桐生は春日とハワイのホテルで一泊することになった。その際に部屋に入ればフロントから栄養ドリンクのようなものを渡された。曰く試供品らしく、ターゲットは桐生のような男性らしく、内心で舌打ちをした。しかし何かも分からないものを飲む気にはなれず、捨てようともした。そこで春日がそれを止める。
「待ってくださいよ桐生さん、なら俺が飲みます。ちょうど喉乾いてたところなんですよね」
「あ、あぁ……だが……分かった」
春日本人が言うならば、と思ったがその前にと成分を確認した。英語は多少はできるので見たところ、一般的な清涼飲料水と同じものしか入っていなさそうだ。見覚えのある薬品などの名前が見て取れる。
なので春日に渡せば、すぐに開封して一気に飲み干した。だが直後に苦い顔をしており、様子から見れば味は最悪らしい。桐生は思わずクスクスと笑ってしまう。
「な、なんじゃこりゃ……!? まず……! あ、ちょっと……桐生さん、トイレ行ってきます!」
「あぁ」
忙しない奴だと思いながら部屋にあるベッドの縁に座った。春日がトイレに入ったことを確認する。
こうして安息の時間を取るのは久しぶりだと思えた。日本に居たときは大道寺にずっと服の皺に至るまで監視されているような気分であり、ハワイに来てからはそこまでの監視はない。あってもGPSくらいで、セーフハウスは離れたところにある。なので少しは体の緊張を緩められた。
春日の手洗いが長いと思いながらも、桐生はスマートフォンで花輪に定期連絡をした。訳あって春日と行動を共にすることになり、春日は問題のある人物ではないと。そうメッセージを送ったのだが、花輪には春日がハワイの警察の世話になったことは把握しているだろう。少しの溜め息をつくと、トイレのある方向を見た。長いと思い、そしてハッとした。春日はもしや毒でも飲まされてしまったのかと。
立ち上がってからトイレのドアをノックする。だが返事はなく、春日にしては変だと思った。もしかして、と最悪の事態を想像してしまったところでトイレのドアが開く。目の前に居るのは春日ではない。綺麗な顔をした少年であり、春日が着ていたアロハ服に少し着せられている。
「なっ……!?」
「は……!?」
互いに驚いたところで、少年が先に手を出してきた。殴ろうとでもしようとしたのか、体が動くが桐生が先に止める。握っている拳を受け止めれば、壁に少年の背中を軽く打ち付けてから動きを封じた。あっという間である。
「なんだよ! おっさん、いやジジイ!」
「ジジイ……だと……!?」
少年におっさんと言われたこともショックだが、ジジイと言われたことも更にショックである。恐らくは髪の色を見て瞬間的にそう判断されたのだろう。顔をしかめながらも、少年をまずはベッドに連れていく。桐生は未成年には何もしたくないので、ベッドに無理矢理に座らせてから睨む。
そこでようやく少年は萎縮したらしいが、目つきはこちらを鋭く見ている。隙あらば、逃げようとでもしているのか。対して桐生は目の前に仁王立ちして睨みをきかせる。
「まずはお前の名前は何だ。俺の名前は桐生一馬だ」
「……春日一番」
「何だと?」
名前を聞いて驚いた。目の前に居る少年は春日ということは、先程の栄養ドリンクのようなものを見てこうなったのか。いや、そのようなことなどアニメや漫画でしか聞いたことがない。ここは何も現実世界なのだから。
「なんだ、おっさん。俺の名前を知ってるのか?」
「あ、あぁ、まぁ……」
どう言えばいいのか分からなくなっていると、春日が舌打ちをした。そこからどう扱えばいいのか分からなくなっていると、春日が溜め息をついた。
「ここはどこなんだよおっさん。もしかして……女と間違えて俺をホテルに連れて来たのか? きっしょいな!」
春日の目には侮蔑が含まれてきた。正直ショックであるが、仕方がない。しかし少年時代の春日が荒れていたことは知っているが、ここまでとは思わなかった。
「違う、春日」
次第に変な誤解をされるが、どうしてそのようなことを言うのだろうか。かつて桐生も今の状態の春日のような思春期はあったのだが、そのような妄想などしたことがなかった。あったとしても、自身は男に好かれるようか綺麗な顔はしてない。そこで春日の顔を見てハッとした。
「お前……もしかして、女に間違われたことがあるのか?」
自然とそう質問してしまっていると、春日がギロリと睨んできた。いわば図星であるが、なるほどと理解をすると謝る。しかし春日の態度は変わらない。
「なんだよ! おっさんも俺のことを女だと思ってたのかよ! 最悪だな!」
盛大な舌打ちが聞こえると部屋が静まり、気まずいと思えてくる。子ども相手にそのようなことは初めてであるが、そもそも春日のようなパターンも初めてである。どう接したらいいのか分からなくなっていると、春日が俯く。そして肩が震えていくと、泣いているのが分かった。
桐生は泣いている子どもにはどう接したら良いのか分かる。なので隣にそっと座ると、頭をさらりと撫でた。元々はチリチリではないと思いながら、サラサラとした髪に触れる。洗剤の匂いがしており、荒川真澄がよく世話をしていたのがよく分かった。その匂いできちんとした環境で、教育をされているのだ。きちんと、大人が居るところで育っているのだ。
思わず微笑むと、小さく「春日」と呼んだ。春日は何も答えないが、聞こえていたのは分かる。肩がびくりと跳ねていたからだ。
「春日、お前はしっかりと男に育っている。お前は男だ。大丈夫だ」
優しく声を掛ければ、次第に春日の顔が上がりかける。だが恥ずかしいのか頑なに俯いているので、可愛らしいと思った。
「なぁ春日、何か食わないか。大丈夫だ。俺はお前とただ飯を食いたいだけだ。いいだろ?」
そう言った途端に春日の腹からぐうと音が鳴ると、大きな声で「違う!」と否定をした。更に腹の音が鳴ると誤魔化しようがなくなったのか、春日は首が折れるかと思うくらいに俯いた。
このままでは本当に首の骨が折れてしまうと、春日の体に触れた。まだ筋肉はそこまでついておらず、痩せている体型だ。思わず「細いな」と行ってしまうと、春日がそこで顔を上げた。瞳に涙を留めながら睨みつけられる。
「……飯を食ってから文句を聞くから」
しかしそこで気付いてしまった。今の時間帯は夜であり、未成年の子どもを連れ回すなど言語道断である。なので立ち上がってからテーブルにあるホテルのレストランのメニューと、それにデリバリーのチラシを見つけた。どちらも手に取ると、春日に見せた。どちらが良いのかと。
「英語だが、どっちがいい?」
「……こっち」
春日が指を差したのは、デリバリーの方だった。やはり子どもだと思いながら口角を上げると、ピザにしようと提案した。春日は小さく頷く。更にどのピザがいいかと聞くと、どれでもいいと言うので定番のソーセージピザにすることにした。
早速にスマートフォンをすぐに取り出してからチラシにある電話番号に電話を掛ける。数コールで出ると、ソーセージピザのLサイズを頼んでからホテルの名前と部屋番号を伝えた。すぐに通話を終えると、春日がこちらを凝視してくる。どうしたのだろうか。
「……なぁ桐生、その板なんだ?」
「これか? あぁ、そうだな……」
そういえば春日の今の年齢では、電話など公衆電話やポケベルでのやり取りが主流である。スマートフォンのようなものなど、板にしか見えないだろう。なのでスマートフォンを春日に渡すと、正直に「携帯電話だ」と言う。
「携帯電話……? すげぇ! でも、これ、荒川のおやっさんには……」
「荒川? あぁ、今は掛けられないな……夜だしな……」
そういえば春日はやけに荒川真澄や荒川真斗について質問をしたがらない。その親子は春日にとっては特別な筈だ。安否など気にならないのだろうか。疑問に思ったが、ここがハワイだということを伝えていないし、そもそもここが未来の世界だと教えてもいない。このままでいいだろうと、桐生は先程の思考たちを捨てていく。
もう一度春日の腹から音が鳴った。成長期ならば、空腹など耐えられないものなのだろう。だが荒川真澄は人としてよく教育していたのか、耐えている様子であった。桐生は思わず風間とのことを思い出してしまう。よく錦と食い物について争っていた気がするのだ。
するとインターフォンが鳴った。ようやくデリバリーピザが来たのだ。財布を持ち立ち上がると、すぐに対応する。金を渡してから大きなピザの箱とチラシのようなものを受け取る。Lサイズなどハワイのサイズでは大きいことは承知していた。だがここまで大きいとは思わず、目を見開いてしまう。
ドアを閉めてから春日の元に行くと、すぐに目を輝かせた。やはり子どもなのだと和みながら、春日と共にピザを食べていく。しかし桐生はあまり食べる気はないのでほとんどを春日に譲ると、不思議そうな顔をした。少しは、心配をしてくれるくらいに信頼を得たのだろう。このピザのおかげなのか。
「桐生、どうした?」
「いや、俺は……シャワーを浴びてくる。食ってろ」
今や春日が居なくなってしまうこともないだろう。桐生もまた更に信頼をすると、シャワールームへと向かう。服を脱いでいきシャワーを浴びた。適当なバスローブを身に付けると、部屋に戻った。やはり春日は居り、満足そうな顔をしている。
空のピザの箱は、テーブルの上にきちんと置いてあり、ちょうどチラシを見るところであったらしい。チラシを手に持っている。だがサッと素早く隠すので首を傾げるが、気にしなくてもいいだろうと思った。
「春日、美味かったか?」
「あぁ、桐生ありがとうな!」
春日が笑顔を向けると、やはり美少年だと思えた。他の者たちが女だと見るのをつい納得してしまう。しかしそれを態度に出すのはよくないと思い、春日の隣に座ってから「お前もシャワーを浴びろ。疲れただろ」と言う。素直に頷いてくれた。
すると春日がゆるゆると立ち上がるので、シャワールームのある方向を指さす。春日はその通りに向かって行った。そこでようやく休めるとベッドに横になった。そこで先程春日が持っていたチラシを見れば、水着姿の女が写っていた。ハワイではよく見る広告であるので気にせずベッドの上に放り投げる。
部屋の天井を見れば、少しだけ体が怠い気がするように思えた。やはり年を取ったこともあるし、癌のせいもあるのか。深い溜め息をついてから他の考え事をしていると、春日がシャワーを終えたらしい。こちらを覗いてくる。
「どうした?」
「いや、その……」
「バスローブはそこにあ……」
バスローブを探しているのだと思い、言い切るところで春日が転んだ。ちょうど仰向けに転んだところで桐生は気付いた。春日は勃起をしてしまっているのだ。桐生も若い頃にそのような経験など何度もあった。ここは何も言わない方がいいかと思ったが、春日が股間を隠しながら立ち上がるとこちらに近付いてくる。思わず、身じろいでしまった。
「ど、どうした、春日……」
「な、なぁ……桐生、その……」
何やらもじもじとしているが、顔の綺麗な少年がそのような動作をしていると妙にどきどきとした。何故だろうか。自身にはそのような趣味など無いというのに。春日が言っていた「女として見る」などしたくないというのに。
「チラシ、貸してくれ……」
「あ、あぁ……」
手に持ってから春日に渡すと、走ってシャワールームへと向かおうとした。だがそこでまたしても転んでしまう。二度目となれば怪我をしていないか心配になり、春日の元に向かう。すると春日の顔を見れば恥ずかしがっていた。やはり構うのはよくなかったらしい。
「違うんだ、俺は、これで抜くんじゃなくて……」
「俺は何も見てない。俺は寝るから」
そう言ってベッドに戻ろうとしたが、そこで春日は何か考え事をしていたようだ。やはり自身を警戒することにしたのか。ショックだが仕方がないが、夜のハワイの街で未成年一人でうろつかせるのは危険過ぎる。なので観察をしてしまっていると、春日がこちらを見た。何か思いついたらしい。
「なぁ桐生……」
「いや、俺は……」
やはり引き下がるべきだと思っていれば、春日が歩み寄ってきた。股間は隠しており、少し躊躇が見える。どうしたのだろうか。
「……なぁ、桐生、実は前に何度か夢を見ていたんだ。俺が女みたいに男に襲われたらどうしようって。何度か、実際にそうされかけたことがあるんだ。でも、殴ってどうにかなったけど、でもさっき、桐生に襲われるところを想像して……それで……」
「もう、いい! お前は疲れているんだ。さっさと……」
「だから、俺と、えっちなことをしてくれ……!」
「えっ」
予想外の言葉であった。桐生は口をあんぐりと開けていると、春日か隠していた股間を見せた。まだ皮を被っており、幼いことがよく分かる。毛もまだ生え揃っていない。それを、桐生は凝視してしまっていた。
「……俺のことが、嫌いなのか?」
「いや、そうではないんだが、俺は……」
「だったら、その気に俺がしてやる。女に間違われるくらいなら……!」
そう言って春日が迫って来ると、あっという間にベッドに押し倒されてしまった。情けなくも、視界には天井とそれに意を決した様子の春日の顔が見える。
「待て、春日、俺となんかより……」
「桐生、あんたとがいいんだ」
「いや……」
春日を拒もうとすれば、バスローブの襟を掴まれる。そしてぐいと開かされれば、裸体を見られてしまった。同性ながらも少し恥ずかしいと思い、春日の体を押し返そうとする。そこで、股間をぐいと握られた。桐生は妙な声を出す。
一瞬だけ春日は自らのものと見比べて引くものの、首をぶんぶんと振った。やはり意思は固いらしい。
「ひっ!?」
「桐生、あんたを勃たせればいいんだろ? してやるよ、知らねぇ奴のちんこよりかはいいからな」
「ま、待て……!」
情けない声を続けて出していれば、春日がすぐに股間をぱくりと咥えた。それは久しぶりの感覚であり、すぐに勃起をしてしまう。春日の幼い口腔内でみるみるうちにペニスを膨らませる。春日は驚いた顔をしながら口を離した。
「うわ、でっか……」
「見るな、春日……」
「いや、でも……!」
やはり自身のペニスに怯むが、すぐに咥え直した。フェラチオをされるということは、何年ぶりだろうか。いや、大道寺に入ってから性という煩悩は取り払った筈だ。
それだというのに、未成年の子どもに咥えられただけでこうである。悔しくなっていると、春日が舌を動かし始めた。そうとなると自身の性欲が我慢効かなくなり、やがては何重にも巻いていた鎖をちぎろうとしている。自らの男性性が、また露出しようとしているのだ。
「俺は……!」
やはりペニスの高揚感には勝てなかった。自身も所詮は男なのだ。バスローブを取り払うと、据わらせた目で春日を見る。そこで春日も目を合わせるが、上目遣いのせいで余計に顔が綺麗に思えた。それに対比して存在する自身のグロテスクなペニス。その不釣り合いさが余計に拍車をかけてしまう。春日の後頭部を力強く掴んだ。
「んっ……!? ん、ん!」
さすがにこれには驚いたらしく、春日の目にまずは恐怖が浮かんだ。信頼も何も、もう警戒対象でしか見ていないだろう。それでもいい。とにかく、春日を抱かなければ気が済まない。
息を荒くしながら春日を睨めば、一時停止していたフェラチオを再開してくれた。しかし舌の動きは小さいので「もっとしゃぶれ」と低く命令する。春日は応えてくれた。舌の動きが大きくなると、熱い粘膜に包まれる感覚にうっとりとしてしまう。そして射精感がこみ上げると、春日の顔を固定した後に射精をした。春日の口腔内に、一杯に精液を放ったのだ。春日の喉からは嗚咽を吐くような音が聞こえる。そこで春日の顔を解放した。ペニスから口が離れる。
春日の口元には精液が垂れており、少し飲んでしまったのか眉を下げていた。気持ち悪そうにしているが、それがまた唆られる。
「ぅ、あ……桐生、あんた……」
あり得ないというような顔をしているが、顔は赤らんでいた。嬉しいのだろうか。加えて自身のペニスはまだ勃起をしているので、春日をベッドの上に引き込んでから押し倒した。今や視界にはシーツと驚いた様子の幼い春日が居る。
髪は茶色混じりの黒色で、顔立ちはとても綺麗だ。ごくりと喉を鳴らすと、春日の痩せた体を弄った。体まで、綺麗だと思った。
「春日……」
低く甘い声を出せば、春日の顔の赤らみが更に広がっていった。そして体を震わせると、腰が砕けたように見える。なのでその体を抱き締めると、まずは滑らかな肌を堪能する。首元をぺろりと舐めると、春日の息が上がってきた。
「はぁ、はぁ、桐生……なんか、へんな、感じがする……」
「気持ちいいか?」
優しく声を掛けながら未だ発達していない喉仏を舐めれば、頭上から小さな悲鳴が聞こえた。気持ちがいいらしい。
「ん、ん……わかんない……でも、なんか、嫌じゃない……」
「そうか」
どうやら嫌っていてはくれないようだ。安堵をすると、次に鎖骨へと下りていった。骨を唇で辿れば、大人に一歩近付いたような吐息を吐く。その声が、堪らなく聴覚を擽らせた。思わず春日の手を握ってから指を絡めると、そのまま自身の股間に持っていく。
「分かるか? お前で、俺は興奮してるんだ」
「ん……」
春日の心音が高まった。今の耳の位置では、心音など容易く聞こえるのだ。なので次は左胸に軽い口付けをしながら下りていった。一気に下半身に辿り着く。
「春日、口を開け」
「ん……? んぅ」
半開きにすれば口元にある精液を指で拭い、そして唾液をぬるりと掬った。その指を尻に持っていったところで、春日に聞く。
「男同士でのやり方、分かるか?」
「ん、少しなら……」
頷くので、そのまま指で尻を弄った。すると春日は擽ったそうにしているが、穴に指先を埋めたところで表情は一変する。顔を青ざめさせたのだ。
「少し、我慢していろ」
「ん、はぁ……でも……」
「今は、俺の言う事を聞いてくれ。すまないが、少し大人しくしていてくれ」
顔を近付けてからそっとキスをすると、春日の顔色が戻る。またしても赤くなると、小さく頷いてくれた。なので桐生は穴にまたしても触れていった。
「ッ……はぁ、はぁ」
時折に春日は息苦しそうにしているが、自身の言う事をきちんと守っていてくれていた。なので「偉いぞ」と声を掛けながら穴を拡げていく。
自身の腕もあったのかは知らないが、すぐに指が埋まっていった。春日が指が入ることに驚いていると、すぐにその指で中を掻き回す。確か、中に男として好い場所があったのだと。
「ぅ、う……桐生、ちょ、まっ……ひっ!? そこ……やめ……! 桐生……!」
「ん? ここか……」
しこりのようなものを指で押せば、春日は全身に力を込めていた。余程大きな快楽であったのだろう。しかし春日のような年齢となれば、経験したことのない快楽の筈だ。
好い場所、つまりは前立腺をもう一度押すと、春日はすぐに射精をしてしまった。桐生の体に向けて放たれるが、とても熱い。それにまだ春日のものは元気で、若いことがよく分かる。これでは、何度絶頂を迎えさせればいいのかと少し心配をしてしまう。
「……春日、すぐに楽にしてやるからな」
だがそうとなれば気持ち良くすればいい話だ。イかせればいい話だ。なので舌舐めずりをした後に、何度も前立腺を押しながら指で穴を拡げていく。前立腺への刺激に意識を向けながら、春日は何度も達していた。桐生の体が春日の精液に塗れていく。次第に、覆い被さっている春日の体にも垂れていた。その光景が、何ともいやらしい。
「ぁ、あ! きりゅ、そこ、だめ! もう、やだ、なんか、くる!」
「春日、それがイくんだ。分かったか?」
今の状態を教えれば、すぐに春日は覚えたらしい。恥ずかしげに「これがイく……」と掠れ気味に呟いた後に、どんどん喘いでいく。勿論、覚えた言葉も使ってだ。
「あ、きりゅ、イく、もう、イく! あァ!」
そして何度も何度も精液を掛けられながら、どうにか指が三本入った。自身のペニスの太さとは程遠いが、これくらいでいいだろう。指を引き抜けば、穴は寂しげにぱくぱくと動く。春日の顔は、ストロベリーアイスのようにピンクがかっていた。とても美味しそうだ。
「あ、きりゅ、ぬかないで、もっと……!」
「指よりも太いやつをくれてやる」
そう言って春日の膝を持ち上げれば、すぐにペニスをあてがう。ペニスの熱さ、それに大きさに春日は期待の瞳をこちらに向けた。もはや、春日の視界には自身しか居ないようで。
「あ、ちんこ……きりゅうさんの、ちんこ……でっかい……」
「あぁ、いれるぞ?」
「は……はぁ……きりゅうのちんこ、ちょうだい……」
求められた。なのでそれに応じるように腰を少しずつ押し付けていく。入り口は狭く入らないと思っていたが、春日の体はもはや未知の快感に従順になっていた。まるで女の膣のように蠢くと、ぱくりとフェラチオのように咥えてしまう。驚いた桐生だが、そのまま腰を進めていく。中も狭く気持ちがいい。
成長途中の少年に挿入されるペニスが、性をより強調させられる。
「ぁ……あ、ちんこ……おっきい……はぁ、はぁ、これが、えっち……」
「あぁ、そうだ」
そう答えながら腰を更に進めていくが、カリなど余裕で飲み込んでしまっていた。これは癖になる狭さで、正直ずっとこうしていたいと思えるくらいになる。とにかく、桐生でも経験したことがない快感を浴びているのだ。
「ッは……ぁ、あ……そこ、きもちい……あ、ァ……!」
そこで前立腺をカリで掠めれば、春日が善がっていく。それは抱いてきた女よりも官能的で、より性欲を刺激させられる。このまま絶頂を迎えさせれば、春日も自身もどうなってしまうのか。ごくりと固唾を飲みながら、竿まで貫いていく。容易であった。
「ひゃ! ぁ、あ……すご、おとなの、ちんこ……ぁ、おれ、これ、すきかも……きりゅう、のちんこ……」
「そうか、そう言ってくれると、嬉しい、なっ!」
言葉以上に桐生は喜んでいた。なので後は一気に腰を打ち付ければ、春日の平らな腹が膨らむ。ペニスが奥に入ったことによるものだ。
「ぐぅ!?」
空気を吐いた春日が動揺していると、桐生が腰を揺さぶった。すると腹の中をかき混ぜ、それが気持ちがいいのか春日はまたしても連続で射精をする。もはや病気かと思うくらいに止まらなかった。
「ァ! あ、そこ、やめ! もう、イってるからぁ! あ、あ!」
そう言う割には春日は喜んでいた。手を伸ばしているのでしっかりと握ってから指を絡めた。そして唇を合わせれば、中が引き締まった。とても興奮しているのだろう。
「ん、んんッ! ん、ん!」
キスの仕方も分からないのか息苦しそうにしていた。顔は相変わらずピンク色をしている。なので唇を離した後に更に貫いていけば、春日の射精が弱まっていく。ピークは過ぎたらしい。
「はぁ、は……きりゅうの、ちんこきもちいい……すき……」
「春日、お前の体も気持ちいいぞ」
春日の体を抱き締めれば、柔らかな笑みを見せてくれる。なので軽くキスをしてから腰を揺さぶる。
「ゃ、あ、ァあ、あ! っ……はぁ、は……きりゅう、また、イく! イく! や、ぁあ!」
「ぐぅ……俺も、もうすぐ……ぅ、はぁあ……!」
ぱんぱんと乾いた音が鳴った後に、春日の腹の中目一杯に吐き出した。中出しの感覚も久しぶりだが、やはり良い。
一度の射精で自身のペニスは萎えてしまうが、春日のものはもう少しだ。なので皮を被っているそこを手で柔らかく握る。
「春日、すまねぇが、あとは……う、何だか目眩が……」
そこで目眩がすると、桐生はそこで意識を失った。
※
意識を取り戻せば、やはりホテルの天井であった。そこで春日の存在はどこだと起き上がれば、そこには見慣れた春日の姿、つまりはチリチリの髪をした春日が居た。アロハシャツを着ている。しかし何故だか目線を合わせてくれない。
「あの……桐生さん……」
「何だ」
「その……」
とても言いづらそうであり、桐生はもやもやとした。そこで先程のことを思い出す。そういえば少年の姿をした春日を抱いていた気がすると。
「覚えていませんか……?」
「お前、もしかして……」
あれは夢でなかったのだ。またしても軽い目眩がしていると、春日が近付いてから、覆い被さってくる。見れば互いに勃起していた。溜め息をつく。
「俺も、覚えている。だが今のお前は……」
「忘れられねぇんですよ……だから……」
春日がそう言うとキスをされたが、とても拙い。性経験は無いのかと思ったが、それが可愛らしいと思えてきた。なので舌を伸ばしてから春日のキスに応じる。そして春日が着ているアロハシャツを、少しずつ脱がせていたのであった。勿論、春日をまた抱く為に。