チャイナドレスの君

 ハワイの、いわゆる大人の店に二人は入っていた。昼下がりのことである。
 本来ならば武器の調達をしなければならないが、桐生はとあるものを見てしまう。それは露出の激しい赤色のチャイナ服と、それに明らかに人を縛る為の紐であった。
 春日もそれを目にしたものの、それよりも武器の方を見たいらしい。視線はすぐに外れていった。
 一方の桐生は興味津々である。このチャイナ服を春日に着せたらどうなるのか。或いは自身が燃え上がるのではないのか。そう思ったのだ。
「桐生さん……俺は、先に出ていますんで。なんつーか……こういう店は慣れてる筈なんですけど、ここがハワイとなると、何か落ち着かないっていうか……」
 頭を掻きながら春日がそう言って店から出た。少し照れ気味だが、春日の出自からしてそのような心理状態になるとは意外だと思える。春日は足早に、咳払いをしながら退店した。
 そして残されたのは、壮年の女性の店主と桐生だけだ。少し気まずいと思っているが、ここでチャンスなのではないのかと思えた。このチャイナドレスを、春日に着せよう。そう思いながら、チャイナドレスを手に取った。
 これはちょうど男用のサイズらしく、桐生自身の体に当てるのは致し方ないがサイズを確認する。おおよそちょうど良いだろう。
 桐生はチャイナドレスとそれに紐をすぐにレジに持って行くと、買ったのであった。一応のカモフラージュの為に、紙袋に入れて貰った。これはどう見ても、土産か何かを買った者にしか見えない。
「桐生さん! 何買ったんすか?」
「……後で見せるから、俺はそろそろ疲れた。ホテルに帰ろう」
「えっ……? いいですけど?」
 春日は首を傾げるが、桐生の病気からしてすぐに納得したようだ。言及を一時的に免れることができ、桐生はホッとする。
 二人はホテルの部屋に着くが、春日がすぐに買った物を聞いてくる。相当に気になっているらしい。桐生が持っている紙袋を凝視した。
「それで……桐生さん」
「あぁ、今見せるから」
 これを見せたら、どのような反応をするのだろうか。驚くか、恥ずかしがるのどっちかだろう。案外、春日は初な者だと桐生は思っているからだ。
「……これだ」
 紙袋からチャイナドレスを取り出すと、すぐに広げて春日に見せた。そして春日を見れば、口をあんぐりと開けている。
「え……? 桐生さんが、着るんですか?」
「違うだろ。俺が着る為に買った訳じゃない」
 笑いながらツッコミを入れると、チャイナドレスを春日の方に持っていく。そして体に当ててみれば、やはりサイズ感はちょうど良い。桐生の口角が上がった。
「え……? えっ? 桐生さん……?」
「えっ、じゃねぇだろ。このチャイナドレスは、お前が着るんだ」
「え……?」
 春日は動揺をしているが、当然の反応だろう。だが桐生はそのようなリアクションなどどうでもいい。それよりも、このチャイナドレスを春日に着てもらいたいと思った。なので「着ろ」と短く言う。
「いやこれ……ハン・ジュンギあたりに着せた方がよくないすか? だってあいつ、女の子受けがいいから……」
「俺はお前がいい」
「どうしてですか」
 春日はため息をつくと、チャイナドレスを受け取る。しかし綺麗に畳むと、桐生の方に返そうとした。
「……桐生さん、きっと疲れてるんですよ」
「俺はまだ疲れてはいねぇ」
「いやさっき、疲れたからホテル戻ろう言ったの桐生さんじゃないですか」
 真実を突かれた桐生は、何も言えなくなる。春日が見事な言葉を放ってくれたからだ。たしかに、疲れたと言ったのは桐生である。そうであるならば春日が、疲れているからと何でもしてくれるような気がした。
 戻ってきたチャイナドレスを再び広げると、再び春日の体に当てた。
「お前がこれを着てくれたら、俺が疲れから解放されるかもしれねぇ」
「そんな訳ないでしょう。ほら、桐生さん! ベッドで寝てください!」
 時刻を見れば、午後三時を過ぎていた。太陽は下がっていくが、空を見れば黒い雲がある。スコールの予兆なのだろうか。
 そう思いながら渋々と紙袋を床に置いてからベッドの上に寝転がった桐生だが、やはりチャイナドレスのことが気になる。これを春日に着せてから、紐で縛ってみたいのだ。幸いにも紐は春日には認識されなかった。人を縛るものではなく、荷物を纏めるものだと見なしているからなのだろうか。
 しかしそれがちょうど良い。紐を持ちながら、春日のアロハシャツの袖を弱く摘んだ。背中を向けていた春日が振り向くが、やはりドレスが似合いそうだと思えた。この鮮やかな赤色といえば、春日だというイメージを持っているからなのかもしれない。
 それに例え筋肉により逞しい背中をしていても、やはり春日は春日だ。桐生はそのような春日だからこそ、こうして体を重ねたいのだ。
 桐生はその思いを募らせていると、春日が振り返った。そしてベッドの縁に座ってくれると、穏やかな目をしながら話しかけてきた。
「今まで、忙しくしてたんすから、もっとのんびり旅行しましょうや。大丈夫ですよ。俺は逃げません」
 逃げない、その言葉に胸を貫かせられたような気がする。
「逃げない……本当か?」
「え? えぇ、そうですが……」
 今の桐生には、チャイナ服のことしか頭にない。春日の言葉の一部しか聞けなくなっていると、春日が言葉を続ける。
「とにかく、桐生さんは寝てい……うわぁ!」
 我慢がならなくなっていた。春日の腕を引っ張ると、ベッドの上に引きずり込む。そしてすぐに抱き締めるなり、唇を合わせた。
 春日とは何度もこのようなことをしているが、やはり慣れないのだろう。体をもがきながら、桐生から逃げようとしていた。あまりにも、刺激的過ぎるからなのか。
 春日の顔を近くで見れば、彫りの深い顔つきがよく見える。この日本人離れした、ハワイとのハーフの母親の遺伝を引き継いだこの顔が好きなのだ。一見、厳つそうに見えるが、春日は常に笑顔を振りまいてくれる。そのような顔が好きであった。
「…ちょ! 桐生さん! 体調が悪いから寝ていてくださいよ! そ……そういうのは、いつでもできるので……!」
 後半は恥ずかしいのか声が小さくなっていく。その様子が何とも可愛らしいと思いながら、春日の体を抱き締めてから服を脱がせていく。
「俺の為に、さっきのチャイナ服を着てくれねぇか?」
「どうしてですか!? そもそも、俺にそんなのが似合う訳がないじゃないですか!? 厳つい髭のおっさんですよ!?」
「知るかそんなの」
 アロハシャツを脱がせていけば、下はすぐにシャツが見える。これを脱がせたら肌が見えるのだが、それを可愛がる訳にはいかない。それでは、チャイナ服をわざわざ買った意味が無くなるからだ。
 シャツの裾に手を伸ばしてからゆっくりと指を入れる。引き締まった体を指で触れるが、ここは何度触れても好きな部位であった。この筋肉が、役に立たなくなるまで存分に可愛がるのだから。
 たくし上げたところで、床に置いていた紙袋を手に取る。そしてチャイナ服をすぐに春日に押しつけると「着ろよ」と言い、顔を凝視する。
「いや、俺は……」
 春日の声に動揺が生まれてきているが、着るべきだと少しは思ってくれているのだろう。それを察した桐生はもう一押ししていった。
「着てくれないのか? 俺としては、お前のその姿も見たいと思うんだがな」
「いや、俺は……!」
 否定の言葉が無くなってきている。意思が完全に揺らいできている証拠だ。
 あともう一押しすれば、春日の否定の態度は崩れるのだろう。そう思った桐生は、言葉を考える。
「春日」
 そして言葉を思いつけば、桐生は口角を上げてしまいながら述べる。
「なぁ、春日。俺はお前の色んな姿を見てぇんだ。俺は、お前のことが好きだから思うことなんだ。どうだ?」
「……っ!」
 言葉に春日は揺らいだようだ。なので桐生は更にもう一押しすべきかと考えていると、春日がそこで白旗を上げる。
「わ、分かりました……! じゃあ、俺は、風呂場で着替えて来ますんで……!」
 春日が紙袋を持って歩き出そうとしたが、そこで桐生は起き上がってから腕を掴んだ。
「俺の前で着替えて欲しい」
「は、はぁ……!? いや、俺は……!」
「着方は分かるのか?」
 冷静にそう聞いてみれば、春日は少し考えた後に、着方が分からないことに気が付いたらしい。なので紙袋の持ち手をぎゅっと握りしめてから、こちらを向く。
「わ、分かりません……ですが、桐生さんは分かるんですか?」
「ん? 俺か? 分からねぇが……何とかなるだろ。ほら、まずは脱げ」
「え、えぇ……」
 春日はあんぐりと口を開けながらも、律儀に紙袋を床に置いた。そしてシャツの裾をたくし上げるので、桐生はそれを凝視する。春日がこうして脱衣している様子を、見たことがないからだ。
 すると視線に気が付いたらしい春日が「あ、あんま見ないでくださいよ……」と、顔を赤らめながら言う。その時の顔が何ともそそられる。桐生はつい、強引に服を剥きたくなったのだが、そうしたならば後は春日の体を可愛がってしまうだろう。そうなればチャイナ服を準備した意味がないと、ぐっと堪える。
「お、俺……早く脱ぐので……!」
 急いでシャツを脱げば、健康的な色合いの肌がよく見えた。桐生はこの体をよく見るこいとが何度もあったのだが、何度見ても飽きない。やはりまたしても手を伸ばそうとしたのだが、我慢しなければならない。耐えた。
 シャツを脱ぎ捨てたら、残りはジーンズと下着のみである。ベルトをカチャカチャと外してから、ジーンズのボタンやチャックを開ける。そしてジーンズを落とそうとするのだが、その様子もまた桐生は凝視をしてしまう。 
 しかしこのままではよくない。そう思った桐生は、遂に春日から目を逸らした。
「は、早く脱いでくれ……」
 我慢の為に拳を握るが、あまりの力に手が震える。それを見た春日はジーンズを素早く脱ぎ、そして下着も取り払う。
 紙袋からチャイナドレスを取り出すと、いそいそと着ていった。
「……桐生さん、と、とりあえず着てみたんですが」
「あ、あぁ……」
 視線をようやく春日に向き直せば、そこにはチャイナドレス姿の春日が居た。サイズは見た通りにちょうど良く、そして何よりも似合っている。
 チャイナドレスは襟があるのだが、その下にはちょうど胸の谷間が見えるように大きく穴が空いていた。そしてスリットは足の付け根のあたりにまで深くあり、少しめくれただけでも股間が見えてしまいそうだ。
 鮮やかな赤が、春日の濃い顔や肌を引き立ててくれていた。そして太い体のラインがよく出ており、何だかとても卑猥だ。
 思わず、桐生は固唾を飲んでから感想を述べる。しかし出た感想は情けないことに、あまりに簡単なものだった。
「良いな……!」
「こ、これ……初めて着たんすけど、股間がスースーしますよ……!」
 途端に春日が足を閉じるが、桐生は立ち上がってから春日の手を引いた。そしてベッドの縁に座らせた後に、足をがばりと開かせる。だが春日はすぐに足を閉じてしまう。
「桐生さん! これ、やっぱり恥ずかしいすよ……うぅ……俺、何で着ちまったんだろう……おっさんなのに、こんなの着て、俺は……」
 遂には足をもじもじとさせるが、その姿が可愛らしいと思えた。このまま押し倒して抱いてしまいたい衝動に駆られる。
「……すまん、言い忘れていた。春日、似合っているぞ」
「あ、ありがとうございます……あっ、そういえば桐生さん、その紐は何ですか?」
 思い出した春日は紙袋から紐を取り出し、そして桐生に見せた。この紐も赤いもので、一見すれば普通の紐に見えるだろう。しかしこれは、緊縛プレイ用の紐である。桐生は春日に答えを返す。
「プレイ用の紐だ」
「え、えぇ!?」
 春日が大きな声で驚いているが、当然の反応だろう。
「あの……じゃ、じゃあ、俺は、この紐で桐生さんに縛られるということですか?」
「あぁ」
 肯定の返事をするなり、春日は首を横に振った。どうやら嫌らしい。
「駄目だ。言うことを聞け」
 そう言って春日に手を差し出すように言えば、仕方無さそうに従う。従順な態度に、思わず大型犬のように見えてしまう。
「ほいら、縛るぞ」
「はい……」
 頭を垂れさせながら春日は手首を拘束されていく。軽く縛り終えた桐生だが、今の春日の姿を見て興奮しない訳がない。
 すると勃起をしてしまったのだが、これを知らせる為に手を縛られている春日の手を持っていく。そして股間に当てさせると、春日が目を見開いた。
「き、桐生さん……!?」
「俺はお前のそんな姿で勃たねぇ訳がねぇだろ……!」
 俯いた春日だが、首を何度か横に振った後にこちらを向く、顔の赤らみは相変わらずだが、決心がついたらしい。
「……あの、桐生さん、俺のこの格好を見て勃ったなら、俺のことを……抱いてください!」
「勿論だ」
 そう答えた桐生だが、まずは春日を立たせる。
「可愛いぞ、春日……」
「桐生さん……」
 春日と唇を合わせた。何度か春日の下唇や上唇をついばんでいくと、微かに声が漏れ始める。
「んっ、ん……桐生、さん……」
 名を呼ばれると、桐生の舌までも動いてしまう。唇をべろりと這わせてから、舌を春日の口腔内に捻じ込んだ。
「っん! っ、ん、んぅ、ん……!」
 春日の口腔内はとても熱い。だが随分と可愛がっている肉芽となってしまっている部位はもっと熱いこと知っている。はやくそこに自身の逸物を挿入し、春日を何度も喘がせたい。
 そう思いながら、桐生は舌で春日の口腔内を犯していく。
 チャイナドレスをちらりと見るが、このまま脱がせるのは勿体ない。そうとなれば、春日にチャイナドレスを着せたまま抱こうと思っていた。
 なので大きく開いているスリットを捲ってから、下半身をまさぐる。だが春日はまだ勃起していないらしく、桐生は少し悔しいと思えた。キスをしても、勃起しないとは。
 そうとなれば直接触れるしかない。そう考えた桐生は、春日のふにゃりとした股間を触っていく。
「っは、ぅ、ふぅ……! は、ん、ん!」
 すると春日の下半身が膨らんできた。桐生は安堵をすると共に、このまま春日の下半身に刺激を与え続けた。まずはゆるゆると握っていくが、春日の下半身は硬度を持っている。すぐに膨らんでしまうと、射精をしてしまった。チャイナドレスの裾をや桐生の手を精液で汚す。
 そこで桐生はキスを止めてから、唇を離した。
「おいおい、もうイっちまったのか」
「すみません……気持ちが良くて……」
 少しの息を荒げながら、春日の目がぼーっとしているように見える、射精後だからなのだろう。
「まだこれからだぞ」
 そう言ってから、片膝を上げて股を大きく開かせた。手で更に奥へと向かっていく。行き先は、やはり肉芽となっている部分である。
「ここの方が、お前は好きだろ?」
 尻に到達すると、縦に割れている穴を指で触れた。既にくぱくぱと淫猥に収縮しており、今すぐにでも自身の逸物を欲しているように思える。
「は、はい……」
 恥ずかしさのあまりに春日は俯いたのだが、桐生はそのような春日をようやくベッドに引きずり込んでから押し倒した。目の前には、鮮やかな赤を纏っている春日が居る。何と綺麗なのだろう。
「はぁ、はぁはぁ……春日、好きだ」
「ん、ん……俺もです、桐生さん……」
 精液が付着している手は、下半身をまさぐっているままだ。なのでそのまま肉芽を弄る。ふにゃりと指先が容易く侵入してしまうと、春日はすぐに嬌声を上げた。
「あ、ぁ、ん! ん、んぅ、は、はぁ、気持ちいい……桐生さん、もっと触って……?」
 春日は凜々しい眉を下げながらことらを見る。この表情が堪らない。そう思った桐生は更に勃起をしてしまい、窮屈になっていく。
 手に付着した精液を肉芽に満遍なく塗ってから、手を離した後にスラックスのベルトをスムーズに外していく。そしてスラックスと下着を膝まで下ろす。自身の勃起している逸物が、我慢汁を垂らしていた。
「ぁ……桐生さんの、ちんこ……」
「ん? あぁ、俺のこれが、好きなんだろ? しゃぶるか?」
「はい……」
 春日は目を細めて喜んでいた。なので起き上がった後に、四つん這いになって桐生の逸物に顔を寄せる。
 だがその光景が、桐生としてはかなり刺激的であった。胸元にある穴がたわんで、胸の他に腹などがちらりと見えるからだ。桐生の鼻息が荒くなっていく。
「ん……桐生さんのちんこ……」
 口を大きく開いた春日は、そのまま桐生の逸物を咥えていく。口腔内はよくぬるついており、そして逸物をよく包み込んでくれた。
「ッは、は……春日、そのままもっとしゃぶってくれ」
「ン、ん……」
 上目遣いになった春日は目線で返事をすると、先端や裏筋を春日の舌が這っていく。良い場所など春日は把握しているくらいに、フェラチオには慣れている。桐生は悦に浸りながら、春日の巧みな舌遣いに改めて感心をする。
「は、はァ、はあ、春日、いいぞ……!」
 すると春日の後頭部を掴んでから、更に逸物が入るようにこちらに引き寄せた。喉のあたりに入ったのだろうか。春日の喉から苦しげな声が漏れるが、舌の動きは相変わらずである。
「ん、んぐ、ゥ、ん、んんっ、ッ、ん!」
 春日の口腔内の様々な部位で逸物を締めれば、桐生はすぐに達してしまう。喉に直接精液を放ち、春日からは大きなくぐもった声が漏れる。
「ッはぁ、は! 春日……」
 一層低い声を出していると、春日の喉からごくりと飲み込む音がした。精液を飲んでいることが分かるが、このままでは円滑に飲み込むことはできないらしい。なので逸物を引き抜こうとすると、春日がそれを拒んだ。
「ん、んんっ! んぅ!」
 何を言っているのかは分からないが、春日が飲み込むまでは待っていて欲しいというのは分かる。なので春日の頭を撫でながら、飲み干すことを待った。春日は夢中で放った精液を飲んでいく。まるで、乳飲みをしている子のように見えてしまう。可愛らしい。
 すると喉からの音が聞こえなくなった。どうやら飲み干してくれたようだ。なので逸物をゆっくりと引き抜けば、春日が酸素を必死に求める。
「ぷはぁっ! は……桐生さんのザーメン、美味かったです。濃くて、美味かったです……」
 春日がうっとりとしながらそう言ってくれる。嬉しくなったので、春日の頭を更に撫でた。
「ですが、俺は、こっちにも桐生さんのちんこが欲しいです……」
 あぐらをかいたかと思うと、春日はそのままM字開脚をした。
 チャイナドレスの裾が大きくめくれるが、何も履いていないので当然のように股間がよく見えた。美しいチャイナドレスの下では、春日は勃起をしているのだ。それも一度射精をしていたらしく、裾の裏側には精液が付着している。
「俺の、まんこに、桐生さんのでっけぇちんこ、ください……」
 すると春日がいやらしく誘う。淫らな言葉を並べているが、それだけでも桐生の興奮が鎮まらない。なので唾液で塗れた逸物を見せつけた後に、春日を押し倒す。春日は嬉しそうに笑っていた。
 普段のような人懐こさど欠片もない。まるで別人かのように、桐生を誘っていく。
「はぁ、はぁ桐生さん、俺、早く桐生さんのちんこで……うぁ! 入る! 桐生さんのちんこが、入る!」
「人を散々に煽りやがって……! 春日、たくさんイかせてやるからな……!」
 桐生の心には激しい火が灯った。ただでさえ春日を抱きたいというのに、灯油でも注がれた気分だ。桐生は心臓を高鳴らせ、そして息を荒くしながら逸物を肉芽にあてがう。ゴムなど、纏わせる余裕がない。
「春日……!」
 そして逸物はすんなりと入っていく。潤滑油など無くとも、春日の体は桐生の逸物を大いに求めていた。それに唾液のおかげもあって、根元まであっという間に入っていった。春日の喉からは、喘ぎ声が止まらない。そこに何度逸物を挿入されても、やはり気持ちがいいようだ。
 そして桐生も、何度も挿入しても春日の中は気持ちが良いと思えた。よく締まる肉に、熱い粘膜。虜になるしかない。
「っぁ、ア! はぁ、は! 桐生さんの、ちんこ気持ちいい! まんこが、気持ちいい!」
「くそ……! エロい声を出しやがって! ほら、動くぞ!」
 そう言って桐生は腰を激しく揺らした。唐突であっても、春日の体は悦んでいるようだ。結合部からはぐちゅぐちゅと音が鳴る。
 犯されている春日はだらしなく口を開け、止まらない喘ぎ声を吐いていた。そして縛っている手首の紐が、時折に千切れるかと思うくらいにぎちぎちと音が鳴っているような気がした。
「っひゃ、ぁ、あ……ぁ、ん! や、イく、もう、俺イきます!」
「イきてぇならイけ! 俺も、そろそろ……っぐぅ!」
 殆ど言葉も無しに、桐生は春日の中に精液を吐き出す。
「ひゃぁあ! 桐生さんの、せーえきが、入ってきたぁ!」
 薄く笑いながら春日が桐生の腰に足を絡める。そして更に精液を欲するように誘った。これはもはや、雄としての行動ではない。
「ねぇ、桐生さん……俺の、奥に、ちんこ入れてくださいよ……もっと、奥にちんこが欲しいです」
「言葉が上手くなりやがって……明日、動けなくなっても知らねぇからな……!」
 荒い口調になりながら、春日の腰を強く掴んだ。そして一度引き抜いたかと思うと、一気に腰を叩き付けた。一瞬のうちの出来事だが、その時に春日の体が僅かに痙攣したのが分かる。相当に気持ちが良かったのだろう。
 春日の腹からは、ごぽりと音が鳴り、そして先程とは違う締め付けを粘膜がしてくる。これは女の膣では得られない快感だ。
「ひゃ、あッ! きりゅうさんのちんこが、おくに!」
 悲鳴のようなものが漏れると同時に、春日は精液を噴き出した。チャイナドレスの裾を更に汚していくが、その様を見るのがとても好い。
 桐生は無意識に舌なめずりをしながら、腰を夢中になって振っていった。まるで、獣同士の交尾のようである。
「あ、ぁ、っは、ぁん、ん、ア、あ! きもちいい、きりゅうさんの、ちんこ、きもちいい!」
 次第に春日の呂律が回らなくなる。それくらいに快楽の底にたたき落とされたのか。桐生の興奮が止まらなくなると、そこで果てた。春日の腹の奥に、目一杯精液を放つ。
 だがそこで逸物を抜けば、春日の体が大きく震えていた。あまりの気持ち良さに、体の動きが制御できないらしい。
 やや赤みを帯びてきた肉芽からは、吐き出した精液がだらだらと流れる。しかし二人の下半身は今もなお元気だ。
「ッあ、あ! きりゅうさん、おれ、もう、ちんこのことしか、かんがえられない!」
「俺は、お前の体のことしか考えられねぇよ」
 するとチャイナドレス姿の春日をもっと堪能したいと、桐生は自らの逸物を扱き始めた。春日を見ながら自慰をし始めたのだ。
「はぁ、はッ、は、っ、はぁ!」
 しこしこと扱いていけば、すぐに射精感がこみ上げる。なのでまずは逸物の先端を春日の顔に目掛けた。すると春日の顔に精液が掛かるので、次はチャイナドレスを精液で汚す。堪らなかった。
「あつい……っ!」
「はぁ、はぁ……!」
 そこで桐生の逸物が萎えるが、春日のものはまだ芯を持っている。なので春日のものをぱくりと咥えると、勢いよく吸いついていった。ちゅうちゅうと音が鳴る。
「ひゃ……! やらぁ! あ、あぁ! すったららめぇ!」
 春日が止めるように頭を弱い力で押さえつけてくるが、桐生には全く効かない。なので構わず春日の股間を吸っていると、口の中に精液が放たれた。桐生は全てを飲み干すように、ごくごくと喉を鳴らす。味は勿論、苦いのだが。
「あ、ぁ……!」
 春日の下半身がびくびくと揺れると、そのまま脱力した。股間のものが萎えたのだ。
 口を離した桐生は、改めて春日を見る。チャイナドレスを着るとここまで魅力的になるのかと同時に、人には見せたくないと思った。このようなそそられる姿など、独占をしたいのだ。今は自身の精液でマーキングをしたので余計に。
「はぁ……きりゅうさん、ちゅーして……」
「いいぞ」
 うっとりとしながら春日にキスを求められた。桐生はそれにすぐに応じると、顔を近付けてから唇を合わせた。すぐに舌同士を絡めていくが、苦さが広がる。
「んふぅ……ん、んっ……」
 春日がこちらを凝視しながらキスをするので、桐生が視線を合わせた。そうしていると、やはり好きだという感情が湧く。強く抱き締めた後に手首の紐を解き、春日の体の至る部位を手で撫でていて。勿論、真っ赤に映えるチャイナドレスの上から。