まずは、行動から。
于禁と別れた日の夜のことである。
寝る前時間となったので風呂に入り、寝間着に着替えていた。昨夜の疲れがまだ残っているので、ぐったりとしている。だがホテルから出た直後よりかは疲れは少ない。
その時は、疲れのピークだった。特に夏侯惇は足をふらつかせながら歩いており、傍から見たら飲み会で朝まで飲んで酔い潰れていた会社員として見えていたことだろう。タクシーを捕まえる金銭的な余裕はあったが、二人のまだ残っている熱を近距離で人前に出すのはどうかと思った。若者ならまだしも。
暗くした自室のベッドに横になり布団を掛け、明日からまた仕事だと憂鬱に思いながら目を閉じる。すると、昨夜のことがフラッシュバックのように目に浮かんできたのだ。それくらいに、夏侯惇にとっては心と体に深く刻まれた出来事である。
もう一度、近い内にまた于禁と会いたい。また、于禁と寝たい。そう思いながら眠ろうとした。しかし夏侯惇に興奮が襲い掛かってくる。昨夜、枯れるくらいに出したというのに、まだ元気だとは思わなかった。
夏侯惇は恐る恐る布団を剥いで股間に手を伸ばすと、元気に膨らんでいた。やはりと思いながらも、寝間着のズボンをずらし、そして下着の前部分に手を突っ込む。股間はよく芯を持っていた。しっかりと握ることができる。
「っ……はぁ……」
触れた瞬間に、昨夜の熱が体に再び走ったように感じた。すると手が止まらなかった。
夢中で暗闇で擦り続ける。その最中に、ふと于禁の顔が過った。股間が先程よりも膨らんだことが分かると、夏侯惇の頭が勝手に想像し始める。
「ぁ、ッは、于禁……!? ぁ……于禁、于禁、あァ、ん、ぁ」
だが想像したのは、于禁に自慰の様子を見られているものだ。それも、目の前で凝視されている。
夏侯惇はそれに酷く興奮したが、このようなことが好きなのかは自身では最早自覚できない。正気を失ってしまっているからだ。なので果てるまで自慰をしていた。
それから四日が経過した。
この日は翌日からは数日間は長期休暇に入るので、夏侯惇の周囲はとてもソワソワとしている。まだ、午前中なのにも関わらず。夏侯惇も勿論、長期休暇は嬉しいと思っていた。なので外面だけは普段のものを取り繕い、心だけを浮かせる。だが体が疼いて仕方がない。
実はこの日の間までに、于禁と今日会う約束をしていた。曰く、于禁も明日から長期休暇に入るらしい。しかし前回のようにミスをしないように気を付けながら、夏侯惇は定時まで疼きに耐えていた。
ようやく会社を出ることができたのは、定時である。夏侯惇は呆然としながら、通勤鞄を持って出てから于禁にメッセージで連絡した。
数分後に返って来たのはまだ仕事が終わっていないことと、それが申し訳ないことだ。仕方がないと思いながら、どこで待っておこうか考える。だが何も思い付かない。ため息をつきながらも、目的地が無いまま歩き続ける。方向は駅だ。
そこらじゅうに待つ場所はあるが、どうにも立ち寄る気力が無い。今すぐにでも于禁に会えると思うと、体が更に疼いてしまうからだ。
このまま外に居るのは危ない。いっそのことホテルで待っておこうかと考えた。しかし帰宅するときのこととなると、小さな憂鬱が生まれてくる。于禁のことを激しく求めることは間違いないので、またふらふらとしながら帰宅しなければならないだろう。
足を進めながら考えた結果、一度家に帰ることにした。二人の最寄り駅周辺で会おうと考えたのだ。
なので駅へと確実に歩いて行くと、改札を抜けて行ったのであった。
帰宅をして施錠をすると、抑えていた体の疼きに耐えられなくなった。スラックスのテントを張ってしまった部分が、痛みや濡れている不快感を持つ。玄関を上がった先の廊下の壁に縋ると、床にずるずると座り込んだ。上には弱い照明が点いている。なので自身を含めた周囲がぼんやりと見えた。
急いでベルトを外し、スラックスとそれに下着を下ろす。下着は我慢汁で汚れており、股間は精一杯に勃起している。このような光景を見ては、何もしないことはできない。手が自然と股間に触れると、軽く握ってから弱く擦った。
「ふぅ、ぅ……あ、はっ、は、ぁ……」
一度手の平の中で射精をしたが、まだ股間は上を向いている。この疼きを今すぐにでもどうにかしたいので、放った精液を潤滑油にしながら再び擦っていった。はしたない声がどんどん出てくる。
「あ、ッう、んんっ、ん……あ! アっ、ぁ」
もう一度射精をすると、夏侯惇の中にあった疼きが落ち着いてきた。股間が萎えていく。そこで体に倦怠感が重く伸し掛かると、どうして今自慰をしたのかと後悔をし始める。今夜は于禁と会う約束をしているというのに。
しかしたった一度の于禁との性行為だけで、ここまで体が飢えているのかと思った。視界の前にもある廊下の壁を見ながらぼんやりとする。少し下を見ると、床には精液の飛沫が散らばっていた。しかし気にする程の余裕はない。
しばらく経過してから、このままでは于禁と連絡を取ることはできないと気付く。夏侯惇は怠くなった思考や体を動かしながら立ち上がり、まずは手を洗ってから体だけでもシャワーを浴びることにした。
体を洗ってから軽装に着替えるが、髪は今は面倒なのでそのままだ。
リビングに向かうとスマートフォンを見てみる。すると一番古いものでも一時間前にメッセージが数件、于禁から入っていたようだ。軽いショックを受けたと共に、どう言い訳すれば良いのか分からなくなる。
恐る恐るメッセージを開くと、まず一件目は『只今、会社から出ました。今はどこに?』だ。そしてそれから二十分後に『どこにおられますか?』とあり、今から十分前に『夏侯惇殿? いかがなさいましたか?』とある。
手を震わせながら読むと、急いで于禁にメッセージを送ろうとした。画面に表示されるキーボードに親指を軽く当てる。しかし何を送ればいいのか分からないが、現在地は伝えておいた方が良いだろう。そう思い、謝罪と共に自宅に居るとメッセージを送った。
于禁がメッセージを確認したのかは不明だが、力が抜けた。床に座り込み、持っていたスマートフォンを落とす。画面は既に暗くなっており、夏侯惇の困った顔が反射して写り込む。次に、どう言えばよいのか分からない。今から外に出るのは、気分からしてどうにも良くないと。
するとスマートフォンの画面が明るくなり、ロック画面が表示される。于禁から返事が来たようだ。それは通知欄に入り切るくらいに、簡潔なものであった。内容は『今から向かいます』と。
思わず慌ててしまった夏侯惇は、近くにあった家具を支えにしながら立ち上がる。
于禁が先程まで居た場所は、恐らく夏侯惇の会社の最寄り駅だろう。時間帯からして、バーに行くことを想定していたのか。するとその周辺から最寄り駅に向かい、電車に乗るまで数分は掛かる。加えてここの最寄り駅までもそれなりに時間が掛かる。想定している時間までに、エントランス前で待っておこうと思った。
そうとなればと、夏侯惇は洗面所に向かってからタオルを取り出す。それを温かい水を出して濡らすと玄関へと歩いて行った。待っている間に、まずは精液を拭き取らなければならないからだ。
なので床に座り込んで拭き取ろうとしたが、寒さのせいで固まってしまっていた。夏侯惇は溜め息を吐きながら力を込めて拭いていく。
大方の箇所は拭き終えたが、まだぽつりぽつりと点在している。夏侯惇はもう一息だと床にこびりついた汚れを睨んでいると、インターフォンが鳴った。体を強張らせた夏侯惇は、汚れたタオルをぎゅっと握り締める。
誰が来たのだろう。夏侯惇はゆらりと立ち上がると「今出る」と扉に向けて放った後に「っ!? ……はい」と于禁の声が聞こえた。大きな動揺に始まり、冷静に終わる返事である。
夏侯惇はびくりと震える。部屋までは知らない筈なのに、何故と。だが于禁がここまで来たのは間違いないので、洗面所に行くとタオルを放り込んで手を洗う。それからようやく玄関へと戻り、扉を解錠した。
「……夏侯惇殿、お体が優れないのでしょうか?」
于禁の開口一番がそれだった。しかも夏侯惇にずいずいと近付いてきている。本人は決して詰問している訳では無さそうだが、夏侯惇としてはそうとしか見えなかった。しかし決して恐れている訳ではないので、一つ息を吐いてから返事をする。
「すまんな、連絡に全く出ることができなくて。それなのだが、その……」
言葉が脳からも出てこない夏侯惇は、そのまま硬直した。すると先程の疑問を思い出すと、話題を変えるように于禁に話し掛ける。
「そういえば于禁、どうして俺の部屋が分かったのだ? 確か、部屋までは来てもらった覚えはないが……いや、お前が悪いということではなくてな」
「そ、それは……」
二人の状態が逆転してしまった。次は于禁が硬直し、言葉を出せないでいる。それに、視線を泳がせていた。何かを隠している様子だろう。
于禁にしては珍しい態度に、夏侯惇は動揺した。なので于禁を落ち着かせようと手を伸ばす。そうしていると、于禁が自信無さげに口を開く。
「貴方の部屋へは来たことがありませぬ。ですが、少し覚えがありましたので。貴方や誰が聞いても、奇妙な話かもしれませぬが……」
「覚え?」
伸ばした手をだらりと下ろすと、夏侯惇はそう疑問を口にする。そして于禁の現実性の無い理由に首を傾げた。
「少し前に、貴方に出会う前に、不思議な夢を見ていたのです。どのようなものかは断片的にしか覚えておりませぬが、この部屋が出てきまして……それで、分かったと思われます。それを頼りにして貴方の部屋を当てられて、正直驚いてはいますが」
納得をして良いのか、夏侯惇は分からなくなった。だが于禁は真面目なので、否定はできればしたくない。脳内でうんうんと悩んでいく。
「夏侯惇殿、このことは、今は置いておきましょう」
そう言って、于禁が抱き締めてくる。服が冷たくひんやりとしていたが、そのようなことはどうでも良い。夏侯惇が背中に腕を回すと、于禁の腕が離れていく。代わりに、夏侯惇の顎を捕らえた。
ゆっくりと顔が近付いてきて、唇を重ねられる。すると途端に夏侯惇の中にあった疑問が飛んで行き、于禁への想いがぎゅうぎゅうに詰められて膨らんでいく。今にも、破裂しそうになる。気持ちが限界であった。
唇が離れると、夏侯惇は自然と「好き……」と呟いてから、言葉を付け加えた。
「早く、抱いてくれ……」
「えぇ、勿論」
于禁が即答をすると、夏侯惇の服に手を伸ばす。今はスーツ姿ではないので、脱がすことなど容易い。上を脱がせられ、そのまま壁に追い込まれた。空気は冷えるが、体がとても熱い。
既に于禁の息が荒く、夏侯惇の半裸姿だけでも興奮しているようだ。しかし夏侯惇の股間は先程の自慰で萎えており、申し訳ない気持ちがふと湧き出る。于禁は夏侯惇のこの状態に気付いているのだろうか。
「私も、貴方のことが好きです」
于禁は静かに夏侯惇の首に、柔らかく噛み付いた。皮膚に于禁の歯や息が弱く当たり、夏侯惇は自然と吐息を漏らす。
「ん……んぅ……」
首の皮膚をぬるりと熱い舌が這っていった。夏侯惇は体をびくりと奮わせていると、于禁の冷えた手が触れる。最初は肩を掴んでいったが、徐々に下りていった。向かった先は、鎖骨ではなく胸である。
そこは何も感覚を拾わなかった筈である。夏侯惇が反応を示していなかったからだ。しかし于禁は指でまずは胸の周りを撫でていく。
「ふぅ……う、んっ、ぅ」
やはり何も感じない。夏侯惇は未だに于禁と唇を合わせながらそう考えていると、于禁の手が更に動いた。胸の周りから、突起部分へと動く。触れられたことはない箇所が、特に何も無いだろう。そう考えていると、ふと何かが込み上げてくるのが分かった。
軽く突っつかれているのだが、無意識に肩がビクビクと揺れているのだ。女ならば感じるのだが、自身は男だ。あり得ないだろうと思いながら触れられていった。
「ん!? んぅ!?」
するとおかしなことに、夏侯惇の体がみるみる反応していく。冷えた空気に晒された体が、どんどん熱くなっていた。血管に流れる血が熱くなり、全身を巡る。ここはもしや性感帯だったのだろうかと、勘違いをしてしまうくらいに。
ふいに于禁がキスを止めると、じっと見つめられた。息を切らし始めた夏侯惇は、何が起きているのか分からなくなっている。なので于禁の様子を不思議そうに見た。
「もしや、ここが良いのですか?」
「そのようなこと、分かるわけが、無いだろう……」
「ふむ」
何か考えるように頷いた于禁は、不意に胸の突起をぎゅうと指先で摘んだ。すると夏侯惇の体がびくりと反応する。痛いと思ったが、それよりも先に悪くはないという感覚が先に来る。突然どうしたのか、夏侯惇は分からなくなる。
「体は、ここまで正直なのですが」
「違う……!」
強く否定をしたが、もう一度同じ強さで突起を摘まれた。夏侯惇の背中が面白いように反れ、再び快感が全身に走る。
弱くなってしまったのだろうか。夏侯惇はそう思っていると、于禁が「貴方にしては、珍しく素直ではありませぬな」と呟く。その声は熱っぽい。なので「それはこっちの台詞だ」と返すと、于禁が突起をやわやわと指先で触れる。次は体が弱くびりびりと痺れた。
「うきん……!」
言葉に怒りを込めて軽く睨んでしまうが、于禁は平然としている。それに苛立っていると、まだ触れられてない胸の突起に于禁が顔を近付けた。すぐに口に含む。
「っひあ……!?」
短い悲鳴を出すと、于禁は突起に舌を伸ばしていた。舌先で生き物のように這っては、引くを繰り返す。
夏侯惇にとっては、それが駄目だった。あまりの快感に、膝を折ってしまう。床にへたりと座り込むと、于禁が目線の高さを等しくした。于禁も、床に膝を着けているのだ。それをぼんやりと見つめた。
「……ですが、おかしいですな」
于禁がそう言って夏侯惇のズボンに手を掛けていく。ハッとした夏侯惇は、その手を「何も無い!」と弱々しい力で払いながら除けようとした。しかし余計に怪しいとしか思えなかったらしい。于禁が目を細めた後に、片手で夏侯惇の胸の突起に触れた。
びくりと体を震わせて油断した瞬間に、ズボンの中に手を突っ込む。そして中を弄られるが、股間が何も反応していないことに于禁が気付いた。眉間に皺を寄せると、夏侯惇を凝視していく。すると疑問が思い浮かんだらしい。更に厳しい声や顔に変わり、幾つか質問をしてくる。
「そういえば、どうして貴方は今、自宅にいらっしゃるのですか?」
「……家に忘れ物をしたからだ」
「でしたら、『会社を出た』という連絡の後に、自宅に戻るという連絡を、私にすべきだったのでは?」
さすが弁護士である。何もかもに鋭い。夏侯惇は内心で冷や汗をしていると、脳内で適当な嘘をかき集めてからそれを無理矢理に吐き出した。
「忘れ物を、必死に探していたからだ」
「ほう……では、今の服装は? それに、見るからに入浴をした直後のように見受けられますが、忘れ物を探していらっしゃったのであれば、そのような余裕は無いのでは?」
「そう、だな……」
舌戦に負けた。気が付けば夏侯惇が俯くと、頭上から于禁が名を呼ぶ声がした。声音は変わらず、どのような言葉が来るのかは分からない。なので顔を上げる気もなく、そのままでいた。
「夏侯惇殿」
そして手が伸び、強引に顎を捉えられた。夏侯惇の視線が上を向いてしまうと、突然に于禁にほんの数秒だけ唇を合わせられる。
「もしや、一人でされていたのですか」
「……そうだ」
目を合わせることなく次は正直に答えると、于禁が一つ息を漏らした。それは溜め息なのか、ただの呼吸なのかは分からない。ただ一つ分かるのは、于禁が少し寂しげな表情をしていたことだけだ。
于禁がそう見抜いたのは、床に飛沫のように飛び散った精液。それに雄臭い匂いがまだあるからだ。鼻が一時的に慣れてしまっていたので、換気をする余裕が無かった。気にする余裕が無かった。于禁がかなり厳しい顔をしていたのはその為に違いない。
「なるほど」
一言そう述べた于禁だが、夏侯惇の顔の向きを自由にさせるつもりはないらしい。未だに捉えている手が、微動だにしない。
そうであれば、と夏侯惇自らで手で除けようと触れる。するとすぐに于禁の手から解放された。于禁の顔を見ると、変わらず寂しげである。
元は我慢ができなかった自身が悪いと、夏侯惇が静かに謝罪をしていく。それを見て、深い罪悪感に苛まれてしまったからだ。そもそも、約束していた于禁に連絡を寄越さないことが問題であるのだが。
「情けない話だが、我慢ができなかった。それだけだ……だが……」
「いえ、もう結構です」
「なっ……!?」
于禁がはっきりと言うと立ち上がってから、夏侯惇の腕を掴んで強引に立たせる。唐突に何だと動揺していると、于禁が浴室へと引き歩いていく。
おかしい。家に入ったのは今日が初めてであるのに、どうして間取りが分かるのか。夏侯惇は次第に混乱していると、脱衣所へとすぐに入ってしまう。そこで于禁が夏侯惇の背中を壁に着けてから、詰め寄ってきた。前には于禁が居て、背後には壁にはがある。自由の方向は左右のみ。
于禁の方が少し身長が高いので、自然と見下される。
「貴方が先に楽しまれたのであれば、次は私が満足させて頂きましょうか」
着ているコートやスーツを、于禁が次々の脱ぎ始めていく。まずは上からだ。その途中で夏侯惇と触れる程度のキスをする。だが脱いだ衣服は床に乱雑に落としているのを見て、于禁に相当な限界が来ていることが分かった。前の夜もこのような様子であったのだが。
于禁が半裸になったところで、次はスラックスのベルトに手を掛ける。夏侯惇も半裸だが、ただ于禁が目の前で服を脱いでいく光景を見るだけだ。腕をだらりと垂らしている。
ベルトを外れると、スラックスが自然と落ちた。下着がかなり膨らんでおり、我慢汁の染みで濃い模様が一点だけできている。于禁は興奮しながら夏侯惇と口づけをした。次は、夏侯惇の腰に手を回してだ。
そして夏侯惇が履いているズボンと下着を下ろされると、下着越しにでも分かる勃起した下半身を押し付けた。アピールをしているようにしか思えない。一方の夏侯惇は股間が萎えているが、硬いもので圧迫されるのが良かった。理由は分からないが、まだ萎えていなかったらこのまま太液を零していたところだろう。
「今更ですが、湯を借ります」
「ん……」
夏侯惇の返事を待つと、于禁が窮屈そうな下着を取り払う。雄が顕になったが、やはり他の男に比べて大きい。異性であっても、顔を青ざめてしまう者が居た筈だ。夏侯惇はそれを凝視する。
とはいえ他の男の全裸など見る機会は殆ど無いので、夏侯惇自身の基準である。それでも、于禁のものは初めてではなくとも大きい。これが自身の体を何度も貫いたと思うと、多少の恐ろしさはあった。
二人で浴室に入るが、于禁はさすがに浴室内は把握していないようだ。シャワーの出し方が分からないことを察したので、夏侯惇はシャワーコックを捻る。ついさっき湯を出したばかりなので、冷水が流れたのはほんの数秒だった。シャワーから湯が出ると二人の体を伝い、全身を濡らしていった。その際に于禁にそっと抱き締められる。勃起した雄がまたしても当たった。
一日にここまで短い頻度で湯を浴びる夏侯惇は、何だか不思議な気分でいる。しかし于禁は夏侯惇の方を見ているので、同じく目線を合わせた。こうしている間が、とても幸せかもしれない。そう思っていると、于禁に尻を揉まれた。
「はっ、ん……そこ、もっと触ってくれ……」
湯によって体が再び暖まると、性欲が増した。だが下半身は役に立たないので、于禁の肩にしがみつく。腰をいやらしく振ってアピールをすると于禁の揉む手の強さが増し、夏侯惇は肩をびくりと揺らした。
指がぐいぐいと皮膚の上を進んでいくと、割れ目に辿り着く。夏侯惇は思わず小さな悲鳴を上げるが、于禁は「良い反応ですな」と返してくる。
「ここはまだ触れてはおられないでしょうか?」
「ん……ふぅ、あぁ……」
肯定の返事をしようとしたが秘部の近くを触れられていき、まともな言葉が出せないでいた。この時点で快楽の沼に沈みかけていたからだ。
目が細くなり、于禁の顔をまともに見れなくなっていく。そこで溜め息が聞こえると、シャワーの湯が止んだ。代わりにと下りた髪を優しくかき上げられてから、額にキスが降ってくる。心地よい感覚と、音がした。
「私が、もう限界ですので、出ましょうか」
そう促されると、こくりと頷いてから共に出た。夏侯惇がバスタオルが収納されている棚の方を無言で見ると、場所を于禁が察してくれる。手を伸ばしながら「失礼」と言うと、二枚取り出した。
一枚をまずは夏侯惇の頭に柔らかく被せると、続けて于禁自身は肩に掛ける。そして夏侯惇の頭をなるべく力を抜いて、髪の水分を拭き取っていく。夏侯惇の頭が小さく揺れるくらいに、かなり弱く。
夏侯惇の髪を一通り拭き終えると、次は体である。皮膚に刺激しないように、軽くポンポンと叩くように拭き取った。しかし胸の突起がタオル生地に当たると、吐息を漏らしてしまう。とても敏感になってしまっていた。于禁はその様子の夏侯惇を見てから目を逸らすが、我慢している様子がよく分かる。
「決して故意などでは……!」
タオルを持っている手が震えていた。なので夏侯惇は途切れ途切れに「分かってる」と言うと、于禁の手首を掴んだ。首を横に振り、もういいという意思表示をする。持っていたバスタオルをこちらへ引き寄せた。
于禁があっさりと手を引いてくれると、次は自身の体を拭いていく。しかしかなり雑であった。早く体を重ねたいのだろうが、夏侯惇も同じ気持ちだ。そう思っていると于禁が夏侯惇のバスタオルを渡すように言った。水分で重くなったタオルを渡すと「そこにある洗濯機へ」と伝えると、于禁はすぐに指定した場所に入れる。
ようやく、二人は寝室に向かった。その足取りは、夏侯惇でも軽い。共にベッドに横になると、常夜灯を点けてから二人は求め合うように抱き合う。まだ体は乾いていないが、それを擦り合うように体が密着した。
于禁に組み敷かれると、夏侯惇は手を伸ばした。どうして離れるのかと言わんばかりに。
「この一週間、私は貴方のことが更に、あまりにも欲しかったのです」
内密の話をするように、于禁がそう囁く。その時の于禁は『男』の顔をしていた。思わず夏侯惇の胸が、ぎゅうぎゅうと締め付けられる。また、于禁のことを好きになってしまったと。
夏侯惇は小さく何度も頷くと、伸ばした手を于禁の背中に回す。まだ触れ慣れていない真っ直ぐな背中だが、とても愛しく思えた。
「俺も、お前が欲しかった……また、こうして抱いて欲しかった。だから、早く、俺をイかせてくれ……体が疼いて仕方がない」
ゆっくりと言うと、于禁が片手を夏侯惇の唇に近付けた。そして数本の指を口の中に挿し込むと、大きくぐるりと掻き回されていく。半開きにしていたが、指が侵入してくると口を大きく開けようとした。しかし于禁に「そのままで」と止められる。
「っふ、ぅ……う、んん」
口腔内にある唾液が増えたところで、于禁の指が抜けていった。指がぬらぬらと濡れており、それをすぐに夏侯惇の尻に塗りたくるように一本の指で擦り付ける。マッサージをしているような手付きだが、とても気持ちが良い。夏侯惇は腰とシーツの間に小さな隙間を作り、顎が若干上がり気味になった。
すると指がくるくると円を描くようになっていく。入口の縁をなぞるようにだが、時折にずれているような気がした。夏侯惇はそれに疑問を思っていると、性器と入口の間にある皮膚を撫でられる。
「ぃ、ひゃッ!?」
自身でも驚くような高い声が喉から出た。瞳には涙が浮かぶ。先程のは何だったのだろうか。分からない。よく分からなかったのだが、とても気持ちが良かったことだけは分かる。
「うきん……そこ、よかった……」
「なるほど、では……」
声を震わせながらそう述べると、于禁が夏侯惇の胸に顔を埋める。まるで、柔らかな綿の上に顔を押し付けているかのように。
胸のとても柔らかな膨らみを、頬で感じていた。髭が当たってチクチクするが、それが次第に気持ち良くなっていく。皮膚や毛が当たっているだけだというのに、体の何もかもが性感帯になってしまったようだった。
入口付近ではまだ指が動いているので、余計にかもしれない。
「ぁ、はっ! あ……うきん……ぅん、ァ、や、なに、あ、ぁ……」
すると腹の奥がおかしいと思えた。疼きでもなく、何か内側で蠢くような感覚。なので外側から触れられても、どうにもならないことだ。今夜はもうこの下半身は何も変化が起きない。これが関係しているのだろうか。
そうだとしたらと考えていると、于禁の唇が片方の尖りに触れていた。唇であっという間に挟まれると、歯で甘咬みされる。嬌声を上げると共に、腹の奥が震えたような気がした。もしやと考えながら、自身の腹に触れてみる。
「っう……ぁ、ん……おれ、もう、だめかもしれない……」
へその下を指で触れると、全身がゾクゾクと跳ねたのだ。そこで確信したが、自身の腹は于禁の長くて太い雄を今すぐに食いたいらしい。
「ですが今の貴方は、男性とは呼べない状態ですが」
入口にあった指が移動していき、ふにゃりとしている股間に于禁が触れる。指でつっつき、そして軽く握られたが夏侯惇は何も反応をしなかった。
それよりもと、腹の感覚を于禁に訴える。浮かんでいた涙が溢れると、シーツに落ちる前に于禁が舌で拾ってくれていた。頬に音を立てながらキスをされると、于禁の名をぼそりと呟く。
「うきん……」
「いかがなさいましたか」
「だったら、おれが、男ではないのなら、女みたいに、はらませるくらいに、めちゃくちゃにしてくれ……おれはもう、限界だ……お前ので、はやく存分に、イきたい……」
喉が苦しくなっていく。あまりの興奮に、酸素の供給が追いついていないのだろう。それでも夏侯惇は于禁の方を見ると、瞳孔が開きかけているように見えた。恐らくは夏侯惇の言葉で、まだ結んでいた理性の糸を完全に切ってしまったのだろう。
于禁は頷くと、指を入口の方へと戻した。指先が縁をなぞると、中に入っていく。数日ぶりに感じる異物感には、まだ慣れない。しかしこの先には腹の奥の蠢きを消し、そして大きな快楽や幸せしか待っていない。
喉から呼吸や切なげな声を、幾度も漏らしていった。それに、于禁の名をひたすら呼ぶ声も。
「ん、んっ、は、ぁ……うきん、うきん……ッあ、ぁ」
唾液による滑りは乾いて減っていたが、夏侯惇の入口を慣らすのには充分であった。形や大きさを覚えてしまったように、指を入れられていくうちに前よりも早く柔らかくなったからだ。夏侯惇はそれに全く気付いていないが、于禁は気付く。
指で拡げられていくごとに、腹の蠢きが強くなる。早くと于禁の雄を強く求めた。
「はらが、きゅんきゅんする……」
「もう少し、お待ちを!」
指を折り曲げられると、前立腺に当たった。夏侯惇は喜びの嬌声を上げながら一瞬だけ全身に力が入ると、末端から力を抜いていく。そして涙をうっすらと垂らすと、必死に于禁の背中にしがみついていた手がシーツの上に落ちた。
すると背中が寂しくなった于禁は、指で責める速度を上げていく。抜いては挿していくを繰り返す。激しい水音と共に、夏侯惇は女のような喘ぎ声を上げた。まるで、自身の中に膣があるように思えたからだ。指で中を突かれていくうちに、夏侯惇は腰が大きく震えた。
「ぁ、あ、そこは、やら! っは、ぁ、うあ! ァ、あ、だめ、あ、イく! はぁ、は、イくぅ、イく……ぁあ!」
いつものように達したような感覚があったが、股間は相変わらず萎れている。何が起きたのか分からないでいると、于禁が指を乱暴に引き抜いた。関節が粘膜に引っ掛かる。それに反応し、夏侯惇は小さな喘ぎ声を出した。
見れば于禁が夏侯惇の下半身を凝視していた。深い穴が開いてしまうくらいに。
「大丈夫そうですな」
独り言のように于禁が呟くと、夏侯惇の腰や肩を掴んでうつ伏せにさせていく。体勢が変わり、視界には壁とシーツと常夜灯しか見えない。于禁が、見えない。
なので体勢を自ら戻そうとすると、腰を掴まれて尻を持ち上げられた。振り向いた、その瞬間に于禁の雄の先端が割れ目に当たる。とても熱いが、コンドームをしていないのだろう。しかしそれの有無はどうでもよかった。
夏侯惇は誘うように尻を振りながら「はやくほしい……」とねだると、背後から喉を大きく鳴らす音が聞こえる。
「夏侯惇殿……」
合図のように于禁が名を呼ぶと、割れ目をかき分けてから入口の縁に雄が触れた。遂に来るのかと、夏侯惇はまだこの状態だというのに体を歓喜で震わせる。
雄が縁をめくりあげてくると、夏侯惇は背中をしならせた。そして少しずつ、雄が入っていく。まだ少しでも雄がとてつもなく熱い上に、太く長い。これでの快楽は一度体験しただけでも分かる。頭がおかしくなってしまうのだ。二度目でもそうなるのだろう。
「ッ……! ん、あつい……! んんっ……うきん、すきぃ……」
「私も、貴方のことが好きです」
背中に于禁が伸し掛かってきた。そして熱い息を吐きながら、耳元でそう返事される。夏侯惇の頭がぐちゃぐちゃになっていった。思考がどろどろと蕩けていった。始めようとした思考がすぐに途切れてしまい、目先のことしか考えられない。
ずるずると入り込んでいくが、雄の先端でも容易く飲み込んでいた。慣らしたのは少しであるというのに、恐らくは夏侯惇の体が勝手に受け入れてくれているのだろう。
「あ、ひぁ、ぁ……! もっと、うきん! きてぇ!」
先端が中を通ると、またしても達したような感覚が襲い掛かってきた。腰を震わせる。于禁はそれに気付いたようだが、構わず雄を押し込んでいく。その時に于禁が顔の横で吐き出していた息は、まるで動物のようだと思えた。雌と交尾をする雄のような。
「やぁ!? あ、ぁ! ぜんぶ、はいっちゃったぁ!」
半分くらいは入ったところで、ずるりと一気に雄を打ち込まれた。腹にみちみちと于禁の雄が全て入る。
衝撃で夏侯惇の下ろした髪が揺れた。しかしそれよりも腹の中にある蠢きがまだあるようだ。打ち込まれた先よりも、少し奥の場所だということが分かる。
すると于禁は夏侯惇の具合を聞くこともなく、律動を始めた。優しく緩やかなものではなく、最初からとても激しいものだ。ベッドが軋み、肌と肌がぶつかり合う。
相当に我慢をしていたことが分かるが、夏侯惇はこの激しい方が好きだと思えた。何故ならば理由は単純で、気持ちが良いからだ。
「ぁ、あ! おっきい! きもちい、そこ、もっと……! ぅあ、は、ん……ぁ、ア、あ!」
「ふ……ぅ、はぁ……それは、よかった……!」
于禁が言葉を返してくれたが、まともに喋る余裕は無さそうだ。恐らくは夏侯惇の腹の中があまりにも良すぎて、腰を振ることしか考えられなくなっているのだろう。
夏侯惇はそう思うと嬉しくなり、中をぎゅうぎゅうと締めてしまう。背後からは、低い唸り声が聞こえた。すると同時に腹に熱い粘液を叩きつけられた感覚が生まれる。これは、于禁が腹の中で出したのだろうか。
直後に、夏侯惇にとてつもない多幸感や熱さが過った。体を震わせるが、それを表現するための下半身は何も反応できない。代わりにと、唇から唾液を垂らす。背後にいる于禁からは、それが見えないのだが。
「っはぁ、はぁ! ……もう少し、奥までいきましょうか。この体勢なので」
于禁がそう言いながら、夏侯惇の腹に触れる。まずは自身のものが、どこまで入っているのか皮膚の上から確認しようとした。だが夏侯惇はそれすらも感じてしまい、腰を震わせた。入っている于禁の雄をきつく締め上げる。
「夏侯惇殿、っぐ、ぁ……!」
気持ち良さと苦しさが混ざった声を、于禁が漏らす。しかし前者の方が割合が強く思えた。夏侯惇の腹の中で、于禁の雄が更に質量が増したからだ。
そこで于禁が夏侯惇の肩を柔らかく噛んだ。小さな痛みはあったが、びくりと感じてしまう。達する手前までに。
「もっと、おくまで、きて……おまえのが、もっとほしい……」
浅ましく尻を揺らして誘惑すると、于禁が曖昧な返事をした。雄がゆるゆると出ていく。そして腰を強く掴まれると、于禁が深呼吸をする音が聞こえた。だがそれはほんの数回聞こえた後に、突然に奥を雄を強く貫かれる。いや、雄で腹の中を殴られる。内臓からは、聞いたことのない音が鳴った。
一瞬、何が起きたのかは分からない。夏侯惇は空気を吐いた後に悲鳴を出す。凄まじい快楽しか無かったからだ。今までに、経験したことがないくらいのものを。
「かはッ……! ぁ、ひゃあ、あ!?」
目の前のシーツを握り、唾液だけではなく涙も垂らしながら腹の奥を突かれる。その際に于禁が再度肩を噛んでくるが、その力は先程よりも強くなっていた。加減を考える頭が飛んでしまったのだろうか。その状態で律動を再開した。内臓を雄で抉られていく。
噛まれている肩からは、赤色の液体が肩から流れ始めた。しかし肩の痛みなど、腹を犯されているので無痛同然だ。感覚がそれを優先にしているのだろう。
「ァ……ん、あ、おッ! イく! イく、うきん、もうおれ、あたまがおかしくなっ……ひゃあ!? ぁ、ァあ!」
まるで于禁に体を食われている気分になってきた。だがそれも悪くないと思っていると、雄の律動が止まる。肩にあった口が離れる。
すると腰をぐるりと起用に回し、体勢を反転させた。仰向けにされる。于禁が見えるが、唇の端に薄血の痕が付着していた。手の甲でそれを拭うと雄を先程のように貫き、血を流していない方の肩に噛み付いた。
「……うきん、もう、らめ、っは、ぁ、あっ、ア!」
喉が枯れてきたが、于禁はそれを聞くことなく膝を開く。そして夏侯惇の片足を上げると、腰を振った。内臓を突かれ、もう片方の肩の皮膚が次第に裂けていく。次第に血がぷつりと流れると、于禁に舌で舐められた。それがよかったのか、夏侯惇は達してしまう。持ち上げられている足に力がかなり入り、つま先がぴんと張る。
「ッあぁ……!? あぁ……ん……」
腹の中で于禁の雄をもう一度強く包み込むと、精液をもう一度出された。夏侯惇の腹の不自然な箇所が膨らむと、于禁の雄が萎えていく。肩から唇を離した于禁は雄を引き抜いた。入口からは、大量の精液が漏れ出る。
于禁はそれを見ながら、もう一度手の甲で血を拭う。冷静さを少しは取り戻したのか、夏侯惇の足を汚れたシーツの上にそっと下ろしていく。夏侯惇が体力が無くなってしまったのだろうと、判断してくれたのだろう。
実際に夏侯惇は呼吸以外はできそうにない。なので于禁の方を見ながら、口付けをせがむ。
「うきん、キスをしてくれ……」
「…………」
無言で于禁が応えると、そっと覆い被さってから口付けをされた。舌に鉄の味が乗ったが、そのようなことはどうでも良い。舌を絡めると、改めて于禁と繋がることができた喜びに満ちる。
「うきん、すき……」
「私も、好きです……」
呼吸の合間に初めてではない告白をしていく。そしてほんの数秒だけ唇を重ねると、肩を触れられた。血は固まっており、これ以上の出血の気配はない。
そこで唇が離れると、于禁の表情はいつの間にか穏やかなものになっていた。完全に冷静さを取り戻したのだろう。瞳は相変わらず夏侯惇を捕えてはいるが、いつでも振り払えるものだ。
しかし夏侯惇はその人から逃れるつもりはない。寧ろ、このままずっと捕えて欲しいと言わんばかりに、于禁の唇を追いかけた。
「うきん、ずっと、俺のそばに居て欲しい……」
「勿論です。貴方から、離れる理由などありませぬ。それくらいに、貴方を愛しております」
体が太液に塗れていようと関係ない。二人はそう愛を誓いながら、スキンシップをするように軽いキスを続けていく。鉄の味は、二人の唾液により薄まっていき、それが二人の顎を伝って落ちる。濁った赤色の液体として、シーツに沈んでいく。
離れる毎に、夏侯惇の両眼が于禁と合わさる。いや、于禁のことしか見えない。考えられない。目の前の男も同様の状態だろうと思いながら、何度目か分からないキスを飽きることなくしていったのだった。
互いに疲れがはっきりと出るまで、ずっと。