桐生と春日はリトルジャパンエリアにある、リボルバーに入ろうとしていた。太陽はもう落ちており外は暗いが、街の華やかな灯りがあるので寧ろ眩しかった。
二人は既にそこの馴染み客となっている。なので肩の力を抜いて入店をすると、マスターがいつものように愛想悪く「いらっしゃい」と言う。桐生は片手を上げて挨拶を済ませる一方で、春日は「ようマスター!」と元気良く挨拶をしていた。マスターはそのような正反対の二人を見て、フフッと笑う。
「ウイスキーのロックを二つ」
入店してすぐに桐生がそう注文すると、少し離れたテーブルに向かってから提供を待つ。春日は着いて来てから、桐生と軽い世間話を始めていく。
「今日も色々とありましたねぇ」
「そうだな」
春日は少し疲れた様子であるが、桐生はいつもの落ち着きを見せていた。なので春日は「桐生さん流石です……!」と言いながら目を輝かせる。
そこでマスターが注文のあったものを提供すると、二人が礼を述べた。マスターは愛想なく「あぁ」と言ってすぐにカウンターに帰ってから、空いたグラスを黙々と磨いていく。
桐生はグラスを持つと、春日とまずは乾杯をしようとしていた。しかしすぐに春日は水のようにごくごくと飲んでいく。相当に喉が渇いているように見えるが、どうやら違うようだ。すぐにグラスを氷のみにしたところで、春日はそれをテーブルの上にことりと置いてから口を開く。
「特に、あのスジモン! あいつは本当に手強かった!」
どうやら二人は昼間、スジモンと戦っていたようだがかなり苦戦をしていたらしい。グラスを置いた桐生が春日の言葉に静かに頷いたので、相当なものだと窺える。
「だが、勝てたから良かったじゃねぇか」
「えぇ、そうですね! ……マスター! もう一杯!」
「おいおい、二杯目にいくのはいいが、飲み過ぎるなよ」
店を経営しているのにも関わらず、飲み過ぎるなとマスターは注意をする。桐生はマスターの言葉に賛同したのか「そうだぞ春日」と言った。しかし春日はまだ飲み足りないらしく、二杯目の提供を待つ。
「せめてあと一杯で止めておけよ。明日に響くぞ」
「分かっています。ですが……やっぱり飲みてぇんですよ」
春日の人懐こい顔が、疲れているように見えた。なので桐生は「気を付けろよ」とだけ言うと、グラスに入っている酒をちびちびと飲んでいく。
すぐに二杯目が提供をされると、次は春日は少しずつ酒を喉に流していった。ペースが早いのは相変わらずなのだが。
「……にしても、桐生さんは凄いすねぇ」
すると酒が回ってきたらしい春日は、桐生のことをいつもよりも賞賛していく。次々と桐生への褒め言葉が垂れ流されていく。だが桐生は何だか照れてきたので、軽く笑いながら「止せよ」と止めようとしたが春日の口は止まらない。
そうしていくうちに春日は二杯目を飲みきったのだが、この時点で酔いが回ってしまったらしい。グラスを乱暴に置くと、顔を真っ赤にしながらテーブルに突っ伏す。すると桐生はこれ以上ここに居たら迷惑になると、溜め息をついてからグラスの残りの酒を飲み干した。春日がここまで酔っ払ってしまっているからだ。尻ポケットから財布を取り出してから、酒の代金を出す。チップの分も出そうと思っていると、マスターが「また今度でいい」と言うのでそれに従った。
肩を春日に貸しながらリボルバーから出ると、近くにある取っていたホテルへと目指した。途中で水を買おうかと思ったのだが、酔っ払いの面倒を見なければならないのでどこかに寄ることはできない。
少し歩くとホテルに着き、取っている部屋へと向かった。フロントからエレベーターに向かう最中にホテルマンに「大丈夫か」と心配そうに訊ねられたが、桐生は「問題ない」と返してからエレベーターに乗る。
ボタンを押すとエレベーターの扉が閉まる。そこで桐生は目的の階に着くまでの僅かな間に、春日の顎を掬う。
「春日……」
名を呼んだ後にそっとキスをするが、酒の味がした。クスリと小さく笑いながら唇を離すが、春日はただ桐生の顔を見るのみ。なのでどうしたのかと質問をしようと思ったが、目的の階に到着してしまう。すぐにエレベーターの扉が開くと、春日を引きずるように部屋へと戻っていく。
部屋に入ってから施錠をするなり、すぐに桐生は春日を壁に押しつけた。そして先程よりも激しいキスをするが、春日は抵抗する気が無い。寧ろ受け入れているようだが、酒のせいなのだろう。
「きりゅうさん……」
普段からある意思の強い瞳はとろんと垂れており、それに舌を突き出していた。これは明らかに誘っていると思った桐生は、途端に下半身を膨らませていく。このような春日を見て、欲情しない訳がないからだ。
「シャワーを浴びるぞ」
「ん……」
春日は酔っている状態だが、仕方ない。桐生は春日と共に脱衣所に入ると、春日は自らアロハシャツに乱暴に手をかけていた。一方の桐生は静かに脱ぐが、そこで春日の下半身を見れば全く反応をしていなかった。そのままでいいのだろうと、聞こうとしたが春日にそれを妨げられる。
「いや。桐生さん……」
「どうした? 春日」
「俺。まだ勃っていないんですよ……」
股間を指差すが今の桐生にとってはそれどころではない。既に雄として我慢ができなくなったのだ。なのでふるふると首を横に振ると、春日の意見を否定しながらアロハシャツに手をかけた。
「ちょ、桐生さん……!」
焦りながら春日が抵抗するが、桐生にはそれが効かない。春日が酔っているので抵抗の手をすぐに払うことができたからだ。
すぐにアロハシャツを脱がせていくと、次にシャツを捲った。春日の体は良い具合に日に焼けており、桐生は思わずうっとりとしてしまう。指で肋骨のあたりを撫でると、擽ったいのか微かに声を出していた。
「桐生、さん、ちょっと!」
春日の顔が更に赤くなると、しっかりと反応しているのが分かる。だが股間は反応していないが、桐生にとっては問題がない。このまま、春日を抱こうと思った。唇をゆっくりと合わせると、春日の抵抗が止まる。観念したのか或いは、キスにより思考が抵抗してしまったのか。
ふと見れば春日の顔が呆けている。
「……桐生さん」
なのでシャツを頭から抜いていくと半裸になった。胸を見れば両方の突起がぴんと張っているのでそれの片方を口に含んだ。春日の体が小さく仰け反り、胸が上下に激しく動く。
「んっ、ん……」
「気持ちいいか?」
そう訊ねると、春日は素直にこくこくと頷いた。なので「よかった」と呟いてから、もう一度口に含むと舌を突き出した。突起を舐めてみれば、まだ幼い女のように動揺の息を漏らす。それが堪らなく可愛らしいと思いながら、突起を弱く吸う。次に春日の口から悲鳴混じりの嬌声が吐き出された。
「ひぁ!?」
中年だというのに相変わらずの初々しい反応をしてくれて、桐生は更に燃え上がる。唇で緩やかな弧を描くと、突起を強く吸い上げていく。春日の体がぶるぶると震えるが、下半身は勃起をしていない。動揺をしているが、当然のことである。
そこで桐生は春日の股間を緩く握ってから「反応をしないな」と軽く笑いながら指摘をすると、そのような訳がないと否定をした。
「このまま、勃たないでイかせてやる」
突起を舌でねっとりと這わせてから、垂れている訳がない胸を揉むと春日は肯定も否定もしなかった。なので桐生は春日のジーンズのベルトをカチャカチャと外すと、すぐにずり下ろす。
「はぁ、は……ぅ……桐生さん……」
下着には染みができておらず、本当に勃起をしていないのだと桐生は見る。そして下着も脱がせていくと、ぺたりと萎えている下半身が露出した。
そこで桐生も服を全て脱いでいくと、春日にまずは勃起している肉棒を見せつけた。立派にそそり立っており、我慢汁まで漏らしている。照明でてらてらといやらしく光ると、春日はそれを凝視した。
「そんなに、欲しいか?」
自慢でもするかのように聞くと、春日は恍惚の表情をしながら「はい……」と返事をしてくれる。だがまだお預けだと、春日の手を引くと浴室に入った。
シャワーコックを捻ると、湯がすぐに出てくる。二人はそれを浴びながら体を密着させてキスをする。唇同士を丹念に合わせながら、春日に硬い肉棒を押しつけた。春日の動きが一瞬だけ止まったかと思うと、桐生に負けないと言わんばかりに必死に舌を動かした。舌を絡められるが、桐生は形勢を逆転させる。寧ろ舌で春日を責めていく。
「……ッふ! ふ、う……んん、んっ」
次第に春日の腰が砕けていくと、浴室の床に腰が落ちていく。同時に桐生との口付けが中断されると、湯を止めてから目線の高さを春日と合わせた。
「春日」
「きりゅうさぁん……」
春日は目を潤ませている。桐生がその瞳を目で捕らえると、春日をそっと押し倒そうとした。しかし春日が「ベッドで」と言う。なので桐生は内心で舌打ちをしながら、春日の体を抱えようとする。
「でも、もう少しだけ……」
伸ばした春日の手が桐生の頬に触れた。相変わらずごつごつとした、人を何度も殴った手で柔らかく。
「分かった」
返事をしてから春日ともう一度唇を重ねた。すると春日の舌が桐生の舌を探していたので、すぐに絡めていく。厚い舌同士がぬるぬると触れ合い、そしてより密着しようとする。二人の意思が一つになったかのように、舌が意思を持った生き物のように這う。
春日の方が最初に酸素を求める為にキスを中断した。息がかなり上がっているのを見ると、早くベッドの上に行かなければと思った。ここは湯気などにより呼吸がしづらいので余計になのだろう。なので春日を立たせてから湯を少し浴び、そして浴室から出る。
「すんません、桐生さん……」
春日が申し訳なさそうに謝るが、桐生は特には気にしていない。なので緩やかな笑顔を向けると、春日の顔に安堵の色が見えた。だが瞳は相変わらず蕩けており、ただ可愛らしいと思える。
「気にするな。これから、お前の体に負担を掛けてしまうが、許して欲しい」
「許して欲しいだなんて……俺は桐生さんとこうするの、好きなのでいいですよ」
「ふっ、そうか。ありがとうな」
体をバスタオルで拭いてから共にベッドに向かうと、春日を優しく押し倒した。そしてその上に乗りかかると、唇を重ねてから顎へと下りていく。ちくちくとする顎髭を通ってから喉に向かうと、立派な喉仏に辿り着いた。しかしこの喉で今から雌の声を吐き出すのだ。そう思うと、桐生の中で期待が高まっていく。
喉の皮膚をぺろりと舐め上げていいくと、春日が短い悲鳴を出した。その声が何とも愛しいと思え、桐生は春日に向けてそっと「好きだ」と呟くと聞こえていたらしい。春日が「俺もです……」と返してくれた。
鎖骨へと移動していくと、柔らかい皮膚を弱く噛んでやる。すると春日の体が大きく跳ねてから、胸を突き出す形となった。まるで胸を弄ってくれと言わんばかりに強調しているようだ。それに応えるべく、桐生は再び胸に向かっていった。
突起を見れば未だに硬さを保っており、桐生は目を細めながらそれを一回舐め上げた。
「ひぅ!? あ……ァん、はぁ、はぁ……」
「気持ちいいか?」
「はい……」
気持ちが良いという反応を改めて知ることができた桐生は、舌を小刻みに動かして刺激を与えてやる。春日は体を震わせながら「もう、イく……!」と言うが、下半身を見ればその気配など一切ない。なので桐生は薄く笑う。
「ほう、ではイってみろ」
挑発するようにそう言うと、春日は悔しげな顔で桐生を睨む。しかし桐生にはとくに効いている様子はない。なのでか更に悔しげに瞳を鋭くさせるが、相変わらず桐生には効果がなかった。
「……ッ! くッ、う……!」
顔をしかめた春日だが、体に何も変化が起きない。なので桐生は春日のことなど構わず、胸をぺろぺろと舐めてやる。時折に甘噛みをすると、春日の体がその度に跳ねる。ベッドが軋み始めた。
「イけなくて、苦しい……」
遂には春日の口から呻き声のようなものが出てくると、もうじきかと強く突起を噛んだ。春日の体が面白いように揺れ、そして腰のあたりが大きく震える。
「春日、そろそろ欲しいか?」
胸から顔を離した桐生は膝立ちをしてから、自身の肉棒を春日に見せつける。すると餌を求めている魚のように、口を開閉させてから勝手に頬張った。あまりの焦りに春日の顔を離そうとしたが、あまりの気持ちよさに離すことができない。なので遂には春日の頭を撫でながら、快楽を促していく。
春日の口淫はとても上手い。好い箇所を何度も舌や口腔内で刺激してくれるので、桐生は笑みを浮かべながら「いいぞ……」と褒めてやった。すると春日が上目遣いでこちらを見てくれる。
「ひひゅうひゃん……」
「おい……! しゃぶりながら話すな! くっ……出そうだ!」
肉棒から何かが込み上げるが、桐生は必死に耐える。そうしていると、春日が煽るように肉棒を吸い上げた。桐生はもう何もできなくなってから、春日の口腔内に射精をしてしまう。
とてつもない解放感に包まれた後に、春日の太い喉からごくりと液体が流れる音が鳴った。精液を飲み込んだことを確認した桐生は、そっと肉棒を離していく。春日の唾液や自身の精液が混ざった糸が絡み、とてもいやらしい。
その光景を見ながら、桐生は萎えていない自身の肉棒を見る。春日の唾液に塗れており、丁度潤滑油代わりになると思った。なので春日を再び押し倒してから膝裏を掴むと、大きく広げて恥部を見る。やはり下半身は萎えたままで、ぷるんと下を向いていた。自身の勃起した肉棒でそれを突いてやると、情けなく揺れている。春日が小さな声を漏らす。
「はぁ、は……はっ、ッう、ア……」
「欲しいか?」
「ッあ、は……欲しい……」
春日の意思を聞くと、指を春日の口に突っ込んだ。そしてぐちゅぐちゅとかき回して口腔内を一周させる。春日は目尻を垂らして桐生の目を見ているので、視線を合わせた。春日の苦しげな呼吸が聞こえるので、それに合わせて動かしていく。
すると春日の呼吸が落ち着き、桐生は小さな安堵をした後に、指を引き抜く。指がしっかりと唾液でぬるついているのを確認すると、それを入り口に持って来た。
「あっ、桐生さん……俺、俺……」
「どうした?」
春日が何か言いたげな様子であるので、入り口に指を入れる前に聞く。すると春日が荒い息をしている中で、口を必死に動かした。
「桐生さん、俺、桐生さんが好きです……」
「春日……あぁ、ありがとう。俺も、春日、お前のことが好きだ」
春日の瞳が一瞬だけ輝いた後に、うっとりとしたものに変わっていく。まるで男に抱かれる女のような目つきだ。桐生の肉棒に血管が大きく走っていくと、春日はそれを見て唾液を垂らした。
「ほら、解すぞ。いいか?」
「ん……桐生さん、来て……」
誘うように春日が入り口を指でくぱりと開く。入り口の少し入ったところが小さく見えるが、可愛らしいピンク色をしていた。桐生はクスクスと笑うと、そこに指先を入れる。まだ侵入を許さないらしく、しっかりと閉ざされていた。
「お前のここ、可愛いな」
低い声でそう囁いてやると、春日の耳が真っ赤になっていく。言われて嬉しかったのだろう。しかし本人の口からは「そんなことないすよ……」と否定をした。その様子もまた可愛らしいと思える。指先に力を入れると、少しだけ入り口にめり込んだらしい。春日の喉から大きな音が鳴る。
「ひぅ!? あ、ぅ……!」
「少し、我慢してくれ」
幼子を宥めるように春日に言い聞かせると、指先をぐちゅぐちゅと動かしていく。当然のように春日からは嬌声が出て、そして苦悶の表情を作る。なので「もう少し、もう少し」と言いながら指を動かしていく。
だが少し久しぶりに体を重ねるので、入り口は未だに狭い。桐生はふうと息を吐くと、入れている一本の指をぐにぐにと腹の中に這わせる。そしてしこりを探し出すと、大人しくなるようにと言うように、そこを軽く押した。春日の目が見開いてから、まな板の上魚のように大きく跳ねた。
「ひ、ぁ! きりゅう、さん! そこはらめぇ!」
唾液をだらだらと垂らした春日は、恐らくは無意識の抵抗をする。しかし桐生はそれを止めるように、前立腺をもう一度押した。春日の体がもう一度跳ねる。
「ひゃあ! きりゅうさん、そこは、らめ、そこは、ぅあ……!」
すると春日の腰が痙攣をするが射精を伴わない絶頂を迎えたのだろう。桐生はその隙にと入れる指の本数を増やした。侵入を許した春日は、男にしては高い悲鳴を上げる。
「あぁ! あ! んう、う……! はっ、は、ッう、ぁ……」
「どうだ? これもいいか?」
「きりゅうさ、いい……!」
すると入り口が緩まっていくのが分かったので、桐生は一気に指を根元まで押し込んだ。春日は顎を仰け反らせると、シーツを強く握りしめる。そして弾力のある腹の中を指でまさぐっていくと、急激に指を締め付けられた。桐生はあまりの力に怯むものの、指を動かし続けた。
春日は相変わらず体を何度も跳ねさせているが、これまで何度絶頂を迎えたのだろうか。分からないのだが、そう考えると胸が高揚してくる。
指を幾度も幾度も動かしていると、入り口の縁が軟らかくなったように思えた。その頃には春日は顔を唾液や汗に塗れさせており、加えて涙も混じっているのが分かる。やはり、何度も絶頂を迎えたおかげなのだろう。
指を引き抜くと、入り口が切なそうに収縮を繰り返しているのが分かる。思わず桐生はもう一度指を入れかけたが、次は肉棒を入れたくなっていたので、肉棒を再び春日の前に出した。勃起を続けているが、そろそろ限界だ。先端が大きく膨らんでいる。
「ん……ちんこぉ……」
「ほら、お前の好きなものだぞ。ゆっくり入れるからな」
優しく言ってから肉棒を入り口にあてがう。するとまるで肉棒を吸うように密着をしてくる為、桐生はその時点で射精をしかけた。だが耐えながら、歯をぎりぎりと立てていく。
「ぐっ……! 本当に好きだな……!」
「はい、もちろん、です……」
早く迎え入れたいのか、春日は小さく腰を揺らしていく。その淫らな様を見て、桐生は止めさせる為に萎えている下半身を掴んだ。当然、春日の動きが止まる。
「ッひ、ァあ、あ!」
「大人しくしていろ」
「ひゃい……」
春日の驚いた顔を見ながら、肉棒の挿入を促していく。
「もう少しで……っはぁ、はぁ……」
先端は入り口に密着した後にどんどん埋まっていくが、先端が全て入る気配はない。寧ろ春日の意に反して押し返しているようだ。だが負ける訳にはいかないと、腰を強く押した。春日の腰がびくびくと小刻みに震えると、その反動でどうやら先端が入ってくれたようだ。なのでそのまま根元まで挿入していくと、すぐに乾いた音が聞こえた。桐生と春日の肌がぶつかったのだ。
同時に春日は男のものとは思えない高い悲鳴を出した後に、桐生はピストンをしていく。春日は悶えるように嬌声を漏らし、そして腰を何度も痙攣していった。その光景を見て、桐生は興奮するしかできなかった。いや、興奮しない訳などない。なので小さく射精をしてしまうと、急いで肉棒を抜こうとした。しかし春日に声で制止される。
「やらぁ! きりゅうさ、ぬかないでぇ!」
「分かった……」
射精をなるべく止めておいてから、桐生はピストンを再開した。もはや春日の腹の中はとても熱く、まるで女の膣のようだ。精液で滑る上に、腹の中がぐいぐいと包み込んでくる。なので思わず二度目の射精をしてしまうが、桐生の肉棒は未だに元気だ。安堵をしながら春日を見る。
「きりゅうさん、おれで、どんどんイってください……ほら、きもちいいんでしょ?」
「あぁ、春日……」
春日の腕が背中に回ってくると、桐生は春日を強く抱き締めた。自身の龍に春日の指が触れていくと、桐生も同様のことをしようとする。春日の背中の龍魚に触れようとするが、このままではまともに抱くことができない。なので今は抱くことに集中すると、腰の動きを早めた。
「あぁ! あっ、あっ、ぁ、きりゅうさ、イく、イく! イっちゃ……うあ、ぁ、ッあ!」
「ぐぅ……! 春日! きついな……!」
腹の中が更に締め付けていくと、桐生は射精をしたくなってきていた。なので何かの肉食動物のようなうなり声を上げてから、春日の腹の中に精液を叩きつける。春日は悦に浸りながら数秒だけ目を閉じる。
しかし桐生の肉棒はまだ萎える気配がなく、元気なままである。もう一度春日の腹の中を犯せると喜ぶと、精液で満たされたであろう中をかき混ぜるようにピストンを再開させた。春日の腹からはごぽごぽと粘液が蠢く音が鳴る。その音を聞きながら、桐生はピストンを激しくしていく。
「ぁ、あ、ッふ、う! はぁ、あ、アッ、あ!」
春日の顔が溶けるように垂れている。そして額に少しの汗が浮かんでいるのを見ると、下を突き出してからそれを舐めた。不思議と甘い味がして、桐生はもっと舐めたくなっていた。だが春日はそれが不満らしく、腰を振って腹の中をもっと犯して欲しいと促してくる。
すると、桐生の肉棒が奥へと入ってしまったらしい。春日は一瞬だけ顔を青ざめさせるが、好い所に肉棒の先端が当たっていた。春日は途端に短い悲鳴を上げてから、涙をぽろぽろと流していく。それも舌で拭ってやると、やはり汗のように甘かった。
「ぁ! あッ、そこ、きりゅうさ、らめ! あっ、あ、ぉ! そこは、イぐ! イぐ!」
春日が絶叫しながら腰を痙攣させているが、言う通りに何度も絶頂を迎えているのだろう。締め付けがこれほどにまで強くなっていくと、いつか食いちぎられそうに思える。しかしこのまま引いてしまうのは男として如何なものかと。なのでそのままピストンを続け、腹の中ではなく腹の奥を貫いている。
そうしていると、射精感が込み上げてきた。それに春日の喉が枯れてきて、そして疲労の色が濃く見え始める。このままでは失神でもしてしまいそうだろう。
なのでこれが最後だと思うと、精一杯腹の奥の粘膜を擦りつけてから腰の動きを止める。すると精液が噴出されるが、春日はより奥に精液を出されたことによりこれまでにない快楽を味わっているらしい。喉から空気を吐きながら、掠れた声で笑う。
「ぅ……あぁ……! はぁ、はぁ、きりゅう、さん……」
「春日、よく頑張ったな」
互いに息を切らしているが、そうしている中で額を合わせた。春日の額はやはり汗がまとわりついているが、そのようなことを不快に思う訳がない。
「きりゅうさん、おれ、きりゅうさんのことが、好きです……」
「俺も、好きだぜ春日」
二人で短い言葉を交えると、軽いキスをしてから抱き合う。その際に互いの彫り物を指先でしっかりと触れてから、もう一度キスをした。
すると春日は疲れたのか今にも眠りそうな状態である。だがせめてシャワーくらいは浴びせなければと思い、春日を浴室へと引きずってから綺麗な湯を浴びる。そうして体を清めると、ようやくベッドに横になることができた。これで、すぐに眠っても問題はない。
「ん……そういえば、きりゅうさん、リボルバーで、乾杯をするのを忘れていました」
「乾杯? そんなの、いつでもでき……」
いつでもできる、そう言いかけたところで春日が桐生に抱きつく。不意のことであったので心臓を高鳴らせていると、春日が言葉を続ける。
「だって、きりゅうさんと、このままずっとは居れないでしょう……!」
春日の声は泣きそうになっていた。加えてどんどん声が掠れていき、遂には声を出し辛そうのしている。そのような春日を見た桐生は「分かった」と言うと、立ち上がってから棚に向かいアメニティのグラスを二つ取り出した。それを持ち洗面所に行くと水を注いでから、ベッドに戻る。
「お前が回復したら、次は酒で乾杯しよう。また飲もう。今は、水で我慢してくれ」
桐生がそう言うと、二人は軽くグラスをぶつけ合ったのであった。グラスに入っている水はリボルバーでのように春日が一気飲みしてしまう。相当に喉が乾いていたのだろう。それを見た桐生は申し訳なく思いながら小さく笑うと、グラスの水を飲み干していったのであった。