はじめての奥

とある夜に、峯は大吾に呼ばれていた。電話口で「今夜来い」と一方的に言われたものの、内容は分かっている。二人は体を重ねる関係にあるのだ。その誘いに違いない。
峯はスーツジャケットのポケットにいつものようにコンドームを忍ばせ、左手に巻いている腕時計で現在時刻を確認した。そしてケータイで念のためにもう一度現在時刻を確認すると、大吾の家であるマンションへと向かう。
勿論オートロック式で、屋内には警備会社の者が立っている。セキュリティは堅牢だが、玄関口でインターフォンを鳴らして大吾を呼び出す。大吾はすぐに出た。ロックが解除される。
エレベーターに乗り目的の階層に向かうが、大吾の部屋は高層階にある。しばらく到着を待つが、その間に峯は心臓を高鳴らせていた。今宵はどのように、大吾が乱れてくれるのか。或いは厭らしく誘い、自身をどれだけ興奮させてくれるのか。楽しみで仕方がなかった。
ようやく目的の階層に到着してから、部屋の前に立つとインターフォンを鳴らした。すぐに扉が解錠された音が聞こえる。入ってもいいということらしい。峯はドアノブに手を掛けると、扉を静かに開いた。明かりが外に漏れる。
「失礼します」
一言そう言うが、大吾が出迎えてくれている訳ではない。寧ろ、目の前に居ないのだ。首を傾げながら扉を閉めると、自動で施錠された音が背後から鳴る。
靴を脱ぎ綺麗に揃えてから部屋に入ろうとした。そこで水が流れる音が聞こえる。これはシャワーの音だ。つまりは、大吾は現在シャワーを浴びているのだ。しかし峯は時間を指定されていなかったので、来る時間が早いと思った。なのでこのままどこかで待たせてもらおうとすると、シャワーの音が止んだ。
「峯?」
「六代目、私です」
髪を濡らしながら大吾が覗いてきた。濡れた姿はそそられる、峯はそう思ってからきっちりと体を折った。だが大吾がくすくすと笑う声が聞こえるので、頭を上げると手招きをしていた。峯は足音を立てずに近付く。その際に左手に巻いていた腕時計を外すと、スーツジャケットのポケットに入れる。すぐに、大吾とセックスをする為にだ。
何か用なのかと訊ねようとすると、大吾に手を掴まれた。そして湿度の高い浴室へと引きずり込まれる。無論、スーツのままで。
「ちょ、ろ、六代目!」
床の上に転がされた峯は思わず大吾を睨んでしまうが、一方の向こうはけらけらと笑っていた。まるで、悪戯に成功した様子を見ている子供のようだ。
しかし大吾の肌が全て見えるので、峯は凝視してしまう。何度も味わった、この魅惑的な体を。そして下半身を見れば、既に大吾は勃起しているようだ。もしかしたら、峯がここまで来る間に勃起していたのかもしれない。
そう思うと峯は嬉しくなる。だがそこで大吾がシャワーコックを捻り、湯を出した。それを峯に掛けたのだ。当然、峯はずぶ濡れになる。
「あー……濡れてしまったな、峯。だから早く脱げ」
大吾が口角を上げながらそう言うが、確かに自身は湯で全身が濡れてしまっている。ジャケットは脱げたものの、シャツやスラックスは肌に張り付いて脱ぐことができない。脱いだジャケットを浴室の床に叩き付けそうになってしまう。
「くっ……! これでは……!」
「峯、脱がせてやる」
そう言った大吾は、峯のジャケットを取り上げる。それを軽く畳んでから、まずはワイシャツのボタンを一つ一つ外していく。少しずつ肌が見える度に、峯の興奮が大きくなっていく。
このまま自身も肌を晒せば、大吾とすぐに体を繋ぐことができる。そう期待したところで、峯はジャケットに入れたままのコンドームの存在に気付く。
「はっ……!? お待ちを! その……コンドームがねぇと……」
「ん? そんなものは必要がない。生でいい。お前、生で一回はヤってみたいだろ?」
大吾は構わない様子だ。いつもならば峯が率先してコンドームを纏わせてから挿入をするのだが、その際に何も言わない。もしかしたら、気を遣われていたのかもしれない。そう思うと、峯は顔を青く染めかけた。
しかし目の前には愛しい大吾が居る。何も着ておらず、湯を浴びたことにより火照った体を見せてくれている。髪はよく乱れており、色気で充満していた。峯はそれを視界に入れるだけで、射精ができそうだ。
もう、峯は下半身に抗えなかった。男であるが故に。
大吾の手を払うと、ベルトを外してからスラックスをずらす。下着までも濡れているが、そのおかげで自身の逸物がしっかりと勃起しているのが見える。ますはそれを大吾に見せつけた。
「ろく……大吾さん、見えますか。俺のこれが」
無意識に声が低くなってしまっていたが、今はそのようなことを気にしている場合ではない。
大吾が見て欲しい箇所をしっかりと見てくれると、下着もずらして逸物をさらけ出す。ぶるんと音が聞こえるくらいに、勢いよく飛び出る。大吾はそれをしっかりと見ると、峯の上に跨がった。
「あぁ、峯……峯の、大きいな……」
うっとりしたような顔で、大吾が尻の割れ目で逸物を擦ってくる。峯は目を見開くが、それでさえも気持ちがいい。それに大吾が艶めかしく腰を振っており、思わず射精しそうになった。今するのは早すぎると、大吾の体をどかそうとする。しかしそこで射精をしてしまった。
「ぅ、はぁ……! 申し訳、ありません、大吾さん」
「別にいい。それより、俺にこんなに興奮してくれているのか……」
大吾が腰を上げると、尻を持ち上げる。尻からは自身が放った精液が垂れており、とても官能的な姿をしている。
「今日は峯、じっとしていろ」
「ど、どういう……?」
すると大吾がそう言うが、意味の分からない峯は首を傾げた。
「大吾さん、ですから、どうい……ッ!?」
再度質問をしていると、大吾が勃起している逸物を口に含んだ。だが峯はシャワーを浴びていないので、反射的に大吾の頭を軽く蹴ってしまう。血の気が引いた。
すぐに唇を離した大吾は、溜め息をつく。
「おい峯……じっとしていろ」
大吾の眉間の皺が深くなり、峯はそれを見て大きく恐れた。抗ってはいけない、それと同時に今日の大吾は少しおかしいと思えた。まるで、何かに影響でもされたかのようだ。
それを聞く暇がない峯は、ただ頷くしかできない。
「……峯、俺はな」
少し怒ったような顔になった大吾は、峯の上に覆い被さる。そしてぬるぬると峯の体の上を移動してから、再び跨がった。逸物をすぐに掴むと、峯は小さな悲鳴を上げる。
「たまには、俺が最後までリードしたいん……だよっ!」
逸物を掴まれて固定されると、尻にあてがわれた。そしてすぐに挿入されようとするが、まだ大吾の肉壺をならしてはいない。そのような状況で大吾とセックスをしたくはなかった。なので拒もうと峯がもがくがもう遅く、逸物が肉壺に入っている。
そこで気付いたが、自身の逸物がスムーズに入るのを感じた。おかしいと思った直後に、峯は一つの答えに辿り着いた。もしかして、大吾は準備してくれていたのかと。
すぐに肉に包まれていく感覚で息が漏れたと同時に、大吾の体が沈んでいく。
「ぐっ……は、はぁ……大吾さん……!」
まだ全ては入っていないものの、峯は絶頂を迎えそうであった。一方の大吾は、勃起した逸物を受け入れることができ、笑みが漏れている様子だ。だが、気持ちがいいのか腰が震えていた。もうじき、逸物をすべて飲み込んでしまうことだろう。
「ッふぅ、は……峯、俺の中、気持ちいいか?」
「はい、勿論です」
そう言って腰を掴もうとしたが、大吾に手を払われた。峯は反射的に従おうとしたが、やはり本能的にそうしている訳にはいかない。なので再び腰を掴もうとしたところで、大吾がそれを見て口を開く。
「俺の言うことを、聞いて欲しい」
一言で、峯の体は動かなくなった。そうしている間にも大吾の体は沈んでいき、そして峯はあまりの気持ち良さに射精をしようとしていた。流石にこのまましてしまえば、大吾が怒るだろう。その考えしかない。
「暇なのか? じゃあここでも触っていろ」
大吾は峯の腕を掴むと、その手を胸に運んでいった。そこには何度も触れ、そして虐めてきたがこの瞬間が一番興奮した。こうして自ら、大吾が触れて欲しいと言うのは初めてだからだ。
手のひらが胸に触れると、指に力を入れてみる。そこはとても柔らかく、そして弾力があった。筋肉のせいなのかもしれないが、峯は胸をやわやわと揉んでいく。大吾の腹の中がきつく締まった。
すると大吾がちろりと舌を出し、そして目を伏せる。
「ぁ、は、はぁ、ん……んんっ、みね、俺の、ここは、気持ちいいか?」
「はい、ここも、大吾さんの中も、気持ちいいです……」
「それは、よかった……もっと、お前を、気持ちよくしたい」
次第に大吾の言葉に滑舌が足らなくなってくる。もうじき、大吾は狂ってしまうのだろう。だが自身の体の上で狂いたいと言うので、峯はそれに従うことにする。大吾を見上げ、そして胸を揉みながら悦楽に浸った。
「もうすぐ、全部、入る、からぁ、みね……」
大吾が媚びるように腰を揺らした。するとぬるりと逸物が全て入った。その瞬間に、大吾は待ちわびていたかのように体を上下に揺らす。肌同士がぶつかりあい、ぱんぱんと音が鳴る。
やはり中はきつく締まっており、気持ちがいい。何度も何度も繋がっても、峯は飽きないと思った。大吾の腹の中を、逸物が何度も擦れる。
「あ、あぁ、あ! ぁ、ゃ、はぁ、ん! ぁん、みねの、ちんこ、きもちいい!」
「はぁ……ッ、大吾さん、俺も気持ちいいです」
すると逸物が膨れたが、その感覚を拾った大吾は体を止める。そして笑みを浮かべた瞬間に、峯は大吾の腹の中に射精をする。
「っや、あ……! みねの、せーえきが、はいってくるぅ!」
大吾が仰け反り、そして体を崩すとそこで限界がきたようだ。尻から逸物を抜くと、その場で倒れ込む。互いにまだ勃起はしているが、この状況ではセックスの続きをしようとは思わなかった。
峯はすぐに起き上がってから、傍に寄る。大吾がのぼせてしまっているのではないのかと、焦りながら話しかけた。
「大吾さん……大丈夫ですか? ベッドに行きましょう。休みましょう」
「あ、あぁ……」
がくりと頭を項垂れさせた大吾だが、峯はそれを見てどうにか元気づけられないか。そう考えながら、無理矢理にスラックスを脱ぐと肩を貸してから浴室を出た。
「大吾さん、大丈夫ですか?」
タオルを取ってから大吾の体を拭いていくが、その間に抱き締められる。勿論、互いの勃起したものが当たり、少し辛くなった。眉間が狭くなり、そして熱い鼻息を出してしまう。
「少し、休みましょう」
ベッドに連れて行ってから、大吾を寝かせた後に水を持って来ようとする。そこで大吾に手を掴まれた。
「みね、おれ、まだイってない……」
「ですが……」
峯は躊躇しようとしたが、下半身には勃起した逸物がある。どくんどくんと脈打っており、射精したくてたまらない思いだ。自身の本能にまた従うか、或いは大吾の体を案じるか。この二つで揺れていると、大吾のものが勃起しているのを再度確認した。水を持って来るのを諦める。
「……分かりました。でしたら、次は俺のペースに合わせて貰います」
峯は今の大吾の状態からして、優しくしようと思えた。なのでゆっくりと上に覆い被さると、優しく唇を合わせた。
「おれ……」
「はい?」
唇を離したところで大吾が何か言いかけている。なので聞く姿勢を持つと、大吾が悲しげな顔をしながら、言葉を真っ直ぐにではないが紡いでいく。
「おれ……そろそろ、みねに、飽きられるんじゃないかって、おもってぇ……それでぇ……」
聞けば、自身が大吾の体等に飽きているのではないのかと危惧していたらしい。これまで何度も何度も、大吾と体を重ねていたからだ。だが峯はそのような訳がないと、首を横に振って否定をした。
「飽きるなんて、あり得ませんよ。ほら」
未だに勃起している逸物を見せつけると、大吾の目が細くなる。喜んでいるのか、もしくは悲しいのか分からない。
なので悩んでいると、大吾がゆるゆると起き上がった。
「おれ、峯が、すき……」
大吾が涙を流すので、峯は顔を近付けてから舌で涙を掬った。味はどこか甘いが、すぐに口腔内で消えていく。なのでもう一回舐めてやると、大吾が擽ったそうに仄かに笑った。
「俺も、大吾さんが好きです」
しばらくは、このような言葉は大吾にしか言っていない。それくらいに、この世で愛している存在は大吾しか居ないのだ。
言い聞かせるようにもう一度告白を述べると、大吾が腰に手を回してきてくれる。どうやら、心を持ち直すことができたらしい。
小さな笑みを浮かべた峯は、大吾の膝裏を持ち上げる。肉壺の入り口を見れば、ひくひくと収縮を繰り返している。どうやらここは一度だけでは物足りず、ずっと待っていたらしい。
「挿れますよ」
濡れた下着をずらしてから先端を肉壺にあてがうと、縁がきゅんと動いた気がした。体はここまで欲していたのかと思ったが、自身も同じだ。なので嬉しい気持ちになりながら、先端をぬちゅりと挿入していった。やはりここだけは柔らかいので、すんなりと入っていく。
「ぁ……はいる……ここ、すき、はッ、ぁ! ん、んっ、ア、あ……はいる……」
どんどん自身の逸物の姿が見えなくなると、それに比例して大吾の表情が崩れていく。だがまだこの時点では大吾は溶けきっていない。今よりももっと、更に奥まで貫きたい。そう強く思った峯は大吾の腰を掴むと、ぐいと逸物を入れ込んだ。やはり縁は緩いので、スムーズに根元まで入る。中に入っていくにつれて、狭くなっていく。しかし不思議と馴染むので、もはや腹の中が自身の逸物の形や大きさを覚えているかのように思える。
全て入りきると、ばちゅんと乾いた音が鳴った。
「……ひ、ひゃぁ!? みねのちんこが、おくまではいったぁ!」
「はい、奥まで、入りましたよ……大吾」
「ッ!?」
耳元で名前を呼び捨てで囁いてやれば、腹の中がきゅんと狭くなる。名前や自身の声に反応してくれたからなのだろうか。
「ぐっ……! 大吾さん、いきなり狭く、しないでください!」
あまりの締め付けに、峯は果てそうになってしまったがここからが本番である。どうにか耐えながら、腰を小さく揺さぶった。大吾の体がびくびくと震え、そして可愛らしい嬌声を上げる。
「ぁ、あ、らめ、みね、おれ、ッは、ん……あッ、イくから! おれ、イくから! まって、あ、ア、あ!」
そして腰の動きを大きくすると、大吾は女のように背中を反らす。だが大吾が逃げるように腰を引かせていくので、それを妨げるように峯は体を丸めて胸にかぶりついた。尖りをすぐに舌で拾うと、甘ったるい飴を舐めるのように舌を這わせる。
「ひゃぁ! そこ、なめちゃらめぇ! は、ぁ……や、ぺろぺろしないでぇ……」
峯はそれを無視すると、腰を動かしつつも胸を舐めていく。すると大吾の体が震え、そして下半身が膨らんでいった。もうじき射精をするのだろうと、わざと腰や舌の動きを止める。大吾はぼろぼろと涙をこぼした。
「やらぁ! おれ、イきたいからぁ……!」
「それなら大吾さん、イきたい時は、どう言えばいいのか、分かりますよね?」
そう聞くと大吾は、止まない涙を流しながら峯にねだる。
「……っ、おれ、みねの、ちんこでイきたい」
「大吾さん、よくできました」
軽く褒めた後に、腰を引かせて逸物を抜く動作をする。次の行動が分かっている大吾は、はぁはぁと期待の荒い息を吐いている。それが自身の肌にかかるが、何とも心地が良いと思った。
引かせた逸物を、そのまま力強く打ち付ける。すると大吾の体が跳ね、そしてびくびくと痙攣した。高い悲鳴を上げながら射精をしていたが、峯も同様である。それも初めてのコンドームの無いセックスであるので、気持ち良さはいつもの倍だ。精液を大吾の腹に注ぐ感覚など、初めてであるが故に。
「ん、んぅ、ひ! ぃあ、あ!」
「……ッふぅ、ふぅ、大吾さん、中が気持ちいいですよ。気持ち良すぎて、俺、イってしまいました」
しかし峯は逸物を抜く気はない。このまま、萎えるまでセックスを続けようと思うのだ。なので次は容赦なく腰を振った。あまりの激しさに、作られた結合部からはぬちゅぬちゅと卑猥な音が立つ。
「ひゃ、あ、ぁ、またイくから、もう、みね、やめ……ぁ、ア、あぁっ! イったから、もう、みね!」
大吾の下半身から精液が噴き出したが、そこで萎えてしまった。一方の峯はまだ射精をしていない。このような締め付け具合や大吾の反応からして、もうじき射精してしまってもおかしくはないのだが。
律動を何度も何度も繰り返していると、峯の中でようやく射精感がこみ上げた。だが大吾を見れば、涙を更に流しており顔がぐしゃぐしゃだ。それを見て、峯の中で更なる男性性が湧いてくる。このまま大吾を、失神するまで犯したらどうなるのかと。
そう思ったからには、峯の衝動は止まらなくなる。激しく腰を打ち付け、ぶるんぶるんと上下に揺れる大吾のものを見た。このような大吾の姿も良いと思え、一旦逸物を引かせる。肉壺からは注いだ精液が垂れ、そして大吾の目には光がない。
「大吾さん、もう少しです」
「ぁ、あ……」
大吾の返事はとてもまともじゃない。だが峯の興奮は未だに止まず、止めることなどできない。自身の中の獣が暴走しているのだ。
そしてもう一度、次は先程よりももっと力強く逸物で貫く。大吾の腹の中に収まったのだが、いつもよりも深く入った気がする。そう思っていると、大吾のへその辺りからごぽ、と妙な音がした。
「っひゅ!?」
大吾の喉から空気のみが漏れるが、相変わらず腹の中は逸物をよく締め付けてくれる。しかしここまで入ったのは初めてだが、そこはどこよりも良い場所であった。少し動かしてみる。
「ア……そこ、らめ、はいっちゃ、らめ……! おれ、あたまがおかしくなるから、あ、みね……もう、ァ……イってるから……!」
常にきつく締めており、大吾の反応は今までと全く違う。まるで、膣を可愛がられている女のようだ。表情は完全に壊れており、頬は緩みきっている。
「ですが大吾さんの体は、こんなにも喜んでいますよ」
腰を振ると、大吾はよく啼いた。遂には唾液を垂らすが、峯が顔を近付けて唇を合わせた。唾液を啜ると、大吾が達したらしい。だがもう下半身は機能をしていないので、いわゆる空イキでもしたのだろう。
「あぁ、ア! イったからぁ! もう、ゆるして、みねぇ! ア、ぁ、あ、みね、みね!」
大吾が必死に懇願をしているが、峯はもはや聞く耳を持たない。夢中で腰を振り、肉壺の奥で逸物を擦りつける、腰が、止まらないのだ。
そうしていると、ようやく射精感がこみ上げた。大吾の腹の奥で逸物を膨らませると、大吾が顔を仰け反らせる。だが峯は唇を再び合わせて捉えると、そのまま腹の奥に精液を流していく。
「ん、んん! ん、ぅ、ん……!」
長い射精であった。それが終わるとようやく唇を離すが、大吾の目の焦点は合っていない。意識が、朦朧としているのだ。
「大吾さん……」
ようやく逸物が萎えた峯は、それを引き抜く。大吾の尻からは注いだ精液がどぼどぼと流れ出てくる。これが、先程までは大吾の体の中にあったのだ。そう思うと塞ぎたくなるが、大吾は男であって女ではない。首を横に振った。
「ん、んん……みねの、せいえき、が……」
「大吾さん、また抱いてもいいですか」
大吾をそっと抱き締めながらそう聞くと、頷いてくれた。すると大吾から「すき……」と言われたので、峯も「俺も好きです」と返す。そして二人はもう一度キスをして、そしてベッドの上で抱き合っていたのであった。