魅惑の赤(于惇)

魅惑の赤

「すまん、于禁……少し、休ませてくれ……」
とある戦の後の宴の夜。于禁はいつものようにその宴には参加せず、自身の寝室で一人で少量の酒を胃に入れていた。
そうしていると、赤面と苦しみが混じった顔の夏侯惇が、突然に尋ねてくる。降りている髪を乱れさせながら。なので于禁が部屋に入れると、すぐに夏侯惇はフラフラとした足取りで寝台の上へと座った。
「夏侯惇殿……!? いかがなさいましたか!? お具合は? 気分が優れないのであれば、侍医にでも……」
「いや、ッは、ぁ……大丈夫だ。少し休めば、いい……」
夏侯惇は詰まったような呼吸と共に、于禁の提案を断る。それからどのような声を掛ければよいか分からなくなった于禁は、水差しから椀に水を注いでから夏侯惇に差し出した。
「少しでも水を飲んで落ち着いて下され」
「いや、いい……」
「ですが……」
于禁は寝台に乗り上げ、水の入った椀を持って夏侯惇に近付く。見ると顔だけではなく、首なども赤い。
「そのような様子はどう見ても異常ですので、やはり侍医に……」
「いい……」
声が弱くなってきていた。最初はただ酔っているだけかと思ったが、何かが違うようだ。その『何か』が、于禁にはよく分からないまま。
持っている椀を一旦机に置くと頬に手を添え、体の熱がどれくらいあるか調べようとした。とても真剣な表情で。だが夏侯惇の頬に少しでも触れた瞬間に、体がびくびくと跳ねる。
「ぁ……! あ、ん、さわら、ないで……」
ただ残っている眼が伏せていった。そして口が閉じられなくなったのか、舌を微かに覗かせながら荒い息を吐く。着ている着物は、どんどん気崩れている。
夏侯惇のその様子に、于禁は次第に欲情し始めていた。やけに夏侯惇が色っぽいと思ってしまったのだ。夏侯惇とは、同じ性別であるのに。
自覚はしていてなおかつ、そのような感情は持ってはいけないと自身を戒めようとする。相手は今までただ普通に接してきていた、上官なのだから。
しかし、体は正直のようだ。于禁の怒張が反応してしまっている。それでもこのようなことはまずいと思い、夏侯惇に悟られないように着物の盛り上がりを隠す。
「その……寝台に横になられてはいかがでしょうか。座るより楽でしょう」
于禁はそう促しながら、夏侯惇の体に手を添えようとしていた。
介助のつもりでだが、本能ではこれが好機だと言っているようなものだ。盛り上がっている怒張が、どうにも抑えきれなくなってきているからだ。普段の于禁ならば、異性相手でもその本能を抑えきれるというのに。
「ん、ぁ……はっ、あ……」
艶っぽい吐息を漏らしながら、夏侯惇は于禁の言う通りに寝台の上に横になる。すると夏侯惇も于禁と同じように、下半身を膨らませていることに気付く。
見て見ぬ振りをしようとしたが、于禁はそれを凝視してしまっていた。本来ならば着物で隠れているとはいえ、同性の性器のそのような状態など、あまり見たくはないのだが。
すると鼻息を荒くしながら数秒凝視した後に、于禁はとあることに気付いた。夏侯惇は酒に酔っているのではない。ただの予想でしかないが、もしかしたら誰かに催淫効果のある薬を盛られたのではないかと。
そう予測した于禁は、何度か必死に深呼吸した後に夏侯惇に質問をした。
「知らない者から渡された酒を飲まれたのでしょうか?」
「ん……机に置いてあった、椀に注がれていた酒を飲んだが……それを少し、飲んだら急に体が、熱くなって……」
「それは誰が注いだものか、分かりますか?」
夏侯惇は首を振った。
やはり、と確信した于禁は喉を鳴らす。夏侯惇は今、催淫効果のある薬によりこのような状態になっている。そう考えた瞬間に、夏侯惇に向けて言い訳混じりの言葉を掛けた。
「私ならば、今の貴方を楽にできますが」
「ぁ、たの、む……」
夏侯惇から了承を得た。それの詳細など、何も言ってもいないのに。
于禁は夏侯惇の上に覆い被さり、着物を脱がせ始めた。
大きく驚いた夏侯惇は抵抗するも、力は幼子のように弱い。于禁はその弱い抵抗を受けながら、着物を全て取り払った。
すると恥ずかしいのか視線を逸らしながら、夏侯惇が「やめ……」と言う。しかし下半身だけは上を向き、于禁の方を見ている。
「お辛いのは、恐らくここでしょう」
夏侯惇の今の表情を堪能してから、下半身に顔を近付けた。立派なそれを見ながら、于禁はそれに軽く息を吹きかける。
「……っや! ァあ!」
小さな刺激でさえ、夏侯惇は容易く達してしまっていた。精液を吐き出し、腰を震わせながら。
それを見た于禁は、あまりのいやらしい光景に我慢ができなくなっていた。だがまずは何も考えられなくするために、夏侯惇の下半身を口に含む。
「はっ、あ! ん……ぁ、らめ、そこ、イく、から……ひ……ァ、あ!」
嫌悪感は全く無く、口腔内の全体を使って下半身を蹂躙する。すぐに夏侯惇は達した。だがその蹂躙を于禁は止めるつもりが無いのか、精液を喉に吸うように吸い上げる。またしても夏侯惇は達しまう。
「うきん……」
夏侯惇が于禁の頭を押し、退けようとしたかったらしい。しかしあまりの力の弱さに、于禁は撫でられていると勘違いした。なので下半身を口腔内から解放すると、寝台の近くの棚から香油の入った容器を取り出す。
「大人しくしていて下され。貴方の体を、できれば傷つけたくはないので」
そう言ってから容器を開け、手の平に香油を垂らした。そして主に指先に馴染ませると、夏侯惇の脚をかぱりと開く。
「やめ、うきん、そこは、は、っあ……あっ!」
尻の入口は収縮を繰り返していた。まるで、于禁を熱く誘っているかのように。
香油を纏わせた指先で、魅了されてしまったそこを解す為にまずは突っつく。しかし薬のせいなのか、入口はとても緩かった。香油によりすぐにぬかるんだそこに、指を入れる。
「あッ! ぁ、あん、ひ、ぁ……!」
指が体内に入ると、夏侯惇はすぐに善がり始めた。背中を反らしていて、両手は寝台の布団をただ掴むのみ。于禁はそれを見るなり、入れる指を増やす。もう一本、指を入れるとすんなりと入口の中に埋まっていく。
またしても夏侯惇は喘いだ。すると于禁はこのまま解さなくてもよいかと思い始め、指をすぐに引き抜いた。入口はぽっかりと開いており、中の桃色の粘膜が丸見えである。
そこに自身の怒張を突っ込んだら、どれだけ気持ちいいのか想像した。あるいは夏侯惇がどれだけ淫らに嬌声を上げ、そして悦ぶかを。
息を荒くしながら于禁は着物を捲って怒張を取り出した。夏侯惇はそれを見て怖じ気づく。
于禁は夏侯惇に対して罪悪感を僅かに覚えながら、入口にあてがい夏侯惇に問い掛けた。こみ上げてくる興奮を、まだ残っている理性で封じながら。
「……ここに、私のが欲しいですか?」
「ッ……!? いら、ない……」
夏侯惇の瞳が揺れている。于禁は正直になってみてはどうかと言いながら、怒張の先端で入口にくちゅり、と押し付けた。
「ぁ、ひゃ、いらない……」
言葉では頑なに否定をしているが、夏侯惇の体は正直だ。入口が収縮する回数が多くなっているのが、その証拠である。
于禁はもう一度同じ問い掛けをした。だが次は夏侯惇の逞しい腰を強く掴み、今から抱くという確実な合図をして。
「んぅ……あっ……らめ……」
遂には涙目になり、夏侯惇はまたしても断ろうとする。なので于禁は呆れと興奮の感情が混じった溜息を大きくつくと、夏侯惇の言葉を無視して怒張を押し込み始めた。無理矢理に抱くという罪悪感など、もう于禁にはない。
「ぁあ! ぁ、あ! ひ、ゃ、アァっ!」
悲鳴を上げている夏侯惇の腹の中に、ずるずると于禁の怒張が入っていく。やはり想像の通りに夏侯惇の中は狭く熱く気持ちが良いのか、于禁の腰は止まらない。まだ全てが入っていないというのに、于禁は射精をしながら。
「らめ、ぁ、あつい、はぁ、ちんちん、きもちいい、あ、ん……!」
夏侯惇も射精しながら、入っていく怒張の感覚に対して自然と悦んでいく。尻の全てが、薬により性感帯になってしまっているからだ。それに寝台の布団を弱く掴んでいた手を離し、于禁の方へと向けていた。もはや、于禁から与えられる快楽のことで思考が限界を迎えているからか。
射精をしながらどんどん進めていくと、もう少しで奥まで入る寸前。そこで夏侯惇が強くねだる。
「はぁ、ぁ、うきん、もっと、きもちよくなりたい……おくまで、ほしい……」
「えぇ、貴方が満足するまで、良くしますよ」
夏侯惇はふやけてしまった眼を于禁に向け、粘膜を強く締め付ける。なので于禁は夏侯惇の望み通りに、腰を更に進めていく。
「はぁ、あ! そこ、ぉ!? あっ、ひ、ぁあ! んゃ、イく、ア、あ、んぅ!」
ある奥の一点を突くと、夏侯惇は精液ではなく透明な液体を射出しながら喘ぐ。理性を失っている于禁は、そこを重点的に強く貫き始めた。ごぽごぽ、とグロテスクな音を立てながら。
「ふ、ぐぅ……! ここが、貴方の子宮ですが、分かりますか?」
「ぁあ! わかる、しきゅうが、きもちいい、イく、ぉッ、イく、ぁ、ア、イく、しきゅうでイく……! ゃ、あん、ンア! ァあッ!」
下半身から透明な液体を吐き出しながら、夏侯惇は絶頂を迎えた。その瞬間に無意識に逃げようとしたのか、熱や于禁によって掴まれている赤い腰が大きく動く。しかし于禁は更に腰を掴む力を強め、逃げられなくしていた。
するとそれにより夏侯惇は腹の中を強く締め付け、于禁は熱い精液を叩きつける。奥に射精されたので夏侯惇はつま先をピンと伸ばした。
于禁の怒張が萎えたので引き抜くと、入口から精液がごぽごぽと流れ出てくる。それでさえ快楽を拾った夏侯惇は、下半身から透明の液体を少量噴き出す。
「あ、ぁ……ん……しきゅうと、うきんのちんちん、きもちよかった……」
夏侯惇は涙の粒を頬に垂らし、赤い顔でそう言って恍惚の笑みを浮かべる。その直後にぱたりと気を失ってしまったのであった。

後日、冷静になった于禁は怒っているであろう夏侯惇に謝罪をしようとしたのだが、謝罪は必要なかったらしい。
夜になり于禁の部屋に訪ねて来たと思うと、いやらしく誘ってきたからだ。于禁に抱かれることが、堪らなく良かったからか。
于禁はそれを断る理由が無いので、再び夏侯惇を抱いていたが。