愛の言葉はセックスのあとで

人気のない夜のビーチに、二人は足を運んでいた。
理由は単純に、春日がハワイのビーチというものを見てみたいからだ。本人に失礼かもしれないが、そのようなロマンチックな場所に行きたいとは意外だと思った。
サラサラとした砂を踏みしめていく中で、ふと春日が悲しげな言葉を漏らした。
「こういう雰囲気で、好きな人と歩くなら、どういう会話をすればいいのかって考えてるんです。あっ、桐生さんすいません、こんなつまらないことに付き合わせてしまって……俺、異性と意識して、こんな場所に来たらって想像があまりできないんですよね……」
春日に何があったのかは分からないが、何やら色恋の沙汰にがあったということは分かる。しかし詳細は聞かないようにしていると、春日が控えめな礼を述べた。聞かないことが正解らしい。
二人は立ち止まってから暗い空と海を見る。色は黒く、まるで飲み込まれてしまいそうだ。それでも、春日は海や空を見つめ続けている。
昼間とは違い静かなビーチで、ただひたすら波が寄せては返す音が聞こえていた。その中で桐生はふと考える。見れば春日の表情は落ち込んでいるが、どうにか元気付けられないのかと。桐生にだって恋愛のことで、様々な経験はある。それを踏まえて何か助言をするとしたら、まずは「頭を切り替える」ことだろう。男に生まれたからには、恋愛の頭を切り替えることは難しいのだが。
「忘れろ。それしかできねぇ」
「そう、ですよね……」
恐らくは春日は言葉では分かっているつもりらしい。桐生が頷いていると、春日が再び歩み始める。行き先などは分からないのだが、現在の思考同様にとにかく進むしかないとでも思っているのだろう。
桐生はそれに着いて行くとホテルの裏の、昼間でも人が来ない場所に辿り着いた。そこはホテルの壁があり、珍しく海の景色を見渡す為の窓があまりない。この建物が何階建てなのかは分からないが、上の階にぽつりとあるのみである。
ここは砂ではなく珍しく岩があり、波が打つ音がよく聞こえる。騒がしかった。
春日はその壁にすがるが、その際に何かを蹴ってしまったらしい。気が付いた春日は足元を見る。そこには、サッカーボールくらいの大きさの貝のようなものが落ちていた。細かい形は暗いので分からないのだが、渦を巻いている模様がぼんやりと見える。色は灰色がかった色なのだろうか。
「ん? 何だこれ?」
腰を屈めた春日は次に指で軽く突いてみる。すると渦を巻いているような模様から、蛸の足のようなものが一本出てきた。大きさや太さは人の腕くらいあり、春日が小さな悲鳴を上げる。
勿論、桐生はその貝が何かは分からないので、眉間に皺を寄せながら春日の手を引いた。正体の分からない物に対しては、逃げるのが一番なのだと。
ぐいと手首を掴んだ、その瞬間に春日の足を足のようなものが捕まえる。力は桐生よりも強いのか、簡単に手が離れてしまう。
「春日!」
そう叫ぶが、春日は足に囚われたままだ。しかも見れば、貝から出ている足の本数が増えているような気がした。いや、気のせいではない。
「桐生さん! くそ……! 離せ!」
抵抗をする春日だが。増えた足は春日の体を浸食するかのように、もぞもぞと這っていく。傍から見れば、気持ちが悪い光景でしかない。
次第に春日の顔が青ざめていくと、足は意思を持っているかのように次の動きを始めた。春日が着ているアロハシャツを、脱がせようとしているのだ。目的は全く分からないのだが、とにかく足を止めるしかない。
貝の元に走って向かった桐生だが、更に足が増えた。その足は桐生の体を簡単に跳ね飛ばしてしまう。砂の地面に体が叩きつけられ、桐生は苦しげに呻き声を上げた。
「ぅ……ぐぅ! 春日……!」
「桐生さん! 俺のことはいいので、早く助けを……うわ!? おい! 何をするんだ!」
足は徐々に春日の全身を覆った後に、服をスムーズに脱がせていく。人間でもないのに、まるで服の脱がせ方を分かっているかのようだ。
異常過ぎる行動に、桐生はそれを凝視することしかできない。そうしていると、春日が半裸になった直後に足はジーンズにまで伸びる。
「おい……! やめろ! そこまでは!」
春日の体が足により宙に浮かび上がると、ジーンズとそれに下着まであっさりと取り払われてしまった。全裸になった春日からは、恐ろしさと恥ずかしさが混ざったような悲鳴を上げる。
ジーンズや下着が砂の上に落ちると、桐生は見るに堪えられなくなった。ようやく体を起こすことができると、助けを呼ぶ為に立ち上がった。しかしまたしても足に妨害された。足が桐生に目掛けて強くぶつかってきたのだ。
「ぐぁ!」
情けない悲鳴を出した後に再び砂の上に戻されると、もう何もできることはない。ただ、春日が足により服を剥かれていった様を見ていただけである。
すると春日の体はどんどん宙に上がっていき、桐生はそれを見上げていた。人間の身長よりも高い。歯を食いしばっていると、足が次の異常行動を始めた。何と、春日の皮膚をまさぐり始めたのだ。
見ていられない光景に桐生は目を閉じていると、春日からまたしても助けを請う悲鳴は聞こえてきた。それに耐えられなくなった桐生はもう一度立ち上がるが、足が行く手を阻む。
それならばと桐生が足を目掛けて蹴るが、びくともしない。まるで、分厚い建物の壁のようだった。
歯が立たない。桐生の心に絶望が見えるが、足は相変わらず春日の至る皮膚をうねうねと這っている。その様を見るだけで気持ちが悪いが、今は春日を助けなければならない。
ならばもう一度立ち上がるのかと自分自身に問いかけていると、足が次の異常行動に移っていた。春日の胸を中心に、足が蠢き始めたのだ。もしかしたら、春日を人間の女と勘違いしているのだろうか。
そうならばそれを伝えたいが、人間の言葉が分かるかは不明だ。桐生は他に何か無いのかと考えていると、足が何か粘液を吐き出す。これではまずいと桐生が体を動かすが、やはり足により邪魔をされた。だが次は、桐生までも囚われてしまう。絶望しかない。
「桐生さん! 早く逃げて下さいよ!」
春日が怒り気味にそう叫ぶが、桐生までも逃げられなくなってしまった。もしやこのまま、本体が出てきて食われてしまうのだろうか。不安がそう過っているが、足は桐生には何もする気配はない。寧ろ、春日の様を見せつけるように、制止していりる。
舌打ちをした桐生だが、足にそれが聞こえている気配はない。春日の皮膚に這っている足は、相変わらずだ。
すると春日の様子が一変した。足から吐き出された粘液を飲んでしまったのかは分からないが、現在の様子とは正反対の表情をしている。どう見ても、喜んでいるのだ。
「はぁ、は……ぁ……」
おかしい。どう考えてもおかしい。桐生は春日に呼びかけてみるが、聞こえているような雰囲気ではない。口をただ開けるしかできないでいると、足が再び粘液を吐き出した。次は春日の剥き出しの下半身である。
粘液がかかった一瞬だけは不快そうな顔をしていたものの、すぐに表情が戻る。いや、寧ろ何だか気持ち良さそうだ。例えるならば、桐生の分かる範囲であれば、それは性欲に満たされている女というべきか。
分かるくらいに顔が青ざめていくが、もはや桐生の力など無駄だと思ってもいいだろう。項垂れていると、足が春日の体を動かした。上半身は固定をしているが、太ももや膝に巻き付く。そして春日の足を開脚させられてから、こちらに恥部を見せるような形になった。
「……ッ!」
見たくはないが見てしまう。だが春日のそこは、人間の男のものではなかった。当然のように存在する竿の左右にある袋の中央に、膣のような穴があるのだ。何だと桐生は目を凝らしてしまう。
「おい! 春日に何をした!」
睨みつけるが、足には何も効果がない。こちらが怒っていること、そして春日がこのような状態になることを嫌がっていることを分かっているのだろうか。だが人間らしい意思などは当然のように無いように見える。やはり無駄であると溜め息をつく。
足がぬるぬると春日の体の節々の自由を奪う。もはや、春日は体を自由に動かすことができなくなっていた。そして桐生も、何度も砂の上に体を叩きつけられてしまい、今は足が体に巻き付いてきている。主に腰などが痛くなっていた。なので春日が足に囚われている様を相変わらず見ることしかできない。
そこで足は大きな動きを見せた。今まで春日の皮膚に這っていたが、次は作られたというべきか分からないが、膣のような穴に足が入り込む。だが人間の太さくらいがあるので、当然のように春日からは悲鳴や絶叫が出てきていた。
「うわ!? ちょ、どこにはいって……ひゃ、ぁ、あ……!」
だが春日のそれは次第に嬌声へと急変してしまう。膣のような穴に足が侵入したからなのだろうか。
男である為か、穴に何かが入る光景など自然を見てしまう。それに気が付いた春日が桐生に見ないで欲しいと懇願をした。
「ぁ……! やだ、きりゅうさん、おれを、みないで……!」
「すまねぇ、春日……」
そう言いながらも、やはり春日の膣のような部位を夢中で見てしまう。見ないで欲しいと言われたら、余計に見てしまうのが人間の性でもある故に。
「ゃぁ、だから! 見ないで、はぁ、あ……そこ、入ったら、だめ! ア、ぁん、ん……」
足の先端が膣の中に入り見えなくなると、春日の腰がゆるゆると揺れた。まるで興奮している雌だと、錯覚してしまったときにはもう遅い。自身の逸物が、ゆるやかに勃起をしているのだ
あり得ないと思いたいが、実際に春日の膣のような部位を食い入るように見てしまう。鼻息が荒く、鼓動が早い。ならば自身は、興奮している雄である。
無意識に下半身をもじもじと動かしているが、足はどんどん春日の膣の中に入っていく。だが突然に腕のような太さのものが入るのだろうか。経験則ならば、そのようなものなど、相手に拒絶されるに決まっている。
しかし春日は嫌がっている様子も、痛そうにしている様子もない。変わらず桐生に「見ないで」と拙くなってきた口で言うが、もしや先程の粘液でどうにかなってしまったのだろうか。
再び春日の膣のような部位を注視してしまう。
「ぅん、あ、はぁ、ぁ……あ!? まって、おくはだめ! なにかくるから、ひゃ、ぁあッ!」
足が膣のような穴に吸い込まれて制止した後に、足がぐねぐねと膨らんだ。一時的にではあるが、すぐに元の太さに戻る。
嫌な予感をするが、何かを注がれたのだろうか。次第に股間部分が窮屈になってきた。少し痛いと思いながらも、足から行われるもはや陵辱行為をひたすらに見る。
足が春日の中で何度も何度も律動を繰り返す。これではまるで、種付けでもしているかのように見えた。みるみるうちに春日の腹が膨れていくが、足の子孫を、春日の中にでも宿すつもりなのだろうか。
すると自身の本能が抑えきれなくなっていた。早く自慰でも何でもいい。とにかく逸物を動物のようにしこしこと扱いて、精液を吐き出したいと思った。精液が空になるまで射精をしたいと思っていた。しかし春日のあの膣のような部位も魅力的に見える。あの中は、どれだけ狭く熱く、女の中のように気持ちがいいのだろうか。あの中に挿入すれば、どれだけの快楽を迎えることができるだろうか。
もはや桐生はそれしか考えられないでいると、足はしばらくしてから春日や自身を解放した。まるで手放すかのように。砂の上に体がゆっくりと落ちると、桐生は急いで立ち上がった。だが勃起している逸物があるので、かなり不自然である。
春日の膣のような部位から足が抜けていくが、そこからは大量の白い液体が流れ出た。やはり足に種付けをされていたのだろうと確信すると同時に、体が勝手に動いていた。春日の元に急いで向かうと、手を差し伸べる。
「春日……」
名を呼ぶと春日が泣きながらこちらを見ていた。目を合わせるが、桐生は今の春日を助ける気などい無くなっていた。
すぐに春日の手を掴んだ後に、無理矢理に立ち上がらせる。建物の壁へと詰めていった。だが上手く立てないらしく、桐生の方へと倒れてしまう。
そして春日の膣のような部位からは、まだ白い液体が流れ出ていた。腹はもう膨れていないが、相当な量のものが注がれていたことが分かる。
「きりゅう、さん……?」
春日が疑問を浮かべている顔を視界の端に映した後に、手を伸ばした。その先は春日の膣のような部位である。
「ひぃ!? ぁ……な、きりゅう、さん!?」
どうしてなのかと驚愕の表情をしているが、桐生は無視をした。
感覚は、正に濡れた女の膣であった。思わず固唾を飲んでしまうと、春日を見る。次は怯えているが、寧ろそそられてしまう。男の本能として、どうしても春日を性的な目で見てしまうのだ。抑えることなど、できる筈がない。
指を動かせば、愛液なのか先程の足の粘液なのかは分からないがかなり湿っている。ここに指先を突き立ててやれば、春日はどのような反応を示してくれるのだろうか。楽しみになってきていた。
「春日、いいよな?」
主語など無く、直球で桐生がそう聞く。春日は首をふるふると横に振った後に、頬を赤く染めていった。このような状況に、興奮し始めたのか。
見れば春日の下半身がみるみるうちに盛り上がっていた。やはりそうなのかと、桐生は薄く笑う。
「ほら……体は正直だな」
ありがちな台詞を吐くと、ぬるぬると指を侵入させる。既に足が侵入した後なので、かなりスムーズに入っていった。春日の顔を見れば、怯えは小さくなってきている。徐々に、可愛らしい喘ぎ声が出ているからだ。
「ぁ、あ……! そこは、う、ぁん……はぁ、は、っあ」
「気持ちいいだろ? ほら、そうなんだろ?」
春日を誘導していけば、それに見事に着いてきてくれた。こくこくと頷くので、褒める代わりにと指を曲げる。春日の体が、大きく跳ねた。
「ひゃぁ!?」
ぬかるんでいる膣の中は、やはり触り心地が良い。柔らかい。桐生は思わず息を荒げながら、指を小刻みに動かしていく。
ぬぷ、ぬぷと音が立つと、春日の喘ぎ声は一層大きくなっていく。このままでは、誰かに聞かれてしまうのではないのかと思える。だが今のところは誰も来ない。いや、誰か来てもこの腕で追い払える自信がどうしてなのか分からないがある。この春日を、どうしても独占したいからだ。
「ほら、気持ちいいだろ? 素直に言えよ」
唇を春日の耳元に移動してから、低い声でそう囁いてやる。次に春日の顔を見れば、口を半開きにしている。もう、何も考えられなくなっているのだろうか。
なのでもう一度同じことを囁いてみれば、遂に春日は負けてしまったらしい。顔を少し伏せてから、こちらをとろりとした瞳で見る。その目には、欲しいものを手に入れられた自身の顔が写り込んでいた。しかし悪い気分にはならない。
「ぅ、あ……きもちいい、です……」
「言えたじゃねぇか」
桐生は嬉々としながら膣に入れる指の本数を増やした。本当は早く勃起している逸物をねじ込み、そして大層に喘がせてやりたい。だが指で楽しむことも悪くはないと思った。スラックスの股間部分が膨らんでおり、窮屈なのだが。
二本の指で膣のぬかるみをかき混ぜれば、卑猥な水音が大きく鳴る。そして春日の喘ぎが変化していった。所々に、拒絶のような言葉が含まれているからだ。しかしこれは本望ではないのだろう。
「ひ、ぁ、あ! やだぁ! きりゅう、さん! そこまで、したら、は、ぁ、ん……! ん!」
指が愛液に塗れるが、それでも桐生は指を動かし続けた。そして砂の上にはぽたりぽたりと、春日の愛液が垂れ落ちる。砂にいやらしい痕が残るのを見ると、それを見ながら春日を煽った。
「ほら、お前の汁が、落ちてるじゃねぇか」
「はぁ、は……ごめんなさい……!」
すると春日の瞳から少しの涙が出てくる。だがこれは喜びによるものだろうと思った桐生は、柔らかい膣内を探っていく。どこかに、好い場所があったのだと。
指を奥に挿入したり、様々な方向に曲げていくとようやく見つけた。その場所をぐいと押した瞬間に、春日の体が後ろに反れたからだ。
「ぅあぁ!? あ、ァ!」
「ふぅ……ここか」
一つ息を吐いた桐生は、そこを重点的に何度も何度も執拗に責めていく。春日の背中は勿論、顎まで仰け反っていく。あまりの快楽に、体がそうなってしまったのだろう。
春日の膣は勿論、竿から液体が飛び散る。それぞれ、透明なものと白いものだ。この様を見て、桐生の中で興奮が増大していった。
「ッあ! あ、きりゅう、さ! う、ぁ、あ! そこ、もういじめちゃ、だめぇ!」
「そう言う割には、嬉しそうじゃねぇか」
膣からはもはや洪水と言って良いように、愛液の噴出が止まらない。それに次第に膣の中のひだが指に絡みついてくるので、まるで離さないという意思があるように思える。
なので桐生は指を更に増やすと、数本の指で膣の中の愛液を混ぜていく。ぐちょぐちょという音を間断なく鳴らしていく。そのおかげなのか、春日の太ももの内側には愛液がだらだらと伝っていた。
「ぁ、あ! なんか……くる! きりゅうさん、たすけ、ぅ、あ……あぁ、あッ!」
すると春日の体が震えた後に、膣から無色透明の液体を噴出させていた。桐生の経験則で言えば、これは潮を噴いたのだろう。
小さな笑いが止まらなくなった桐生は、ついに指を引き抜いた。膣の中独特の柔らかい感触が無くなるのは残念だが、代わりにベルトをカチャカチャと外し始める。すぐに外すことができると、スラックスと下着を同時に下ろした。
赤黒い逸物を春日に見せつけると、うっとりとしていた。だが先程襲いかかってきた足に比べれば、太さや長さは劣る。それでも、春日を失神させるまで絶頂に導くことができる自信があった。
まずは春日の膣の入り口にぬるぬると、逸物を擦りつける。先端などに愛液を纏わせると、自身の逸物が卑猥な姿になった。思わず、桐生は鼻息を荒くしてしまう。
「ほら、これが欲しいか? はっきりと言ってみろ」
わざと意地悪をしてやると、春日は俯き自身の逸物を凝視している。そこで「欲しい……」と小声で言った後に、こちらを凝視する。普段はまっすぐで凜々しい瞳は、やはり溶けたように垂れていた。
「きりゅうさんの、ちんこが、ほしいです……」
はっきりとそう言ってくれると、桐生は唇の端を大きく上げた。これは上げざるおえないからだ。それくらいに、桐生の中での興奮が最高潮になっているからだ。
「分かった。くれてやる」
そう言って、春日の片方の膝裏を少し持ち上げた。恥部がより晒されると、春日の感情が高ぶったらしい。遂には口から唾液が垂れていった。
逸物を膣にあてがう。やはりぬちゅりと濡れていて、少し当たっただけでも桐生は我慢ができなくなっていた。このまま挿入しても、問題がないというのに。
だが桐生は少しずつ逸物の先端を、ゆっくりと入れていく。
纏わせていた愛液が潤滑油となってくれたのか、予想よりもスムーズに入っていってしまう。先端が少しでも入った時点で、膣の中は柔らかく、そして熱いことが分かる。桐生としては、すぐに名器としかいいようがない。それくらいに、気持ちがいいのだ。
「はぁ……はぁ……きりゅうさんのちんこ、おっきくて、あつい……! もっと、おくに、きてぇ……!」
「あぁ、言わなくても、奥に、全部くれて……やる!」
逸物が滑り、全て入ってしまった。ひだが逸物をすぐに包み込むと、ぎゅうぎゅうと締め付けてくる。桐生はあまりの快楽に、達してしまうそうになった。しかし挿入してすぐに達することは、桐生としてはあまり好まない。できれば、春日と共に絶頂を迎えたいからだ。
「……ひゃ、ひゃぁあ!? ぜんぶきたぁ!」
再び春日が潮を噴く一方で、男の部分は反応が悪くなってきているようだった。精液を雫程度のものを垂らすのみ。余程、女の部分が気持ちがいいのだろう。
その可愛らしい様を見た桐生は、腰を振る。粘膜が擦れ合い、ずちゅずちゅと性行為独特の音が鳴る。
「はぁ、は……ぐぅ……! 春日、お前の中、気持ちいいぞ……!」
「きりゅうさ、ん……! おれ、うれしいです!」
春日の腰を掴んだ桐生は、より奥に行くように律動を強くしていく。この膣の奥には、子宮などがあるのだろうかと。本人に聞いても恐らくは分からないので、自分で確かめるしかない。
「んっ、ぁ、あ、はげしい! あっ、ァ! イく! きりゅうさん、おれ、すき!」
「ん? あぁ、俺もだ」
春日からの突然の告白に対して、そう口走ったが悪くないのかもしれない。春日のことをこうして犯しているおかげで、好きになっているのかもしれない。
なので改めて頷くと、春日の中がより一層締まった。どうやら嬉しいらしい。何と可愛いのだろうかと、桐生は思う。
「春日」
名を呼ぶと春日が反応をするが、目の焦点が合っていない。あまりの快楽に、余裕などい皆無だからなのか。
それでも桐生は顔を近付けると、そっとキスをした。
「は、あ……きりゅう、さん……すきぃ……」
遂には春日の手が背中に回ってきた。そしてまるで二度と離さないと言うように、膣の中が更に逸物をきつく締める。
さすがの桐生は、そこで射精をしてしまう。本当は春日と共に達したかったが、中に出されて春日はとても喜んでいるようだった。
「ぁ、あつい! きりゅうさんのちんこから、あついのが!」
「はぁ、っう! ァ、あ……!」
春日の体や顎が仰け反ると同時に、背中に回していた手の指が背中にくいこんでくる。衣服の上からなのであまり痛みはないものの、この応龍に少しでも傷をつけて欲しいと思ってしまう。だがワイシャツまでも脱ぐ余裕などない。今は、腰を振ることしか頭に無いからだ。
射精が終わるが、逸物が萎える気配はない。まだ元気である自身のものに安心をする共に、見れば春日も達していたことが分かる。春日の腹や自身のワイシャツに精液が散っている。男の部分が、ようやく機能をしたらしい。
だが春日のものはすぐに萎えてしまったが、膣は相変わらず逸物を食っている。
「ぅ……ん、きりゅうさん、おれ、もっと、やれます……」
気付けば春日は涙を流しており、顔がぐちゃぐちゃだ。しかしそれが愛しい。桐生は再び春日と唇を合わせるが、その際に舌を突き出した。桐生は深いキスをしようとしているのだ。
「ふぅ……ぅ、ん……んんっ、ん!」
舌をぬるりと侵入させれば、春日の肩がびくりと跳ねる。桐生はそれに構わず、春日の口腔内を這っていく。
このようなキスは経験があるのだろうか。ふと考えた桐生だが、聞くのは野暮だろう。なのでその考えを捨てた後に、歯列をなぞる。春日からはくぐもった息が聞こえてきており、ここで逸物を更に押し込んだらどうなるのだろうか。そう考えた桐生は、早速行動に移す。
「ッぐ!? ふう、ぅん!」
春日の体が揺れると同時に、背中にあった手がだらりと落ちる。相当なものらしい。
次に上顎の輪郭をなぞってやれば、春日が手に力を込めてしまったらしい。手の甲に、骨が大きく浮かび上がる。
唇を離すと、春日が瞳に涙を溜めながら非難をしてきた。
「き、きりゅうさぁん……!」
だがその非難を聞く暇はない。春日のその姿が可愛すぎて、更にいじめたくなったのだ。なので腰でずんずんと春日の体を揺さぶると、非難の言葉は中断される。
「ぁ!? ァ、あ! やめ、いまは、そこは、イく、ゃ、ァあ、あ!」
春日がまたしても潮を噴いた。桐生のワイシャツは、もう春日の体液でびしょ濡れである。
そこで桐生はまたしても達してしまいそうになったが、歯を食いしばってどうにか耐える。そしてもうじき自身にものは、一時的に使い物にならなくなると思った。これで最後にしようと、ゆるゆると逸物を抜いていく。当然、春日からは不満の言葉が出た。
「きりゅうさん、まだぬいたら……ぅあ!?」
そこで思いっきり叩きつければ、肌同士が衝突する乾いた音が鳴り響いた。そして何かのひだを乗り越えたような感覚があるが、何なのだろうかと春日の腹を見る。そして自身のものが到達している場所であろう皮膚を、そっと触れた。その瞬間に分かった。やはり春日の体には子宮があるのだと。
春日を見れば盛大に潮を噴いてから、悲鳴のようなものを出していた。
「……ッ!? ぁ、ァあ! イぐぅ! イく! きりゅうさんのでっかいちんこで、おれ、にんしんしちゃうぅ!」
「それなら孕めよ。足りなかったら、また中に出してやるから」
「はぁ、ありがとうございま……ぅあ!?」
激しいピストンを始めれば春日が仰け反り、そしてぴゅっぴゅっと潮を吐く。
春日とこうして繋がることができる、これは何と素晴らしいことなのだろうかと、子宮を下から強く突きながら思う。
同時に春日の膣が自身の逸物を扱くように包んでくるが、今までで一番強かった。気を抜けば、射精をしてしまうかのように思える。桐生はそれに耐えながら、腰を必死に振っていく。早く、春日と共に絶頂を迎えたいのだ。春日のこの子宮に、精子を注ぎたいのだ。
その思いを強く思いながら、春日の体を支えてから揺さぶる。
「あ、ぅ! イく、イく! ぁ、あ、きもちいい、きりゅうさん、おれ、きりゅうさんのことがすき!」
「ッぐ……! あぁ、俺も好きだ。だから春日、一緒にイくぞ!」
「ひゃ、ひゃい……!」
春日が頷くと、桐生はラストスパートとしてピストンの速度を更に上げていった。肌と肌がぶつかり、時折に痛いと思える。だが桐生はその痛みが、春日と繋がることができた証拠になるのだと思った。なので続けていく。
「ぅあ、あ、ぁん! ん! はぁ、はぁ……おれ、もうイく! イくからぁ!」
「はぁ、はぁ、春日、俺も、そろそろ……出すぞ……!」
「あぁ、ア! はやくきてぇ!」
射精感がこみ上げると、桐生は一旦体の動きを止める。そして逸物に血がよく集まっていることを認識しながら、精液を春日の子宮に目一杯送りつけた。春日からは「あつい……」と痺れたような声が出てきていた。
そして達したのか、腰をびくびくと震わせている。
逸物が萎えたことを確認してから、顔を近付けて軽くキスをした。その際に桐生は改めて、突然に湧いてきた想いを言い放つ。
「春日、好きだ……」
「んぅ……おれもぉ……」
春日はもう、思考が回らないらしい。しがみついていた手が離れかけたので、必死に支えた。それでも自身の衰えた体では、春日をどうにかすることはできなかった。砂の上に春日の体が落ちると、桐生はしゃがんでから春日の顔を見る。
すると不思議なことに、意識がどんどん曖昧になっていた。このままではいけない。今の春日を何とかしなればならないが、体が動かない。意識が次第に失われていく。
そして桐生は砂の上に倒れると、意識を失ったのであった。そういえば、砂の上に倒れた際に、痛みが無いと思いながら。

「桐生さん! 桐生さん!」
目を開ければ、春日が心配そうに自身の名を呼んでいた。そして太陽の眩しさが目を刺す。痛い。
だがそこでぼんやりしている暇はない。春日の身を案じようと、体を動かした。どうやら倒れていたらしいが、場所は砂の上だ。そうであればと春日を見るが、アロハシャツをしっかりと着ている。どうしてなのかと桐生は口を半開きにする。
「春日お前……全裸じゃなかったのか?」
「はぁ!? いや、俺は確かにビーチのど真ん中で全裸になってましたけど……!」
「じゃあ……」
「俺は、茜さんの家に行って、使用人の女の子に騙されて全裸になりました! それしか、人前で全裸になっていません!」
おかしいと思い、桐生は次の質問をした。
「お前、触手に襲われでいなかったか?」
「触手!? 何ですかそれ!? 桐生さん、疲れてませんか?」
春日が自身の体調を心配してきた。つまりは、昨夜の光景は夢であったのか。そう考えていると、春日が何かを話し始める。
「桐生さん、昨夜は俺とビーチを歩いてたら、いきなり倒れたんですよ! それも、人気がないところで! ここは治安が何かと危ないし、大変だったんですよ!」
首を傾げた後に、桐生は溜め息をついた。やはりあれは夢であったのだと。
だが春日に惚れてしまったということは間違いない。なので春日の顔を見てから「夢だったのか……」と項垂れる。
「え!? 桐生さん、どんな夢を見ていたんですか!?」
「それは言えねぇ」
言ってしまえば、春日はやはり疲れているのだと言ってくるに違いないからだ。なので昨夜見ていた、或いは体験していただろうことは、胸の中にしまっておくことにした。
しかしいつかは春日に、抱えてしまった想いは伝えたいと思いながら。