于惇SS(現パロ)

また見つけ出して。また会って。

また見つけ出して。また会って。金曜日の夕方、夏侯惇は会社のフロアで落ち着きが無い様子であった。夕方に近くなるとスマートフォンのロック画面を解除してはホーム画面を確認したり、フロアの壁に掛けてあるごくシンプルなアナログ時計で現在の時刻を確認し…

服は汚すもの

服は汚すものある日の夜。入浴を終えた于禁が浴室から出ると、既に入浴済みの夏侯惇が脱衣所で待ち構えていた。忘れ物でもしたのかと、于禁は思ったので服を着ようとする。しかし夏侯惇はその服を取り上げた後に、とある物を手渡す。それは中身の見える透明で…

幸福な因縁

幸福な因縁時刻は深夜。外で降る激しい雨音に、于禁は目を覚ました。勢いよく飛び起き、思わず暗闇に染まる部屋をぐるりと見渡す。雨といえば嫌な、いや、思い出すだけでおぞましい感情が沸き立ってくる。なので于禁の心臓が大きく動き、呼吸が自然と荒くなっ…

夏の終わり

夏の終わり夜が次第に肌寒くなってきていた。于禁は薄手の毛布でも出そうかと、考えながら入浴していく。これからの予想気温や、毛布をしまった場所を思い出しながら。入浴を終えると、長袖長ズボンの寝間着を着てから脱衣所を出た。愛し人である夏侯惇が待っ…

枕日付が変わる前のことである。これからすべきことは、寝るだけという段階。ベッドの上であぐらをかいている寝間着姿の夏侯惇は、照明が点いてる寝室の天井を見上げていた。「疲れた顔をしていらっしゃるので、早くお休みになった方がよろしいかと」それを見…

堪能

堪能社内で于禁はとあることを聞いてしまっていた。とは言っても会社の機密情報などではなく、些細な話である。その内容とは女性社員たちが話していた、最近とても良い香りのするコンディショナーが発売したことについてだ。聞いた場所は資料室だが、于禁の姿…

爪本日の夕食は、于禁が作ることになっていた。だがその前に于禁はソファに座り、手の爪を切っていく。衛生的には問題が無かったが、気になったのだ。今から作るものは、素手で食材を触る頻度が高いからか。于禁の今の爪は白い部分が多少ある程度。それでも爪…

甲の痕

甲の痕ある夜、就寝前に于禁は夏侯惇を背後から抱き着いていた。それに夏侯惇は、一切の抵抗も示さずにいて。互いに寝間着姿であるが、于禁は夏侯惇のうなじに唇を這わせる。そこが弱い夏侯惇は体を震わせると、力が一気に抜けた。思わずベッドの上に倒れそう…

夏の海

夏の海朝から気温の高いある日のことである。二人は休日なので、リビングも寝室にも冷房をよく効かせていた。本日は何も予定が無いからか、夏侯惇は寝間着姿でリビングのソファに座り何もせずただ呆けており、于禁はまだ寝室のベッドの上で眠っている。リビン…

忘れ物

忘れ物ある夜のことである。入浴を済ませた夏侯惇は脱衣所で服を着ていたが、とある違和感に気付いた。今着ている、何の変哲もない白いティーシャツが小さく感じるのだ。特に胸部のあたりに、大きく深い皺ができている。下に履いているジャージのズボンの方は…

鮮やかな紫色のツツジの花

鮮やかな紫色のツツジの花鮮やかであった色のツツジの花が枯れ始めて間もない頃。二人は街中の歩道の道路沿いに丁寧に植えられ、そして剪定されているツツジをゆっくりと歩きながら何気なく眺めていた。だが時は既に、夕空に闇色が割り込むように差し込んでき…

春の熱

春の熱陽は何時間も前に沈み、雨がしとりしとりと降る頃のことだ。昼間は暑いが、朝晩はまだ少しだが冷える時期である。于禁よりも遅く帰宅して入浴をしている夏侯惇だが、気温の低さからシャワーの湯の温度を高めにしてしまったらしい。浴室から出る前には少…