
浅い場所を中指でぬこぬこと出し入れしていくと、于禁の眉間の皺が無くなっていった。そして肉芽を人差し指で優しく揺さぶると、鋭い目つきがすぐに垂れていく。
唇を離すと、于禁の色欲に満たされた声がすぐにはっきりと聞こえた。
「あ、ゃ! そこ、ひぁ、ァ、ん、あ……ぁっ、あ!」
次第に愛液が泡立つ程に中指で掻き混ぜていくと、膣がどんどん広がっていった。浅い場所から、深い場所へと指先が入っていく。
そして膣が受け入れる為に縁が広がると、于禁の下腹部が疼き始める。今まで経験したことのない感覚に、于禁は困惑した。
「やだ、ぁ、あ! 腹が、おかしい!」
「腹? 子宮の間違いだろう?」
欲が唐突に抑えられなくなった夏侯惇は、指を引き抜く。于禁の愛液で作られた糸が引いていたので、それを見るなり余裕が無くなってしまう。
「最初は、入っていく瞬間を見ながらにするぞ。だがゆっくりと、するから」
荒い息を吐きながら、夏侯惇は着物を脱いでから自身の怒張を無言で見せつける。これで、今から股の奥まで貫くと言いたげに。
下腹部の疼きが激しくなった于禁は、夏侯惇の怒張を呆けながら見る。そのときの膣は、微かに蠢いていた。とてもよく怒張を欲しているのだろう。
怒張の先端を膣に近付けると、溢れる愛液が先端に纏わりつく。于禁はそれを見て体を震わせると、視線を外そうとした。しかし夏侯惇が「見ていろ」と言いながら、顎を捕まえる。それを少しでも下に向けると于禁は観念したのか、視線を夏侯惇の言う箇所へと向けた。
「ん……んっ……」
先端がぬちゅりと埋まっていく。同時に于禁は白い布団を手で強く握る。
そこに初めて入るので、于禁は快楽と恐怖が同時に発生してしまう。本当は、前者のみを感じたいと思っているのだが。
于禁のいつも釣り上げている眉が大きく下がるが、初めて体の中に他人の性器が入るという感覚に皮膚の赤みが引いていく。体の動きがぎこちなくなっていく。逆の立場なら、何度かあるというのに。
それに、自身のそこで夏侯惇を満足させることができるかどうかも不安であった。初めてそこに受入れる。なのでこのようなことに于禁よりも慣れている夏侯惇に、残念な思いをさせてしまうのではないかという不安も過ぎった。
于禁の考えをぼんやりと察した夏侯惇は、于禁の頭に手を乗せると長い髪をやんわりと撫でていった。
「お前のことを好いているから、大丈夫だ」
「ですが……」
再び「大丈夫だ」と夏侯惇が言うと荒い息が整っていき、柔らかい笑みを浮かべる。それを見た于禁の緊張がするりと落ちていったのか、顔の赤色が戻ってきた。
于禁の方に問題はもう無いと思った夏侯惇は、先端を膣の中に少しずつ沈めていく。まずは痛みが走った于禁は顔を歪めるが、すぐに快楽へと変わってきていたらしい。口が閉じられなくなっていき、それの異常さなど頭から抜け落ちる。白い布団を強く握っていた、指の力も。
「……ぁ、っん、は、あん、ァ」
すると股にどんどん侵入していく太い棒の存在に、于禁は屈服してしまう。夢中で腰を自ら振ると、夏侯惇は于禁の外も内も褒めていく。それが嬉しいと思った于禁は、中の肉できつく締めた。
「于禁っ……! は、ぁ……!」
怒張がずるずると入っていくと、そこで何かを突き破ったらしい。于禁の股からは赤い血が流れる。夏侯惇は于禁の処女を確実に奪ったのだ。
その嬉しさに、夏侯惇の怒張の質感が増していった。
「ゃ、ッあ!? あ……おっきい……はぁ……」
「これで、お前は俺のものだな」
股から血を流しながらも、于禁はもっと突いて欲しいと思っていた。なのでねだりの言葉を夏侯惇に向ける。
「すべて、惜しみなくくだされ……」
愛液と血が混じった粘液が、白い布団のごく狭い範囲を汚す。夏侯惇はそれに自身の精液も加えたいという欲が昂り、無言で頷いた。言葉を発する余裕が無いらしい。
更に怒張を挿していくと、より感度の高い箇所を掠めた。于禁は背中をしならせ、雌のように善がる。
「ひ、ぁあ、あ! ぁ、や、きもちいい、ぁ! はっ……あ……」
更に奥である子宮に向け、夏侯惇は怒張の根元まで少しずつ押し込もうとする。だが実は男性にある膣というのは、女性のような機能を完全には果たさない。子宮に精液が入って来ようが、子を成せない。
それを知っている夏侯惇は少し悔しげにしながら、根元まで慎重に入れた。するとちょうど子宮の入口を突くと、于禁は電流でも流されたように全身を震わせる。
「は、ひゃ……ぁあ!? ゃ、あ!」
「っぐ、あ……はぁっ……分かるか? 子宮まで、届いたぞ」
夏侯惇はあまりの于禁の粘膜の気持ち良さに、言葉がすんなりと出て来なかった。一方で于禁はこくこくと頷くと、震える手で引き締まった下腹部を擦る。するとそれだけであまりの気持ち良さに、竿から精液を射出させた。そのいやらしい姿に、夏侯惇は思わず乱暴に腰を打ち付けようとしてしまう。
しかし于禁を怖がらせてはいけないと戒めながら、ゆっくりと揺さぶる。好い場所に怒張があるのか、于禁は体をしならせ表情を蕩けさせていたが。
「ぁあ、あっ、ァ……」
寝台がギシギシと軋み、于禁の腰や髪が揺れる。その姿が、何とも性欲を増幅させるものであった。夏侯惇は理性をまだ縛りながら、于禁を快楽の底へと少しずつ落としていく。
「っひ、ぁ! イく、イく、ゃめ、はァ、あ、ん、ぁ!」
「文則ッ……!」
そろそろ夏侯惇は一時的な限界が来たらしい。なので顔を歪め、于禁にそれを訴えかける。すぐに理解した于禁は、口から唾液を垂らしながら良いと返事をした。加えて、手脚を夏侯惇の体に絡みつかせる。手は背中へ、脚は腰へ。
「っあ、ァ……こだねが、ほしい……!」
于禁がそう懇願すると寝台の布団を握るように、夏侯惇の背中に爪を立てる。痛みが走った夏侯惇だが、今はそのようなことはどうでもいいことになっていた。消えていた筈の荒々しい息を吐き始めながら、于禁を揺さぶっていく。縛りつけていた理性が、ぷつりと切れてしまったのだ。
揺さぶる早さや強さを急激に高めていくと、それに比例して于禁の嬌声や夏侯惇の背中へ加える力が大きくなった。
「ぁ、あ! ん、きもちいい、ひ、ぁ、イく、ァ、あ!」
于禁の頭は、股を突かれることで頭が一杯になっているだろう。なので夏侯惇は何度も何度も子宮の入口を怒張の先端で叩くと、于禁の子宮の入口から中に勢いよく射精をする。あまりの熱さや量に、于禁は恍惚の笑みや吐息を出した。そして薄くなり始めた精液が、少し遅れて竿から垂れて萎えていく。
もう一度と夏侯惇はぱんばんと肌をぶつけると、于禁の体が大きく跳ねる。于禁は体を大きく痙攣させながら、下半身から粘液が噴き出す。しかしそれは竿からではなく膣からであった。
「っぁあ、イく、ぅ、あ! あぁ……!」
直後に大きな幸福感に満たされた于禁は、手脚を寝台の上にぼとりと落とした。それらを上げられる力も余裕も無く、ただ自身の中にまだ入っている夏侯惇の怒張の感覚を拾い続ける。
またしても肉を締めてしまった于禁は、夏侯惇の怒張をぎゅうぎゅうと包む。それの反動で夏侯惇は二度目の射精をし、于禁の子宮を精液で溢れさせる。
「ぐ! ぁ、っは……好いているぞ、文則」
酷い恍惚の状態から抜け出せなくなった様子の于禁と、呼吸を整えてている最中の夏侯惇はそっと唇を合わせた。顔を離すと于禁はまだまともな言葉を発せない代わりにと、どうにか薄い笑みを浮かべる。
もう一度、唇を合わせた夏侯惇は怒張を抜いていく。自身の精液と、それに于禁の愛液や血が混ざってごぽりと寝台の上に流れ出る。その卑猥なものをしっかりと見てから、于禁を抱き締めた。
「……していただけたでしょうか」
「どうした?」
于禁は何かを話しながら脚をゆるゆると動かし、夏侯惇の横腹に膝を擦る。擽ったそうにしながら、夏侯惇は顔をぐっと近付けて聞き返した。
「まんぞくを、していただけたでしょうか……」
「最初から、ずっと満足をしている。よく頑張ったな」
口付けをして、舌を入れると夏侯惇はそれを深く絡ませた。于禁からは上擦った声が漏れると、瞳が涙で潤っていく。そこで唇を離すと、于禁からすぐに「すき……」という言葉が漏れる。
そして二人は互いの肌の温かさを覚える程に触れ合った後、身を清める為に寝台から立ち上がった。夏侯惇は于禁を支える。
しかしよろよろと立ち上がった于禁の股から残った精液が垂れてくると、夏侯惇は思わず唾を飲み込んだ。
「……掻き出さなければな」
「はい……」
無抵抗である于禁を一旦寝台に戻してから、四つん這いにさせる。逞しい背中に覆い被さると、膣に手を伸ばした。柔らかい膣の中に指を二本挿れると、空気を入れるように指を開く。于禁は小さな嬌声を上げた。夏侯惇はそれに興奮してしまったが、指を進める作業を続ける。
まだ残っているか確認した後に、念のために指を一杯まで入れた。すると于禁は最中のように喘ぐ。
「……っは、ぁ! んゃ、あ、ぁ!」
「我慢をしてくれ」
ずぶずぶと指を抜き差しすると、僅かな量の精液が指を伝って垂れてきた。これで最後だろうと思いながら、指を抜こうとすると于禁に止められる。
「もっと、そこ……!」
膣の中が締めているのが分かった。その欲に勝てる筈のない夏侯惇は、指で膣を突いていく。愛液が再び溢れてくると、じゅぶじゅぶという大きな水音が鳴った。それのおかげで、スムーズに指を動かすことができる。
すると于禁を気持ちよくする為に、手首を回してから親指で肉芽をこねくる。
「らめ、ァ! またイく、ぁ……あ、ひアッ!」
潮を噴いた于禁は、四つん這いの体勢など維持できなくなっていた。そのままがくりと体を崩すと、寝台の上に転がってしまう。
「げんじょう……」
于禁は夏侯惇の名を愛しげに呼びながら起き上がろうとする。しかしもう体に力が入らないのか、仰向けに倒れた。なので夏侯惇は于禁に近付き、腕を優しく引く。
そして負担にならないようにと、今度こそ寝台から立ち上がらせる。足取りが覚束ない于禁は夏侯惇にしっかりとくっ付くと、二人は軽い口付けを何度も交わしながら身を清める為に寝室から出たのであった。