夜の食事

夜の食事

ある深い夜のことだ。夏侯惇が既に寝静まっている時間帯に、于禁はその時間に帰宅した。
静かに家に入ると、音を極力立てずにすぐにシャワーを浴びる。そして寝間着に着替えて寝室に入ると、夏侯惇の寝息と自身の体内の様々な音だけが聞こえた。サイドランプはついたままなのか、夏侯惇がベッドのどこにいるのかおおよそ見える。帰りを待ってくれていたのだろうか。
仰向けに寝ている夏侯惇の隣に、ゆっくりと座る。夏侯惇の左手にはスマートフォンが握られているので、それが寝ている間に壊れないように取る。だがその拍子に指が触れてしまったのか、ロック画面が表示された。幾つか通知が出ていてなるべく見ないようにしていたが、充電が残り二%という通知は見逃せなかったので充電ケーブルを挿すと、サイドチェストに画面を伏せて置く。于禁は人のスマートフォンなのだが充電切れを起こさずに済むとホッとした。
改めて夏侯惇を見ると若干寝相が悪いのか、かけていた布団が少し捲れていた。なので肩まで布団を上げる。前は寝相が悪くなかったが、今の時代の夏侯惇は若干寝相が悪くなったようだ。だがそういうところが、于禁は愛おしく思えた。
于禁は夏侯惇の寝顔を見る。起きているときは精悍な顔をしているが、寝ているときはそれを忘れるくらいに穏やかな顔。そのギャップが、于禁は堪らなく好きだった。于禁は触れるか触れない程度に、夏侯惇の頬に触れる。すると夏侯惇は「んっ……」とまるで最中のような寝言を漏らす。夏侯惇本人は熟睡しているようだが。
「ぶんそく……」
すると夏侯惇が寝言でそう言うと、于禁は先程肩までかけ直していた布団をゆっくりと捲る。なぜそのようなことをしたのか、その理由はとても単純で于禁の股間が元気になってしまったからだ。熟睡していても無防備でなおかつ、寝言であのような声を出された挙げ句、自分の字を呼ばれては興奮しない訳など無かった。
なので于禁はそっと夏侯惇の足元へと近付き、慎重にゆっくりと寝間着のズボンを下ろす。于禁はもう止まらなかった。そして下着も下ろすと夏侯惇は下半身の、ひんやりとした感覚に眉間に皺を寄せたようだが起きる気配は無い。一瞬身構えた于禁だが、後に安堵すると夏侯惇の両膝を開く。
「昨夜のままだ……」
于禁は夏侯惇の尻穴に顔を近づけ、それをよくよく見る。そこはきつく閉ざされてはおらず、桃色がかっていた。そして指も、于禁の雄もすんなりと入る状態だろう。それに少しだけひくついていた。実は昨夜も夏侯惇と肌を重ねている。なので正直、二日連続で性行為をあまりしたことがない。その中でなぜか于禁は興奮していた。それに、いつ目を覚ますか分からないので余計に。
「いつか目を覚まされるだろうが……夏侯惇殿……」
于禁はそう呟きながら、ローションを取り出すと手のひらに出してから手に馴染ませる。そして夏侯惇の尻穴にいきなり指を三本、ぐいぐいと入れてみるとすんなり埋まっていく。
「あっ、ぁ、ん、んぅ……」
夏侯惇の体が小さくビクビクと動く。だが起きる気配はない。寝室にはローションのぐちゅぐちゅとした音と夏侯惇の控え目な喘ぎ声と、それに于禁の次第に荒くなる呼吸のみが聞こえる。
指を三本、前立腺には触れずに軽く出し入れするが問題ないのでそれを引き抜く。そのときに夏侯惇は「んぁ、あぁ……」と熟睡しながらも喘ぎながら、股間が元気になっていた。
なので于禁は寝間着と下着をずらし、夏侯惇の両膝を持ち上げて腰へと絡ませると腰を掴む。そして自身の反り立った雄を取り出すと尻穴に宛がった。コンドームをつけていないのもいとわずに。
「あなたが、いけないのですよ……」
于禁は欲情した声音で言うと、雄を挿入し始めた。尻穴は雄を迎え入れるように、どんどん入っていく。そうしていくうちに根元まで入った。
「あっ……ん、ぁ、あっ、んぅ、ぁ、あ、あっ」
「ぐっ……! う、んっ……ふーっ、ふー……」
夏侯惇はまだ目を覚まさないまま、于禁の雄が入ったことにより顔を赤くしながら喘ぐ。尻穴は于禁の雄にフィットするかのよう包み込むと同時に、一瞬だけ相当締め付け始めたのか于禁は低い唸り声を上げた。
「う、ぐぅっ……! っあ……!」
そのまま激しく腰を揺らすと、夏侯惇は控え目に喘ぐ。そしてゆるゆると雄を引いたところで、夏侯惇は目を覚ました。
「っ!? な、何だこれ!? おい于禁!」
夏侯惇は体をビクビクとさせて息切れをしながらそう于禁に訴えるが、もう遅かった。そこから于禁は何も言わず、雄を一気に奥までばちゅんと突き刺す。すると夏侯惇は再び尻穴を締め付け、于禁は射精する。
「ひっ!? や、ぁ、っあ! あぁっ! ぁ、あつい、うきん……」
夏侯惇は中に出された反動なのか、涙を流す。それと同時に于禁は雄を引き抜くとごぽり、と精液が流れ出た。
「これは元譲が、悪いのですよ……」
于禁はそう静かに言うと、夏侯惇のへその下のあたりへ、大きなリップ音を立てながら唇をつけたのであった。

そしてその翌朝、于禁は堅い床の上に正座をさせられ、夏侯惇から夜這いをするなと長い説教を受けたのは言うまでもない。冒頭に「于禁、これはお前が悪い!」という言葉の後に。