近い誓い

近い誓い

ある夜のことだ。寝室には照明は点いておらず、ほぼ真っ暗だ。その中で性行為が終わり、二人で向かい合わせになって気怠そうにベッドに横になっていた。
「夏侯惇殿……」
于禁は手探りで夏侯惇の両手を探すと、それを握る。
「どうした?」
性行為中に互いに指を絡ませて散々手を握っていた。だが終わった今でも夏侯惇の手を握ろうとしている、その行動に夏侯惇は嬉しそうにした。
「愛しております」
「俺も、愛してる」
静かに二人でそう愛を囁き合っていると、于禁は夏侯惇の左手を手繰り寄せて持ち上げる。そして薬指の付け根に唇を付けた。次に第二関節へと唇を付ける。だがそれがこそばゆいのか、夏侯惇は控え目に笑う。
「くすぐったいな」
「申し訳ありません……ですが、この指への意味は知っておいでですよね?」
「当たり前だ」
夏侯惇はそう言うと、右手で于禁の頬を撫でた。