三人で○○しないと出られない部屋

三人で○○しないと出られない部屋

春風が心地良く吹き、雲一つ無い青い空が広がっている日のことだ。夏侯惇の隠れ処にて、于禁は逢引の約束をしていた。それも太陽が真上にある時間帯にも関わらず。
だがそのような約束をするならば、太陽が沈んだ時間帯が最も適しているだろう。二人で久しぶりに過ごせるようになる時間は今からである。それに翌日までは二人はたまたま時間が空いているので、より多く共に過ごせる時間が増える。
だが于禁は今、約束のおおよその時間よりも遅刻していた。その理由は約束の時間の前に鍛錬があったが、その際に思ったよりも熱中してしまい、その後に丁寧に身を清めてから平服へと着替えていたからだ。
急いで馬に乗って駆けると城から離れた、周囲に人気のない夏侯惇の隠れ処に辿り着く。すぐに馬から降りて隠れ処から数歩程に離れた馬繋へと繋ぐと、隠れ処の扉の前へと立った。だがそこで微かに何とも言えない違和感を感じた于禁だが、約束のおおよその時間を過ぎている。なのでその違和感はひとまず後回しにすると、扉を指定された間隔と回数をノックしてから無言で入った。
「夏侯惇殿……」
「おお、于禁」
入るなり于禁は、愛しい人物の名を優しい声で呼んだ。その人物の名である夏侯惇は、平服姿で寝台の上にあぐらをかいて普段と変わらない様子で返事をする。
寝台は扉の真正面の窓際に設置してあるが、今の于禁にとってはいつもより大きく見えた。鍛錬により、少し疲れているせいだろうと思いながら。
夏侯惇の手には顔と同じくらいの大きさである、貴重な白い紙らしきものを持ってそれを凝視している。それを見た于禁は寝台の縁には座らず、その場で立ったまま謝罪の言葉を述べようとした。
「夏侯惇殿、到着が遅れてしまい……」
「いや、大丈夫だ。それにここは、俺の隠れ処じゃなくなってるからな」
夏侯惇は于禁の謝罪の言葉を遮るも、突然に話が見えない会話をしようとしていた。
まずは前半の、大丈夫だというものはまだ理解できる。しかし後半の、自分の隠れ処ではないというものは、于禁にとっては全く理解ができなかった。今空に昇っている太陽が地や隠れ処の窓から内部まで平等に照らすように、ここは夏侯惇の隠れ処であるのは揺るがない事柄であるのに。また、いつもと変わらない様子の夏侯惇の隠れ処であるのに。やはり、寝台がいつもより大きく見えるが。
「……あの、どういうことなのでしょうか?」
「入ったらここから出られなくなった。中からは扉が動かないが、どうやら外からは動くらしい。そして、寝台の上にこれがあった」
于禁は首を傾げながらそう聞いた。簡単な説明を終えた夏侯惇は、手に持って凝視していた白い紙を于禁に寄越す。
「これを読んでみろ」
その白い紙には上手くも下手でもなく無難で、そして墨を含ませた筆で書かれたものでない筆記体で文字が記してあった。だがその文字を追った瞬間に、于禁は赤面してしまう。
「まぐわいをしなければ、出られないなど……!」
そして于禁は白い紙から目を背けると、夏侯惇にそれを突き返した。
「だが、お前はやる気満々なのだろう?」
夏侯惇は突き返された白い紙を床に向けて、捨てるように投げて落とす。そして于禁の手を引こうと手を伸ばした瞬間、隠れ処の扉がノックも何も無しに乱暴に開かれた。二人は咄嗟に扉を睨み付ける。
だが武器は生憎にも手身近な場所にはなく、寝台から少し離れた棚と壁を挟むように、刀が隠して立て掛けてあった。仮に侵入者か何かが入って来ても、それを取るのは間に合わないだろう。なので于禁は夏侯惇を自分の体で隠して庇うようにして、そして侵入者だった場合はどう対処すれば良いのか刹那的に思案していた。だがその杞憂や思考は無駄だったようだ。二人、特に于禁は。
「私……!?」
扉を開けて入って来たのは砂埃さえ、一粒も付着してないような鎧を着込んでいて、そして三尖刀を装備している『于禁』であった。恐らく、戦の最中だろうか。だがその鎧は今于禁が使用しているものとは、色も施されているデザインも違う。そもそも鎧を着込んでいる『于禁』の外見年齢は、平服を着ている于禁よりも若く見えた。恐らく、曹操に仕え始めた頃だろうか。
だがその『于禁』は初めは敵の排除や威嚇するため、凄まじく鋭い眼をしていた。しかし寝台の上で寛ぐようにあぐらをかいている夏侯惇と、その傍らに立つ平服姿の自分を見て大層驚くことしかできないでいる。背後の扉は何もしていないのに、勝手に閉まってそこで立ち尽くしながら。
数秒ほど沈黙に包まれたが『于禁』は、脳内で今の状況を整理しようとしてもできないらしい。なので今の状況が幻覚かと思い、頬を強く抓るが痛みを感じて狼狽した。だが無理もない話だ。自分らしき人物がもう一人居る挙げ句に、個人的に友好関係が無い上官と共に個人的な空間に居るのだから。
「落ち着け、『于禁』」
あぐらをかいていた夏侯惇は溜息をついて冷静に寝台から立ち上がると、鎧を着込んでいる『于禁』の元へと近付く。だが『于禁』は警戒して良いのか分からず、手に持っている武器と夏侯惇を交互に見た。なので夏侯惇は武器を掴むと、そのまま没収するように取り上げた。ここで武器を装備するのは状況に相応しくないし、隠れ処内の物が壊れるのを防ぐためか。
そのときに手袋をしている『于禁』の手と、夏侯惇の手が躊躇なく触れた。しかし夏侯惇は何も気にしない様子であるので、『于禁』はすぐに手を引いた。燃え盛る熱い炎に触れてしまったように素早く。
『夏侯惇殿! 貴方も先程、戦に出陣をなされた筈では……!?』
「戦に出陣していた?」
夏侯惇は于禁に三尖刀を渡すと扉の横に立て掛けさせる。そして『于禁』の焦る言葉の一部を復唱するように返事をした。
「戦など今は起きていない。それに今から、次の陽が昇るまでは俺の隠れ処で休むところだ」
『ではなぜもう一人の私……でしょうか? 何故、貴方の隠れ処へ? このような時間から共に休むのですか? ……個人的な関わりなど、全く無い筈では』
『于禁』の直球で冷静な質問を幾つかすると、于禁は顔を青くした。もう一人の自分に今の夏侯惇との関係を否定されたからだろうか。それも、かなり申し訳ないような顔しながら。
「……そうだな。俺の隣に居るのはもう一人のお前であるし、共にここで休むつもりでな」
夏侯惇は于禁の隣に立つと、少し見上げるように上げながらそう言う。そして気にするなという意味で于禁の肩を軽く叩く。
だが『于禁』は納得がいっていない様子なのと、二人で共に過ごすという意味が分からなかったらしい。怪訝そうな目で二人を見る。
すると二人は小声で短い会話を始めた。
「その……」
「……恐らく、呂布を討つ前の頃だろう。確かにその頃の俺たちは、今のような関係は無かったからな」
そう夏侯惇が言うと、何か閃いたらしい。于禁へ「ここから先は首を突っ込むな」と言うと、不気味な笑みを作ってから『于禁』へとある提案を持ちかけた。だがそれを見た『于禁』は気持ちを後ずさりさせる。見たことのない表情を作る夏侯惇の様子を見てか。
「ここは、今は普通の部屋ではないらしい。あることをしなければならなければ出られないしくてな。冗談でもからかいでもない。だから、ここから何としても出たいか?出陣していた戦に戻りたいか?」
『于禁』は悩んでいた。目の前にいる夏侯惇は自分の上官であるのに間違いないはずだが、先程から普段は全く見慣れない言動がうかがえた。外見も声も、『于禁』の脳内では一致しているのに。
だが『于禁』自身は曹操に仕えてまだ日が浅いせいで、その違和感はすぐに消え去った後に即答した。
『当たり前です』
「……ならば交渉成立だな。では、この于禁と今からここで何をするかは知っているか?」
夏侯惇は寝台に乗ると、続けて于禁も乗り上げて座って向かい合った。そこで夏侯惇は『于禁』にそう聞くが『于禁』は首を傾げるように回答する。
『……夏侯惇殿、貴方の鎧合わせでもするのでしょうか?』
「違う。全く、相変わらず堅い頭をしているようだな」
溜息をつくと夏侯惇は熱を帯びた視線を、既に無抵抗状態の于禁に向けてから押し倒す。それに驚いた『于禁』は咄嗟に止めようとしたが遅かったようだ。覆い被さった夏侯惇は、すぐに于禁と唇を一瞬だけ合わせると離した。そのときの于禁は恥ずかしいのか、目を逸らして頬を赤く染めると口元を片手で覆う。
するとそのままの状態で『于禁』の方を見ると、再び不気味な笑みを浮かべる。
「……これで、分かるか?」
『も、申し訳ありませぬ、私には、そのような……』
『于禁』も恥ずかしげに目を逸らし、今から同性同士での行為を行おうとしているのを察する。『于禁』は同性同士での性行為を行う者も居るのは知ってはいるが、今までずっと無縁であった。同性と寝る趣味はないし、立場を維持するために同性と寝る機会などない。
しかしそれが今降りかかろうとしているが、いくら夏侯惇が相手でも『于禁』は断ろうとしていた。やはりそのような経験はないし、恐らくそのような行為に慣れてるであろう、もう一人の自分が相手になった方がいいと思っていたからだ。
『貴方一人で私……いえ、二人を相手にされるつもりですか? 私たち……私も下になるのは……』
『于禁』は何もかも曖昧な様子で断る。しかし夏侯惇は体を起こすと、訂正をするために顔を向けた。寝台に仰向けに寝かされている于禁の表情が、いつの間にか何かを待っているものに変わっているのに夏侯惇は気付かずに。
「何を言っている、下は俺だ」
『……えっ!?』
『于禁』の声があまりの驚きに裏返ってしまった。自分でも分かるくらいだったので、咄嗟に口元を抑える。
『あの、どういう……』
「だから、俺は今からお前たち二人に抱かれ……うわっ!?」
夏侯惇が言い切る前に寝台で仰向けに寝かされていた于禁は、痺れを切らしたらしい。夏侯惇の腕を引いて乱暴に寝台に仰向けにさせると、そのまま覆い被さった。
「私は、いつまで待てば良いのでしょうか」
于禁は抑えられない情欲が爆発したらしい。夏侯惇の両手首を力強く押さえ、夏侯惇の何もかもを犯そうとするような眼で視線を捉える。
だが夏侯惇はその眼に弱かったのか、両手首を押さえる手を振り解こうともがこうとしなかった。実際に、その眼で于禁に抱かれるのが堪らなく気持ち良いらしい。自分の性別が変わったかのように錯覚するが、それに本能や体がそれに全く逆らえないというのもあるのか。
『貴様……!』
いくら同じ自分でもただの乱暴行為にしか見えないからか、『于禁』は眉間に深い皺を刻んだ。于禁を止めようとするが、再び唇を合わせ始めたので『于禁』は顔を真っ赤にしてその手を止めてしまった。
唇を合わせた二人は離れようともしないし、寧ろ互いに舌を深く絡めあった。そしてちゅぷちゅぷと舌や唾液が混ざり合う音が鳴る中、夏侯惇の気持ち良さそうな声が漏れ、聴覚が卑猥な音で満たされる。
『于禁』はそれを、顔を真っ赤にしながら見ることしかできなかった。ここまで濃密で激しい舌の絡め合いは見たこともなかったし、実際にしたこともない。
そして時折夏侯惇の顔が見えるが、同じ性別であってあまり関わりのない『于禁』からしてもそれは煽情的であった。顔を赤くして目を潤ませる、その様が。
遂には『于禁』は興奮してしまったようで、股間を膨らませてしまう。だが男相手にそのような生理現象を起こしてしまったのは初めてで、酷く困惑していた。だが『于禁』本人にとっては幸いなのか、鎧を着込んでいるので股間の膨らみは二人には気付かれていない。なので『于禁』は眉間に大きな皺を刻み、鼻息を荒くしながら耐えた。
しばらくしてから引かせると二人の唇の間からは唾液の糸が引く。
「お前も来い」
唇の端からはどちらのものか分からない唾液を垂らし、そして息切れしながら『于禁』を寝台の上へと誘う。夏侯惇は『于禁』が興奮しているのを、顔を見ただけで分かったのか。だが『于禁』は頑なに従おうとはしなかった。上官を抱く形で閨の相手をするのは脳が完全に否定しているらしく。
すると『于禁』のその様子を見た夏侯惇は溜息をつくと、于禁に対して「拘束して仰向けにさせろ」と指示を出した。一瞬だけ于禁はもう一人の自分を拘束するのか、というおかしな考えが過る。だがそのような考えは頭を振って振り落とすと、油断していた『于禁』の腕を力強く掴んで寝台の上へと投げるように仰向けに寝かせた。寝台が大きく軋む。その瞬間に『于禁』は何か抵抗しようとするも、于禁に上体を無理矢理起こされる。そして両脇を腕で拘束して上半身の自由を奪った。なので下半身だけでも、と両脚をもがこうとしたが夏侯惇に抑えられる。
「この俺を蹴る気か?」
膝のあたりに夏侯惇は軽く乗り上げてそう脅す。『于禁』は違うと答えたいが、視線を泳がせることしかできずにいる。その際に『于禁』の膝などに、夏侯惇の膨らんでいる股間が平服越しに押し付けるように当たった。
「んっ、あ、ぁぅ……」
その際に夏侯惇は甘い声を漏らす。故意ではなく、自然と。
するとその声を聞いた『于禁』は耳まで赤く染めると同時に力が抜け、膨らませていた股間が射精してしまった。更に興奮してしまったらしい。若干だが肩を上下させながら、大きく呼吸をする。
背後にいる于禁は気付いていないが、夏侯惇はそれに気付いた。なので『于禁』へと息がかかるくらいに顔を近付ける。
「鎧など、いらんだろう?」
夏侯惇は誘惑するように鎧に手をかけ、素早く脱がせると床に次々とそれを置いていく。下に着ていた着物のみになったところで、股間の膨らみと新しくできている染みが露わになった。
それを見て『于禁』は焦ったのか、再び体をじたばたさせて悪あがきをする。しかし背後からの于禁による腕の拘束と、脚を正面から乗り上げられているせいでやはり動けなかった。
「大きさは、変わらんな。同じだ」
夏侯惇は着物の裾を捲り、真上へと勃ち上がっている肉棒へとうっとりとした視線を送る。于禁の肉棒の形や大きさなど、太陽が昇って沈んでいく方角と同じように当たり前に知っているのか。次に舌舐めずりをすると于禁の勃ち上がっている肉棒が、『于禁』の腰のあたりに当たった。その感触が気持ち悪いが、正面の夏侯惇の様子が何とも官能的であるので、感情的にも物理的にも板挟みである。
背後の于禁が当てる気持ち悪さが勝ってきたところで、夏侯惇は『于禁』の肉棒を口に含んだ。驚きのあまりに『于禁』は腰が揺れてしまう。
『何を……!? ぐっ、うっ……!』
夏侯惇が少しの口淫をしたところで、思わず『于禁』は射精をしてしまった。それも夏侯惇の口腔内へと。
夏侯惇による口淫が、あまりにも上手すぎたのだ。于禁と同じように『于禁』の弱いところも、舌や頬の内側で包まれるのが好きな箇所を責めていた、その結果である。
そこで夏侯惇は、やはり于禁と全てが同じだと確信した。口腔内に吐き出された精液を躊躇なく喉に通し、萎えていない肉棒から口を離す。
「……于禁、俺を脱がせて、こいつに見えるようにしろ」
「はい」
于禁は夏侯惇の指示に対して即答すると『于禁』の拘束を解き、次は夏侯惇を背後から膝の上に座らせて拘束した。そして素早く平服を脱がせてから眼帯も外す。両脚を開かせ、厭らしい体と股も、何もかもを『于禁』に見せる。
『于禁』は目を逸らした。それでもやはり人間の本能からして見てはいけないものを見てしまう癖があるからか、『于禁』は再び視線を向けてしまっていた。今の挿入口はぴったりと閉じているが、顔を赤らめて弱々しい瞳をしている夏侯惇の表情からして、何とも言えない欲が掻き立てられる。
それに見られている夏侯惇は、更に興奮したのか、先走りを垂らす。
すると于禁は『于禁』を更に煽りたくなったのか、夏侯惇の唇を無理矢理に奪ってから舌を捩じ込む。先端で上顎をぬるぬると這わせ、歯列をなぞると夏侯惇の身体が跳ねてから射精をした。それを見た『于禁』は若い女子を邪な目で見る男のような、荒い息が出る。完全に、夏侯惇に対して欲情をしてしまった。
于禁の唇が離れていくと切なげに目を追ったが、夏侯惇は『于禁』の視線に気付くとそちらへと向いた。やはりいつもの精悍な表情は、どこにも無く。
「よく見て、覚えろ」
夏侯惇はそう言うと、背後の于禁へと顔の向きを変えて「慣らせ」と次の指示を出した。それも即答をした于禁は片方の脚を降ろし、垂れている夏侯惇の精液を指で掬い、それを股へと持っていく。そしてまずは人差し指を侵入させた。
「ぁ、あ……」
股を可愛がられている女のように、夏侯惇は気持ち良さそうな声を漏らす。それを聞いた于禁は、股はまだきっちりと閉じられているというのに、既に侵入させている人差し指をぐいぐいと抉るように力強く押し込んだ。今日は、どうにも抑えがきかないらしく。
「っや! ぁあ! それも、すき……」
人差し指が根元へと入ると、その結合部を見て『于禁』も抑えがきかなくなっていた。相手が女ではなく男でしかも、夏侯惇であろうと。
それを察した于禁だが何か言葉を発することなく、ただ視線を寄越すと『于禁』は頷いた。
二本目の指が未だに緩んでいない股へと入ったところで、『于禁』も股へと手を伸ばす。そして潤滑油を纏っていない人差し指を差し込んだ。少しずつではあるが、緩んできているらしい。
「あ、ぁ……あ……」
熱く狭い股の中には二人の太く長いごつごつとした指が入る。三本の指が根元まで入ったところで、『于禁』は中指を股に入れる。股は拡がってきているのか、根元まですんなりと沈んでいった。二人は、入れている二本の指を違うタイミングで抜き挿しをした。それにより夏侯惇の股からはじゅぼじゅぼと音が鳴り始め、前立腺を掠めると夏侯惇は艶っぽい喘ぎ声を放つ。
途中で『于禁』は夏侯惇の降ろしてある脚を掴み、そして簡単そうに持ち上げる。そして十数回、こりこりとしている前立腺を指でぐいぐいと苛めた。夏侯惇が射精しないように、二人で性器を握り締めながら。
「ぁあん! あ、ん、ぁ! や、あっ、あん」
それを繰り返したところで于禁は指を引き抜き、続けて『于禁』も引き抜いた。夏侯惇の股は排泄器官ではなく、男を悦びへと導く性器へと変わっていた。ぽっかりと穴が空いて、縁がヒクヒクと伸縮している様子へと。
それを見た『于禁』はごくりと生唾を飲み込んでいると、于禁は夏侯惇の腰を掴んで持ち上げた。
「元譲……」
于禁は熱を含んだ字を呼ぶ声を夏侯惇の耳へと注ぐ。それは、夏侯惇が望んでいるものを捧げる合図のために。なので于禁は平服の裾を捲り、肉棒を取り出した。
「文則……」
目一杯に于禁を誘うように応えると、夏侯惇の股に肉棒があてがわれた。『于禁』はそれを正面から凝視をすると、夏侯惇はその目を僅かに視界に入れる。
「後で、お前のも食って……ぅあ!? あっ……ひぁ!」
夏侯惇の股に、于禁の硬い肉棒がどんどん沈んでいった。まるでぬかるみにでも割って入っていくように。
そして夏侯惇の股は肉棒を当然のように歓迎しているのか、ぎゅうぎゅうと締め付けた。
『于禁』は一瞬だけ、目の前の夏侯惇の体が男のものなのか分からなくなっていた。しかし挿入の際に弱く飛び散る精液のおかげで、その思考は薄れていったが。
「もっと、俺を見ていてくれ……」
快楽を得ている最中の夏侯惇は、片眼を細めながら『于禁』に結合部を見せようとする。だが脚に力が入らず、自分で広げられないのか腰を震わせるばかりであった。それを背後から見かねた于禁は、腰から手を離して膝裏を掴んだ。そうすると、夏侯惇の股に于禁の肉棒が全て入っていく。
『于禁』はそれを、いつの間にか自身の肉棒に手を掛けながら見ていた。
「ぁ、ん……ぁ、ア、あぁ……!」
みっちり全て入ると口の端から唾液を少量垂らし、眉をがくりと下げた。体全体を震わせると夏侯惇は射精をし、それと同時に『于禁』も射精をしてから夏侯惇の内股に精液を垂らす。
『見ておりますとも』
射精の後に軽い息切れを起こしながら『于禁』は、続けるように自身の肉棒を手の平で擦る。夏侯惇の淫らな姿により肉棒が萎える気配も、興奮が消える気配も無いのか。
「話は後にしろ」
肉棒を慰めている『于禁』に対して于禁は、急激に愛想を無くした声を出す。于禁はどうやら『于禁』に何か嫉妬心を抱いたようで。
それに『于禁』は気付いたが夏侯惇の様子を見てから頷くと、于禁は腰を大きく振り、夏侯惇の胎内を犯し始める。
「ぁ、あ! っあ、ァ、あ、ぁ!」
「っは、は、あなたの中で、よく味わって下され、はぁ、はぁ、はっ……」
粘膜と皮膚同士がぶつかる音が聞こえてきたが、とても大きなものであった。だがそれが、于禁が夏侯惇を犯す激しさを象徴しているのだが。
「どうですか? こうして女性のように抱かれている様を、じろじろと見られるのは」
于禁は夏侯惇の耳朶を舌で掬い、煽るようにそう問い掛ける。しかし夏侯惇は、肉棒で胎内を抉られる快感により、まともに答える余裕は無いようだった。
二人の聴覚を犯すだけの、嬌声を上げるのみで。
『夏侯惇殿……』
すると『于禁』は、自身の肉棒を手にかけるのみというのに限界が来たらしい。膝立ちになると、女のように喘ぐ夏侯惇の顔をゆっくりと持つ。
『私のことは、許して下され。申し訳ありませぬ……』
切羽詰まった安っぽい懺悔を吐くと、夏侯惇の喘ぎを止めるように口を自身の血管が大きく浮いている肉棒で塞いだ。夏侯惇の口腔内全体で包ませた。
「んぅ……!?」
夏侯惇は驚きのあまりに目を見開くが、その際に胎内をきつく締め上げたらしい。于禁が精液を放つと、すぐに蕩けた瞳へと変わっていった。于禁の精液が胎内へと注がれたのもあるが、『于禁』の肉棒の味が口腔内で広がり、脳が正気を取り戻すのを中断させたからか。
『は、はぁ、はっ……貴方は、きもちいい……』
そこから『于禁』は夢中で夏侯惇の口腔内を肉棒で掻き回す。粘度の上がった唾液が絡み、とてつもなく卑猥な水音が発生した。
一方の于禁はそれに対抗心を燃やしたのか、夏侯惇を四つん這いの体勢へと変える。それにより『于禁』の肉棒が離れていくが、夏侯惇はそれを手で掴み口元へと持っていくと自ら口に入れ、そして舌を丁寧に這わせた。
于禁は眉間に皺を寄せると夏侯惇の腰を手で掴む。一旦肉棒を引かせると、そのまま叩き付けるように肉棒を打ち込んだ。それを数回繰り返すと、夏侯惇は口を塞がれているので声をまともに出せないまま、夏侯惇と于禁は絶頂を迎えた。
「んぅ……! んんッ!」
その様子を見た『于禁』も絶頂を迎えていた。
なので夏侯惇の胎内と口腔内に、それぞれ精液が注がれる。二人は射精中に夏侯惇の粘膜に擦りつけるように、塗りたくるように。
一旦、于禁は胎内から肉棒を引き抜くと『于禁』の方を睨み、引き抜けと視線で合図する。『于禁』はそれを睨みながら仕方なく口腔内から引き抜いた。股から精液をゴポゴポと垂らし、口からは全く飲み込めなかった精液を垂らす。その卑猥極まりない光景に、二人は息を飲んだ。加えて夏侯惇からは雄の表情が完全に消え、子種を欲している雌の表情へと変貌していた。
『于禁』は初めて見る夏侯惇のその表情に、更に興奮した。なので先程、夏侯惇の「食ってやる」という発言を思い出したのか、夏侯惇を押し倒す。
そこで撫で付けられていた夏侯惇の髪がどんどん下りていく。それとは対照的に、二人の于禁の髪は一切崩れていない。
『はぁ、はぁ、はっ、はぁ……夏侯惇殿……』
精液が流れきった股へ、自身の肉棒を向けるとずるりと一気に挿入した。その反動で、夏侯惇の体が跳ねる。
「ゃ、あ! おおきい……ん……あっ……!」
その時の『于禁』は初めての夏侯惇の胎内が、女よりも好いとしか思えなかったらしい。自分のような規格外の長さや太さの肉棒を出し入れされた後でも、それでも足りないと言わんばかりにきつく締めてくるからだ。
それに肉に少し包まれただけで『于禁』は夏侯惇の胎内の浅いところで射精をした。だがそれを奥へと送るように、ずるずると押し込み始める。せっかくの精液が、股から流れ出ないように。
『貴方が、このような方だったとは……。こうされるのが、相当お好きなようですな』
肉棒全体が胎内に包まれたところで、『于禁』は夏侯惇の両脚を持ち上げて広げた。おかげで至近距離には、厭らしい結合部が再び露わになる。
それを舐めるように見ながら、ゆっくりとピストンをしていく。
「あ、すき、んぅ、あッ! すき! あァ、や、あぁ!」
だが夏侯惇の乱れ具合と、『于禁』が胎内で気持ちよくなっている様子を見た于禁は内心で舌打ちをした。すると夏侯惇の上半身のみを、背後から持ち上げる。
「ここもあなたは、元譲はお好きのはずですが」
夏侯惇の女のようには豊かではない両胸を手の平で揉みしだくと、指先で粒を押し込み潰し始める。
「っやァ! そこもいじめるのらめ、ぁ、ん、アぁ! あっ、ぁ、あっ!」
「苛めてはいませぬ。お好きであるはずと分かっておりますので。それに、ここを揉んで、大きくしなければ……」
夏侯惇はそれにイヤイヤと顔を振るが、体はやはり正直のようだ。胸への刺激により胎内を更に締め付け、それにより『于禁』はくぐもった重い声を出し、吐精をした。
『夏侯惇殿、貴方は女性よりも、男を狂わせる体をお持ちのようで……!』
「ちがう、狂わせるのは、お前たちで、ひゃあ! あッ! ん、ン、あ! あっ、ぁ!」
絶頂を迎え、薄い精液を吐いた夏侯惇は体をびくびくと跳ねさせる。
夏侯惇自身でも把握できない程、胎内に精液を吐き出されると『于禁』は肉棒を引き抜いた。そこで、隠れ処の扉から何かカチリと音が聞こえる。しかし夏侯惇は勿論、二人の于禁はそれどころではない。
「お前たちのを、綺麗にしてやる……」
夢現の状態で二つの精液の付着している肉棒を見た夏侯惇は、舌出して涎を垂らした。
まずはあぐらをかいて座っている于禁の方へと、覚束ない動きで四つん這いで移動した。
まだ硬さを持っている肉棒へと顔を寄せると、舌で竿の部分を慣れた様子で満遍なく這わせる。太く長いので、付着している精液を綺麗に舐め取るのに多少の時間を要したが。
それを終えると口に含んで舌で先端を舐める。付着した精液や独特な雄臭い味であるにも関わらず、肉棒の先端を乳飲み子のように音を立てて吸い上げた。于禁はそこが弱いので、わざとというのもあるが。
すると残っていた精液が放出され、それを夏侯惇は喉へと流し込むと口淫を終えた。
「ん……つぎ……」
膝立ちになっている『于禁』は猛獣のような呼吸をしながら、夏侯惇の顔へと肉棒を近付ける。そして血管が未だにビキビキと浮いている様を見せつけた。
『まだ、私は満足しておりませぬ』
「ん、んぅ……ぁ……」
夏侯惇は『于禁』の言葉に適当に返事をすると、顔を肉棒と同じ高さに合わせ、于禁と同じく付着した精液を舌で舐め取った。途中、舌でも血管の浮き具合がよく分かったらしく、夏侯惇は鼻息を荒くしながらそれを終えた。
先端へと移動させ、舌でくびれの部分を念入りにぬめらせるとすぐに射精をした。やはり夏侯惇は、それをきちんと喉に通す。
『ふっ、はぁ、はっ、は……あまりにも厭らしい、貴方がいけない……ですが、私を許して下され……!』
夏侯惇が口淫を終え、肉棒を外気に曝そうとしたところであった。『于禁』はギラギラとした眼を夏侯惇に向けると、口腔内の奥へと肉棒を進める。夏侯惇の膨らんだ頬を見て、詰まらない懺悔を再び口にしながらも。
「ん、んんっ!?」
胎内同様に、口腔内もとても気持ち良いらしい。なので『于禁』は胎内を犯すように、夏侯惇の後頭部を乱暴に手で固定すると口腔内で軽くピストンし始めた。
「ん、んっ、んぶ、ん、っんぅ……!」
胎内を突いているものと、似たような快楽がこみ上げてきたらしい。ピストンを更に早めると、そこは胎内と同じ役割を果たしているとしか思えなくなっていた。
だが夏侯惇の口腔内の粘膜を肉棒で擦っている最中、于禁はそれを見て消えていない対抗心をより燃え上がらせた。夏侯惇の腰を何の言葉も遠慮も無しに掴むと、そのまま縁を少し腫れさせている股へと肉棒を突き刺す。
「んぅっー! んん、んぅ!」
そこは少し緩くなっているが、暖かく柔らかい胎内が包む肉感のおかげで気にならなかった。
「どちらの摩羅が良いですか? どちらがお好きですか?」
血走った目で夏侯惇のうなじを見るとそれに唇を付け、吸い上げた。すると緩くなっていた締め付けが戻ってくる。なので于禁は口角を上げながら、激しい抽挿を始めた。
「ッんんぅ、んぶ、んっ……!」
夏侯惇は何も喋られない中でも、聞き取れない何かを話す。だが当然、上下を塞いでいる二人には聞き取れるはずが無く。
『夏侯惇殿は、私の摩羅がお好きなのだ。お前は黙っていろ』
『于禁』はピストンをしながら睨みつけると、于禁も同じく睨みつけて抽挿をした。そうしていくうちに二人の見えないところで、夏侯惇は射精をして萎えていた。
夏侯惇はそれでも相変わらず、胎内や口腔内を雄臭い肉棒で犯されて悦んでいるが。
「元譲、私の摩羅で苛められる方がお好きでしょう?」
ラストスパートのように、于禁は胎内のより奥へと穿つ。するとぐぽり、と音を立てながら、最奥へと入り込んだ。
「ン、んん、んぅ! んっ!」
歓喜をしてしまった夏侯惇は最奥をすんなりと受け入れると、于禁はそこを重点的に突きながら抽挿をした。だが、あまりの激しさに『于禁』は悔しげな表情に変える。
『いえ、私の方が……!』
そこで一旦、『于禁』は肉棒を引かせるとようやく夏侯惇は少しは自由に言葉を話せるようになったらしい。途端に何かを、喘ぎを混じえて話し始める。
「ん、あぁっ! あっ、もう、イげないからぁ! っや、らめ、イげないから、ん、お、ぁ、あっ!」
夏侯惇はふやけた表情でそう懇願するが、二人をただ煽るだけであった。そこで萎えたものが見えた『于禁』は完全に肉棒を引かせ、代わりにそれに手を伸ばす。
芯はやはり持っていないし、触れても戻らない。しかしその状態で喘ぎながら犯されている姿は、とてつもなく唆られるようだ。なのであえてそこを触れるのを止める。
ぱんぱん、という音が鳴り響く中で『于禁』は鋭く于禁を睨む。だが于禁はそれを無視をすると、寧ろ火に油を注ぐことにした。
「好きです、元譲、あなたの、何もかもが」
最奥を硬い肉棒でこれでもかと言うくらいに擦り付けると、夏侯惇の口から唾液が流れ出る。それに片眼からは快楽による、悦びの涙も。
「んぁ、あっ、おれも、しゅき、ア、ぁ! や、あぁッ!」
射精をしないまま絶頂を迎えてしまった夏侯惇の体が、ガクガクと震えた。それに于禁の射精により少しずつ、一つの瞳がよその方向へと向きながら。
『夏侯惇殿、私も好きです』
『于禁』はそれに負けじと、夏侯惇の体を正面からゆっくりと少し持ち上げ、于禁の肉棒から離す。その際に先端のくびれのあたりが前立腺を掠め、未だに色欲の残っている声を漏らす。
それを聞いた『于禁』は刹那的に目を見開くと、寝台の上へと仰向けに投げてそれに覆い被さった。だが夏侯惇の反応はとても鈍くなっており、呆けた表情をしている。自分が今、何をされている状況なのか分からなくなったようで。
『許しを請わなければならぬのは、私ではなく貴方のようだ……』
獣のような息を吐いた『于禁』は、肉棒の先端を精液塗れの股へとぴたりとつけた。くちゅりと音が鳴ると同時に、ようやく今の状況が把握できた夏侯惇はじたばたと体を動かす。
「もうイげない、ぁあ! あっ! もうゆるして、あたまがおかしくなる!」
とても容易に肉棒が全て入ると先程の于禁がしたように、緩い胎内の最奥を探した。夏侯惇の反応を見ながら、何度も腰を細かく動かす。そこでとある角度へと腰を動かすと、于禁が起こした音と同じぐぽりという音が聞こえた。
その瞬間に『于禁』は獲物を仕留めるように、腰をとても早く激しく振った。
「っやァ! はげし、ぁ、あっ! あ! らめ、お、あ! ァ、あ! ん、あ!」
寝台の軋む音がとてもうるさかった。だが夏侯惇の淫らな喘ぎ声もそれに負けていない。
『はぁ、はっ、はぁっ、は、はっ、私のことを、好いていますか?』
夏侯惇の腹が棒状のもので少し膨れるのを見ながら、『于禁』はそう聞く。しかし夏侯惇の言葉はとても拙いものになっていた。
「ぁ、あっ、おまえも、すき、だからぁ!」
最奥が『于禁』の肉棒を締め付けると、は勢いよく薄い精液を放ち夏侯惇は気を失う。
荒い息が止まらない『于禁』はそれに手を伸ばし、口付けをしようとしたところだ。そこで何も予兆が無かった『于禁』も気を失ってしまった。

「おい! 于禁! しっかりしろ!」
夏侯惇の声で目が覚めると、于禁は既に戦が終わっている様子の荒れ地に居た。空は橙色に染まっている。周囲には誰も居ない。
気が付くと何かの建物であった瓦礫に座らされている。目の前には青ざめた顔の、見慣れた外見の夏侯惇が居た。肩を掴まれ、顔をかなり近付けながら。
「夏侯惇殿……」
于禁は先程、と言ってよいのかは分からないが、夏侯惇の顔やもう一人の自分をぼんやりと思い出す。あれは、夢か何かだったのだろうかと。
「どこかに怪我はないか?」
「怪我ですか? 今はありませぬが……」
意識を取り戻したのを確認した夏侯惇は少し安堵した。しかしそれをすぐに無くし、珍しく焦った様子で状況を説明した。
曰く、数刻前に戦の最中に突然動きが止まったかと思うと、攻撃も何も受けていないのに倒れたという。幸いにも戦には勝っており、それに于禁を安全な場所へと運べていたが。
だがそれを聞いた于禁は、何も記憶が無いらしい。
「そのようなことが!? 本当に、申し訳ありませぬ。ですが、自らを戒めなければならないようだ……」
「そのようなどうでもいいことは後にしろ! 早く孟徳に報告するぞ!」
顔の青さが一気に引き、夏侯惇は怒り気味に于禁の腕を引こうとする。しかし逆に于禁に腕を強く引かれたので、かなり驚いた顔を見せた。
于禁は熱っぽい視線を送ると、夏侯惇は酷く動揺した。思わず視線を逸らす。
「ですが、戒めの前に、夏侯惇殿……あなたのことを好いております」
于禁は口説くように熱く、そう告白した。
「よし、頭を怪我しているな」
だが夏侯惇は照れも何もなくただ冷静にそう言うと、于禁の腕を振り払い鎧の首の後ろの部分を掴む。そしてかなり重たそうにしながらまだ近くに居るらしい、侍医の元へと固い地面の上を引き摺って行ったのであった。