突拍子のわがまま
突拍子のわがままある冷える日の夜に、于禁は夏侯惇の隠れ処に突然に呼ばれていた。陽が昇っている間は鍛錬をしていたので、身を清めてから平服へと丁寧に着替える。だが手ぶらで来るのはどうかと思い、それなりの重さのある酒壺を一つ携えてから馬に乗って向…
惇于SS(三国)
もう少しだけ
もう少しだけ朝というには、遅い頃のことである。この日の于禁は城内で朝早くから兵との鍛錬の指揮をしていた。長時間それを行った後、于禁から鋭く「休息」という言葉が放たれる。すると鍛錬の途中から疲労困憊になっていた兵たちは、素早く休息し始めた。そ…
惇于SS(三国)
取られる気
取られる気日中は、まだ涼しいとは言えない時期のことである。太陽が真上に昇っている時間に、いつものように鎧姿になり城内で鍛錬をしている于禁は、刃を潰した刀で兵と手合いをしていた。しかしこの日は起きたときからずっと、先程まで考え事をしていたらし…
惇于SS(三国)
櫛を贈る
櫛を贈るある日の夕方、夏侯惇はとある違和感に気付いた。それはいつもきっちりと整えられている于禁の髪が、僅かに乱れていることである。当の本人は、相変わらず眉間に皺を寄せているが。それを見たのは城内ですれ違った際。背中が数一〇歩分離れてから、夏…
惇于SS(三国)
塗れさせて
塗れさせて陽が沈み、そしてとある勝ち戦の為の宴が行われていた。しかし今回の宴の主役として相応しい于禁は、いつものように数分だけ席に着いた後に退席していく。宴が盛り上がってきたというのに。それに対して文句を言う者も、引き留める者は居ない。だが…
惇于SS(三国)
堕落していく
堕落していく曹操も出陣してのとある戦が起きたが、主に于禁の率いる軍の活躍により勝利を収めた。なので宴が行われようとしているところだった。その時は夕陽がよく照らされている時刻である。しかしその中で于禁は戦闘中に敵の返り血を浴びてしまったので、…
惇于SS(三国)
より影を濃く
より影を濃く呉から帰国した後、于禁は夏侯惇には会いたがらなかった。なので夏侯惇から何回も直接、于禁の居る小さな館へと向かって会いに行こうとするも、そこに居る兵から「于禁将軍はずっと体調が悪い」と言われて毎回断念させられていた。なので夏侯惇は…
惇于SS(三国)